11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、ダウ平均が連日で史上最高値を更新し、日経平均先物が上昇したことなどで153.95円まで上昇した。ユーロドルはドイツ経済の不振や連立政権の崩壊、トランプ次期政権による関税政策への懸念から1.0629ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、引き続きトランプ・トレード(米国債売り・ドル買い)で堅調推移が予想される。
昨日のドル円は、ニューヨーク市場がベテランズデイのため債券市場が休場となり、ドル買い要因となってきた米中長期債利回りの上昇という材料がなかったものの、ドル全面高の展開の中で153.95円まで上昇した。ドル円は、上昇基調にある200日移動平均線を支持帯にして、トランプ・トレードにより上値を探る展開が続いている。
本日のドル円の上値の目処は、7日の高値154.71円であり、明日発表される米10月消費者物価指数(CPI)の伸び率上昇という思惑から155円台に向けた買い仕掛けが入った場合は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒することになる。
トランプ次期米大統領は、第1次トランプ政権でもドル高をけん制していたが、今年4月にも、ドルが対円で34年ぶりの高値を付けたことに関して、米国の製造業にとって「大惨事だ」と述べていた。
トランプ・トレードは、第2次トランプ政権での公約の実現(関税と減税)を材料視しているが、トランプ関税は米国の製造業保護のための防波堤であり、為替政策でも製造業保護のためのドル安を志向することが想定される。
本邦通貨当局のドル売り・円買い介入は、これまではイエレン米財務長官が難色を示していたことでやりづらかったと思われるが、今後は米国政権のドル安志向と整合的となるため、ハードルは低くなると思われる。
神田前財務官による今年の4回の覆面介入の水準は、157円台から161円台が目安となっていた。
・4月29日(5兆9185億円)高値160.17円から安値154.54円まで5.63円下落
・5月1日(3兆8700億円)高値157.99円から安値153.04円まで4.95円下落
・7月11日(3兆1678億円)高値161.76円から安値157.44円まで4.32円下落
・7月12日(2兆3670億円)高値159.45円から安値157.38円まで2.07円下落
また、ドル円のテクニカル分析の観点からは、161.95円を頭とする「ヘッド・アンド・ショルダー」の右肩(※154~155円)を形成しているとの見方もあるため、念頭に置いておきたい。
昨日第2次石破内閣を発足した石破首相は、日米関係の強化に向け米国のトランプ次期大統領と「なるべく早いタイミングで直接会談する機会をもちたい」と述べていた。
18-19日はブラジルで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議に出席する予定となっているが、おそらく帰途にニューヨークに立ち寄って、トランプ次期大統領との初の会談が予定されているのではないだろうか。石破首相は、高校ではゴルフ部に属し、両者は、キリスト教・プロテスタントのプレスビテリアン(長老派)の信者という共通点があるため、親密な関係構築が期待されている。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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