銀座の高速 KK線 2025年春廃止
「日本の都市開発は、まず建築家を決め、ゼネコン、施工を決めるというかたちで進められます。最初に建築計画をつくり、コミュニケーションデザインやアート、デザイン表現は後回しにするパターンがほとんど。こういう進め方をするべきではない、と僕は言い続けました。本当はさまざまな持ち場の人たちが既に着座した状態で、『こういうものをつくろうと思う』と投げかけ、『では、どういうマテリアル(素材)を使うべきなのか』『どうコミュニケーションし、どう発信していくべきなのか』を車座で議論していくべきなのです。そこで大変重要になってくるのが、『誰が仕切るか』ということです。『俺が、俺が』という人が仕切ればハレーション(大きな悪影響)が起こる。おのれの利だけを追求するのではなく、本当に共創がつくれる人が仕切らないとうまくいかない。そんな話をしたところ、2023年4月に東京高速道路株式会社さんから連絡があり、KK線再生プロジェクトのリード役を依頼されたのです」
この方針策定にあたり、大きなインスピレーションを与えたのがニューヨークのハイラインである。ハイラインとは、2009年にマンハッタンの鉄道高架跡地に建設された、全長2.3kmの線形公園。齋藤氏自身がコロンビア大学留学中に自らかかわった、思い出深いプロジェクトでもあった。こうした経緯も踏まえて、東京高速道路株式会社は2022年秋以降、2度にわたって齋藤氏へのヒアリングを実施。これをきっかけに、齋藤氏はKK線再生プロジェクトに参画することになる。
八重洲線は、北行き・南行きとも、2025年4月上旬から2035年度まで10年にわたり通行止めになります。KK線は、北行き・南行きとも、2025年4月上旬で廃止となります。ただし汐留出入口と東銀座出口は、引き続き利用が可能です。
KK線施設を撤去するのか、それとも保全するのか――。KK線施設の有効活用策を検討するため、東京都が設置した有識者などによる「東京高速道路(KK線)の既存施設のあり方検討会」は、2020年11月、東京都に対して、KK線の既存ストックを活用しつつ、車中心から人中心の公共的空間に再整備することを提言した。これを受けて東京都はついに1つの方針を示すことになる。2021年3月、「東京高速道路(KK線)再生方針」を発表し、その中で、KK線の上部空間を、東京の新たな価値や魅力を創出する歩行者中心の公共的空間として再生・活用していく方針を打ち出したのだ。
「僕はコロナ明けの2023年にニューヨークを訪れたとき、『ハイラインは果たしてグッドデザインなのか』という疑問を覚えました。ニューヨークの不動産ブローカーは、ハイライン周辺の土地や物件を買い漁り、高級コンドミニアムにリノベーションして売りまくった。また、古い建物を壊して建て替える動きも加速し、もともとの住民であるニューヨーカーを全部キックアウトしてしまった。ハイラインができたことによって周辺の地価は高騰し、ニューヨークの中華街はほぼ消滅したんです。そう考えると、実はハイラインは、今のニューヨークにとってはバッドデザインなのではないか。ハイライン自体は公共空間であっても、周辺が商業主義に狂奔したことでこうした事態を招いたわけです。よく『まちは人からできている』と言いますが、人がいないとまちはできない。今、ハイラインで起こっていることは、街づくり地域づくりにおいて、良い方向に向かっているのか。経済一辺倒ではなく、地域の文脈や文化的価値もきちんと継承しながら、経済も一緒に成長していく。そんな、東京ならではのモデルをつくっていく必要があると考えています」
首都高速は2024年11月12日、日本橋区間の地下化工事に伴い、2025年4月上旬から高速八重洲線を長期通行止めにするとともに、東京高速道路(KK線)が廃止になると発表しました。
またイベント当日は、会場の東京高速道路(KK線)とKK線に接続する首都高八重洲線が車両通行止めになる(5月4日0時〜6日24時)。
パノラマティクス主宰/株式会社アブストラクトエンジン代表取締役/クリエイティブディレクター1975年 神奈川県伊勢原市生まれ。建築デザインをコロンビア大学建築学科(MSAAD)で学ぶ。2006年に株式会社ライゾマティクス(現:株式会社アブストラクトエンジン)を設立。社内アーキテクチャ部門を率いた後、2020年に「CREATIVE ACTION」をテーマに、行政や企業、個人を繋ぎ、地域デザイン、観光、DXなど分野横断的に携わりながら課題解決に向けて企画から実装まで手がける「パノラマティクス」を結成。2023年よりグッドデザイン賞審査委員長。2023年D&AD賞デジタルデザイン部門審査部門長。2025年大阪・関西万博EXPO共創プログラムディレクター。
あわせてKK線は廃止され、歩行者中心の公共空間として生まれ変わります。
今年もGWにKK線を歩けるイベント「銀座スカイウォーク2024」開催。高速道路上からしか見れないスペシャルな景色を堪能してきた!
一見、首都高のようで実は首都高でない、そんな無料高速道路が都心に存在するのをご存じだろうか。その名も「東京高速道路」、通称「KK線」だ。このKK線が2020年代半ばに廃止され、歩行者中心の公共的空間に生まれ変わるという。このKK線再生プロジェクトの「共創プラットフォーム コンダクター」に就任したのが、パノラマティクスの齋藤 精一氏だ。KK線再生プロジェクトの背景と概要、その現在地と未来像について話を聞いた。
また、今後のKK線に対する期待としては、「ショッピングと緑が融合した空間にしてほしい」「子どもだけでも安全に過ごせる場所をつくってほしい」といった具体的な要望のほか、「地域特性を活かした、未来を感じさせる空間にしてほしい」「KK線の歴史が感じられるような、懐かしい雰囲気も残してほしい」など、地域の新たな魅力の発信源となることを期待する声も聞かれた。
東京高速道路(KK線)は、京橋JCT、汐留JCTと西銀座JCTの3カ所で首都高に接続する、約2kmの通行料無料の自動車専用の道路である。戦後の銀座復興と渋滞緩和のため、財界人23人が発起人となって1951年に「東京高速道路株式会社」を設立。銀座を囲む外堀と汐留川、京橋川を埋め立てて、高架道路を建設した。KK線が部分開通したのは1959年(全面開通は1966年)。その後、首都高が前述の3カ所でKK線に接続し、都市高速道路ネットワークを形成して現在に至っている。
これまで、都市インフラとして地域と共に歩んできた KK線。東京の中心をつなぐ『自動車専用の道路』は、既存施設を活かし、『歩行者中心の公共的空間』に生まれ変わります。都心の真ん中にありながらも、緑とふれあい、誰もが心地よく過ごせる場所になる予定。ひと・まち・環境をつなぐ、グリーンインフラとして、東京に新しい価値や魅力を加えるシンボルを目指します。
去年(2023年)は、2日間3000人の枠でしたが、かなりの応募があったとのことで、今年(2024年)は、3日間1万5000人の枠へ大幅増となりました。
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