総括
FX「政策金利引下げ。弱材料続くもペソ円はついに雲の上に。打たれ強くなる」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.4-7.9
(ポイント)
*政策金利は予想通り0.25%引き下げ。ペソ下落より経済支援を優先
*中国強硬派のルビオ国務長官任命と原油の米国内掘削促進観測でペソ下落
*ペソ円はついに雲の上に出る、日銀円買い介入の呪縛が解けるか
*消費者信頼感、鉱工業生産が改善 消費は明るい見通し
*カナダもメキシコへ対中貿易関係を警告
*メキシコは対米報復関税示唆
*S&Pの「BBB」の格付けの行方は、格付けはジャンク債の手前
*テスラのメキシコのギガファクトリーは、マスク氏と会談予定
*司法制度の混乱続く、最高裁判事8名が同時に上院に辞表
*3Q・GDPは予想を上回る
*海外からの投資誘致のための税控除策を打ち出す
*IMFも成長見通し下方修正。メキシコ中銀、OECD、世銀に続く
*最低賃金の引き上げを狙う(現在日給248.93ペソ=約1900円)
(中国強硬派のルビオ国務長官任命と原油の米国内掘削促進観測でペソ下落)
トランプ次期政権の関税引き上げ政策での米国物価上昇による利上げ観測でドル上昇は予測されていたが、中国強硬派のルビオ上院議員を国務長官指名で中国への経済制裁強化からの中国経済減速観測のリスク回避、また米国内の原油等掘削促進観測での資源価格下落でメキシコと南アに売りが入った。米大統領選直後は材料出尽くし感もあり、対円で7.768まで上昇していたが、一時7.474まで下落。現在は7.65近辺へ回復。
(政策金利は予想通り025%引き下げ、全会一致)
メキシコ中銀は、インフレ率が低下し、中南米第2位の経済の減速に対する懸念が高まる中、3回連続の利下げを実施した。全員一致で0.25%引き下げ、10.25%とした。
「今後、インフレ環境がさらなる基準金利の調整を可能にすると予想している。世界的なショックが引き続き弱まる見通しと経済活動の弱さの影響を考慮する」とした。
重要なのは、コアインフレ率が引き続き4.0%を下回っていることだ。これは中銀が利下げを続けるのに十分だ。メキシコペソが下落圧力にさらされていることを考えれば、全会一致の決定だったことには驚きだ。これは、ペソ下落が最優先事項ではなく、経済支援が依然として中銀の優先事項である。次回の会合でも、さらに0.25%の利下げが行われる可能性が非常に高い。
(消費者信頼感、鉱工業生産が改善)
10月消費者信頼感指数は49.4で9月の47.4、予想の47.0を上回った。国民の財政状況に対する民間のセンチメントが改善。また高額商品購入が増加した。
9月鉱工業生産は前月比で06%増、8月の0.5%減少から改善した。
(メキシコは報復関税)
エブラルド経済大臣は米国に対する報復関税の可能性を示唆した。経済大臣は、トランプ次期政権がメキシコの輸出品に関税を課した場合、メキシコ政府も報復として米国からの輸入品に関税を課す可能性があると述べた。トランプ氏は、メキシコ政府が国境を越える不法移民を抑制しない限り、当選したらメキシコから輸入されるすべての製品に25%の関税を課し、税率は最大100%に引き上げられると述べている。
(S&Pの「BBB」の格付けは)
S&Pは、メキシコは向こう2年間にわたり慎重なマクロ経済運営を続ける見通しだが、米国との通商関係などで問題に直面する恐れがあるとの見方を示した。政府債務や財政赤字が悪化すれば現行「BBB」の格付けの引き下げがあり得る一方、シェインバウム新大統領の下で現実的な政治、経済運営が行われれば格上げの可能性もあるとした。
リスクは、トランプ次期政権で新たな関税が課せられる可能性や2026年に控える自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の見直しだ。
メキシコは今後も米市場への良好なアクセスを維持するというのが基本シナリオだが、中国企業がメキシコを対米輸出の足掛かりとして利用するのを防ごうと圧力が掛かり、ルールが少し変わるかもしれない。
政府債務や財政赤字のほか、投資家心理や投資自体の悪化も格下げの要因になり得ると指摘。国営石油会社ペメックスや国営電力公社(CFE)に対する行き過ぎた支援に今後も目を光らせるとした。
(テスラのギガファクトリーは?マスク氏と会談予定)
エブラルド経済大臣は、「近いうちにマスク氏と会談し、現在中断しているテスラのメキシコで電機自動車プロジェクトを前進させるために何ができるか検討するつもりだ」と語った。
ただトランプ次期政権は昨日7,500ドルの電気自動車税控除を廃止する計画を公表した。バイデン大統領のインフレ抑制法の重要な要素であるこの補助金が廃止されれば、米国での電気自動車の人気に大きな打撃を与えテスラのメキシコでの電気自動車工場も計画変更となりそうだ。
テクニカル分析
ついに雲中から脱出し雲の上に、日銀円買い介入の呪縛を解くか
日足、ついに雲中から脱出し雲の上に。日銀の円買い介入後の回復の中でペソ円だけが出遅れていた。11月6日-13日の上昇ラインがサポート。11月8日-14日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。20日線上向き。
週足、ボリバン2σ下限から反発もまだ中位に届かず、雲の下。9月30日週-11
月4日週の上昇ラインがサポート。7月8日週-11月4日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、10月は5か月ぶり陽線。11月も陽線スタート。9月-10月の上昇ラインがサポート。6月-7月の下降ラインが上値抵抗。5か月線下向き、20か月線上向き。
年足、23年で3年連続陽線。ただ今年7月は日銀介入もあり年足が陰転。22年-23年の上昇ラインがサポート。年足陰転すれば4年振り。
VAMOS MEXICO
(カナダからもメキシコへ警告、対中貿易)
カナダ・オンタリオ州のフォード知事は、メキシコが中国からの輸入品に対するカナダとアメリカの関税に匹敵する関税を課さなければ、今後の北米自由貿易交渉に「参加すべきではない」と示唆し、代わりにカナダと米国は新たな二国間協定に焦点を合わせるべきだと主張した。
カナダは今年初め、米国に続き、中国からの電気自動車輸入に100%の関税、中国製鉄鋼・アルミニウムに25%の関税を課した。カナダ政府は、他の中国輸入品にも関税を拡大するかどうかについてさらに協議中である。メキシコは追随していない。
「メキシコがカナダとの二国間貿易協定を望むなら、神のご加護を」とフォード氏は語った。「しかし、私は勤勉なオンタリオ州民の仕事を奪うような安価な輸入品に引きずられるつもりはない」と付け加えた。
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FX「政策金利引下げ
FX「政策金利引下げ。弱材料続くもペソ円はついに雲の上に。打たれ強くなる」メキシコペソ見通し 予想レンジ 7.4-7.9 (ポイント)*政策金利は予想通り0.25%引き下げ。ペソ下落より経済支援を優先*中国強硬派のルビオ国務長官任命と原油の米国内掘削促進観測でペソ下落*ペソ円はついに雲の上に出る、日銀円買い介入の呪縛が解けるか*消費者信頼感、鉱工業生産が改善 消費は明るい見通し*カナダもメキシコへ対中貿易関係を警告*メキシコは対米報復関税示唆*S&Pの「BBB」の格付けの行方は、格付けはジャンク債の手前*テスラのメキシコのギガファクトリーは、マスク氏と会談予定*司法制度の混乱続く、最高裁判事8名が同時に上院に辞表*3Q・GDPは予想を上回る*海外からの投資誘致のための税控除策を打ち出す*IMFも成長見通し下方修正。メキシコ中銀、OECD、世銀に続く*最低賃金の引き上げを狙う(現在日給248.93ペソ=約1900円)(中国強硬派のルビオ国務長官任命と原油の米国内掘削促進観測でペソ下落) トランプ次期政権の関税引き上げ政策での米国物価上昇による利上げ観測でドル上昇は予測されていたが、中国強硬派のルビオ上院議員を国務長官指名で中国への経済制裁強化からの中国経済減速観測のリスク回避、また米国内の原油等掘削促進観測での資源価格下落でメキシコと南アに売りが入った。米大統領選直後は材料出尽くし感もあり、対円で7.768まで上昇していたが、一時7.474まで下落。現在は7.65近辺へ回復。(政策金利は予想通り025%引き下げ、全会一致)メキシコ中銀は、インフレ率が低下し、中南米第2位の経済の減速に対する懸念が高まる中、3回連続の利下げを実施した。全員一致で0.25%引き下げ、10.25%とした。「今後、インフレ環境がさらなる基準金利の調整を可能にすると予想している。世界的なショックが引き続き弱まる見通しと経済活動の弱さの影響を考慮する」とした。重要なのは、コアインフレ率が引き続き4.0%を下回っていることだ。これは中銀が利下げを続けるのに十分だ。メキシコペソが下落圧力にさらされていることを考えれば、全会一致の決定だったことには驚きだ。これは、ペソ下落が最優先事項ではなく、経済支援が依然として中銀の優先事項である。次回の会合でも、さらに0.25%の利下げが行われる可能性が非常に高い。(消費者信頼感、鉱工業生産が改善)10月消費者信頼感指数は49.4で9月の47.4、予想の47.0を上回った。国民の財政状況に対する民間のセンチメントが改善。また高額商品購入が増加した。9月鉱工業生産は前月比で06%増、8月の0.5%減少から改善した。(メキシコは報復関税)エブラルド経済大臣は米国に対する報復関税の可能性を示唆した。経済大臣は、トランプ次期政権がメキシコの輸出品に関税を課した場合、メキシコ政府も報復として米国からの輸入品に関税を課す可能性があると述べた。トランプ氏は、メキシコ政府が国境を越える不法移民を抑制しない限り、当選したらメキシコから輸入されるすべての製品に25%の関税を課し、税率は最大100%に引き上げられると述べている。(S&Pの「BBB」の格付けは)S&Pは、メキシコは向こう2年間にわたり慎重なマクロ経済運営を続ける見通しだが、米国との通商関係などで問題に直面する恐れがあるとの見方を示した。政府債務や財政赤字が悪化すれば現行「BBB」の格付けの引き下げがあり得る一方、シェインバウム新大統領の下で現実的な政治、経済運営が行われれば格上げの可能性もあるとした。リスクは、トランプ次期政権で新たな関税が課せられる可能性や2026年に控える自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の見直しだ。メキシコは今後も米市場への良好なアクセスを維持するというのが基本シナリオだが、中国企業がメキシコを対米輸出の足掛かりとして利用するのを防ごうと圧力が掛かり、ルールが少し変わるかもしれない。政府債務や財政赤字のほか、投資家心理や投資自体の悪化も格下げの要因になり得ると指摘。国営石油会社ペメックスや国営電力公社(CFE)に対する行き過ぎた支援に今後も目を光らせるとした。(テスラのギガファクトリーは?マスク氏と会談予定) エブラルド経済大臣は、「近いうちにマスク氏と会談し、現在中断しているテスラのメキシコで電機自動車プロジェクトを前進させるために何ができるか検討するつもりだ」と語った。 ただトランプ次期政権は昨日7,500ドルの電気自動車税控除を廃止する計画を公表した。バイデン大統領のインフレ抑制法の重要な要素であるこの補助金が廃止されれば、米国での電気自動車の人気に大きな打撃を与えテスラのメキシコでの電気自動車工場も計画変更となりそうだ。
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