トルコリラ/円 見通し「全面高のドルに対しても底堅いリラ…中銀会合は金利より政策スタンスに注目」注目の高金利通貨 11月17日号

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トルコリラ/円 見通し「全面高のドルに対しても底堅いリラ…中銀会合は金利より政策スタンスに注目」注目の高金利通貨 11月17日号

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メキシコペソや豪ドルなど投資家にとって魅力的な通貨の最新状況について、これまでの動向や注目ポイントについて解説します。

作成日時 :2024年11月15日15時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
X(Twitter)@KandaTakuya

執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也

トルコリラ/円(4時間足)

※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照

先週のトルコリラ/円は3カ月半ぶり高値へ上昇

 トランプトレードの一環であるドル買いが市場を席捲する中、リラに対しては比較的ドル高の動きが穏やかだったことから、リラ/円はドル/円と概ね歩調を合わせて上昇しました。今月7日にトルコのボラト貿易相が「米国の次期トランプ政権がトルコの鉄鋼・繊維製品に対する関税を引き下げる」との見通しを示したことが対ドルでのリラ下げ渋りに繫がった模様です。米長期金利の上昇を背景にドル/円が155円台を回復した13日、リラ/円は4.520円前後まで上伸。ドル/円が156.70円台まで上値を伸ばした15日の東京市場ではリラ/円も7月31日以来、3カ月半ぶりの高値となる7.550円前後を付けています。

今週のトルコリラ/円の注目ポイントトルコ中銀声明

 今週21日にトルコ中銀が政策金利を発表します。市場の予想は据え置きの50.00%でほぼ一致。見どころは金利より声明で示される今後の政策スタンスになりそうです。中銀は今月8日に発表したインフレ報告で今年と来年の物価見通しを上方修正。今年末の予測を38%から44%へ、来年末を14%から21%へと引き上げました。これにより、市場では中銀が当面の間、金利を50.00%に据え置くとの観測が広がり、利下げ開始は早くても来年春になるとの見方に傾いています。中銀は前回10月の声明で「月次インフレの基調に、顕著かつ持続的な低下が観察され、インフレ期待が予測された範囲に収束するまで、金融引き締めの姿勢を維持する」と表明。今月のインフレ報告では「断固たる引き締めスタンスは、国内需要の緩和、トルコリラの実質的な上昇、インフレ期待の改善の中で、インフレ率のコア指数の低下傾向を支える」と強調しました。今回の声明でも引き締めスタンスの維持をあらためて表明するものと思われます。

 

来週のトルコリラ/円の見通し

予想レンジ
4.425円~4.650円
基調
底堅い

来週までの注目ポイント
☆11/21 トルコ中銀政策金利
・主要国株価、国際商品価格

 

トルコリラ/円(TRY/JPY) FX為替レート・チャート

 
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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

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トルコリラは対米ドルで最安値圏にある

しかし、この動きはチャンスと考えることもできそうです。先ほどの月足の陽線・陰線の出現回数をまとめた表を見ると、10月の陽線の出現回数がトルコリラ/円で17回中10回、メキシコペソ/円で17回中13回、中国人民元/円で12回中10回と多くなっており、「円安」になりやすいことがわかります。

トルコリラの取引で一番気を付けないといけないのが、「エルドアン大統領の発言」!

トルコリラ円の11月14日は概ね4.56円から4.50円の取引レンジ、15日早朝の終値は4.55円で前日終値の4.52円からは0.03円の円安リラ高だった。

トルコリラ円の11月13日は概ね4.53円から4.49円の取引レンジ、14日早朝の終値は4.52円で前日終値の4.50円から0.02円の円安リラ高だった。13日夜の米10月CPI上昇率が全体の前月比で9月の2.4%から2.6%へ再上昇したものの市場予想と一致し、コア指数の伸びも9月と変わらなかったことで発表直後にいったんドル安反応がみられたものの、トランプ次期政権発足後の大型減税と国債増発や関税強化によるインフレ再燃懸念や米FRBの利下げペース鈍化懸念は変わらないとして早々にドル高へぶり返した。ドル円は米CPI発表後に154.32円へ反落してから14日早朝高値155.62円へ一段高となり9月16日安値139.57円以降の最高値を更新し、トルコリラ円もドル円を追いかけて4.49円まで反落してから14日早朝高値4.53円へ上昇して9月16日安値4.10円(ベンダーによっては4.11円や4.05円等)以降の最高値を更新した。

トルコリラは対米ドルで最安値圏にある。そのトルコリラに対して円が売られている状況は、それだけ現在の円安圧力が強いことを示唆している。

しかし、エルドアン大統領が率いる公正発展党はもともと親イスラム政党であり、政教分離を快く思っていなかったエルドアン氏と政教分離を守ろうとする軍部との対立が次第に激化し、遂に2016年には、エルドアン大統領の追い落としを狙った「軍事クーデター」が発生しました。この時も、トルコリラ相場は、大きく調整しました。公正発展党による低所得者対策などが功を奏し、国民がクーデターを支持しなかったことでクーデターは、失敗に終わりましたが、現在もエルドアン大統領の独裁的・強硬姿勢から政権の不安定さは続いています。

それでは、最後にトルコリラ円の月足を見てみましょう。

トルコリラ円は9月27日の石破ショックによる円高でいったん下げてから二段目の上昇に進み、トランプ氏勝利での急伸とその後の反落を消化して一段高に入っており、9月16日安値からの上昇が三段上げの三段目に入っている。ドル円も同様に三段目の上昇期に入っているが、米10年債利回りとほぼ相関した上昇であり、トランプ政権発足にかけて円安基調が続きやすい状況と思われる。米10年債利回り上昇により日本10年債利回りも上昇感を強めていることと、155円を超えて徐々に160円へ迫れば日本政府や日銀による円安けん制や追加利上げを示唆するタカ派姿勢が目立ってくることも警戒されるが、当面の円安継続によりトルコリラ円も4.60円を目指して行くのではないかと思われる。今夜はトルコ中銀の週次外貨準備高、米10月PPI、パウエルFRB議長講演がある。

このような状況のなか、今週の米経済指標がドル円(USD/JPY)の上昇要因となれば、トルコリラ円は上で取り上げた2つのテクニカルラインを突破することが予想される。

ドル/トルコリラの11月13日は概ね34.38リラから34.03リラの取引レンジ、14日早朝の終値は34.35リラで前日終値と同水準だったが、小数点下四桁では34.3501リラとなり12日終値34.3465リラを超えて終値ベースの史上最安値を2日連続で更新している。8月28日安値34.41リラから9月16日高値33.58リラへ戻した後は概ねこの高安レンジ内で推移してきたが、11月1日に34.42リラを付けて8月28日安値34.41リラをわずかに超えて取引時間中の史上最安値を更新し、終値では1日の34.30リラから4日の34.33リラへ2営業日連続で最安値を更新してから下げ渋っていたものの、12日から13日へ連日の最安値更新となり、8月28日以降の持ち合い相場から下放れし始めている印象だ。

トルコリラ円の日足RSIは短期的な相場の過熱感を意識する水準に到達している(上の日足チャート、紫の矢印を参照)。さえない経済指標でドル円が下落する場合は、トルコリラ円(TRY/JPY)もその動きに追随しよう。

トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、今週後半にかけて一時4.56円(8/1以来、約3カ月半ぶり高値圏)まで上昇しました。

雇用統計も含めて労働市場の堅調さが確認される場合は、ドル円とトルコリラ円(TRY/JPY)の押し上げ要因となろう。

トルコリラ円が10月28日の高値レベル4.482をも一気にブレイクアウトすれば、4.50台の攻防へシフトする展開を想定しておきたい。このケースでは、7月3日の高値と9月16日の安値の半値戻しの水準4.535レベルのトライが視野に入ろう(下の日足チャートを参照)。

トルコリラ円が下値をトライする局面では、サポートラインとして意識されている10日線の維持が焦点となろう(上の日足チャート、緑ラインを参照)。現在サポートラインとして意識されている4.400の下方ブレイクは、10日線をトライするサインと捉えたい。

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