東京市場オープニングコメント
「ドル・円は主に154円台で推移か、米利下げ年内終了の思惑残る」
15日のドル・円は、東京市場では156円75銭から155円76銭まで下落。欧米市場では155円78銭から153円86銭まで続落し、154円30銭で取引終了。本日18日のドル・円は主に154円台で推移か。米国の利下げは年内で終了するとの思惑は残されており、目先的にドルは下げ渋る可能性がある。
直近発表の米インフレ指標はインフレ再加速の可能性を示唆していること、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は「経済は、利下げを急ぐ必要性についていかなるシグナルも発していない」との見解を伝えていることから、12月に0.25ポイントの追加利下げが決まる可能性はあるものの、来年1月開催の次回会合では政策金利は据え置きとなる可能性が高い。ただ、米ドル・円が1ドル=160円に再接近した場合、日本政府は一段の円安を阻止するための為替介入(ドル売り・円買い)に踏み切るとの見方は残されている。そのため、日本の通貨当局や政府要人の円安牽制的な発言に対して市場は反応しやすくなり、目先的にリスク選好的なドル買い・円売りは抑制される可能性がある。
《午前8時現在》 ドル・円: 153.50円-155.50円 153円台半ば近辺でドル買い興味
ユーロ・円: 162.00円-163.50円 162円近辺でユーロ買い興味
豪ドル・円: 99.00円-100.50円 99円近辺で豪ドル買い興味
通貨別分析
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トランプ氏はドル安を志向するとされる
円安進行が目立ってきている。トランプ当選で地殻変動が起きている。財政悪化の観測が、米長期金利を押し上げている。FRBの利下げについても、2025年にかけては進めにくいと予想される。日米金利差の拡大は、ドル高・円安要因である。今後、これに対抗しようとする日本の通貨当局の口先介入と、日銀の追加利上げはどうなるだろうか。
18日の日本株市場は、売り先行後は、こう着感の強い相場展開になりそうだ。15日の米国市場はNYダウが305ドル安、ナスダックは427ポイント安だった。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長のタカ派発言を受けた売りが継続した。ボストン連銀のコリンズ総裁は14日のインタビューで、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利下げが間違いなく検討されるだろうが、まだ決まったわけでないと指摘。米長期金利が上昇傾向をみせるなか、ハイテク株を中心に売りが優勢となった。シカゴ日経225先物清算値は大阪比655円安の38015円。円相場は1ドル154円40銭台で推移している。 日経平均株価はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り優勢の展開から始まりそうだ。日経225先物はナイトセッションで一時37780円まで売られ、一気に75日線水準まで下げる場面もみられた。同線を下回ってくるようだと、10月28日に付けた37550円が意識されてくるため、押し目狙いの買いも慎重にさせそうだ。短期的には売られ過ぎシグナルからリバウンドのタイミングになりやすい水準ではあるものの、戻り待ち狙いの売りが警戒されやすいところである。 また、米国市場ではアプライドマテリアルズが大きく売られた。先行き見通しが慎重と受け止められ、他の半導体株へも売りが広がっていた。トランプ次期政権による米中関係の緊張を警戒するなかでハイテク株は手掛けづらく、東京市場においても指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型の重荷になりそうである。 また、国内では決算発表が前週で一巡したこともあり、手掛かり材料に欠ける状況となる。機関投資家は動きやすくなることで、決算内容を改めて評価した物色は意識されるだろうが、個別対応にとどまると考えられる。全体としては外部環境の影響からインデックス売買に振らされやすい需給状況になるとみられるため、トランプ次期政権の政策に備える形で、米国市場との連動性が高まることになろう。 今週は20日にエヌビディアの決算発表が予定されているが、ポジティブされるようだとリバウンドをみせてくる可能性はある。一方で、失望される動きとなれば、東京市場においても下へのバイアスが強まる展開が警戒されそうだ。エヌビディアの決算待ちのなか、個別対応での短期的な物色にとどまりそうである。
トランプ氏はドル安を志向するとされる。また、トランプ氏はFRBの金融政策に関与すると主張している。この先、仮に、FRBに対する利下げ圧力が強まれば、中央銀行の信認低下なども伴って、急にドル安に転じる可能性もある。トランプ政権下では、基軸通貨ドルの動向からも目が離せない状況が続くだろう。
筆者は、1月のトランプ就任前後にさらに米長期金利が上がって、ドル高・円安が進むと警戒している。ドル円レートは、2024年7月上旬につけた1ドル161円台にまで接近する可能性があるとみる。そこに至るまでに、おそらくは通貨当局による口先介入があって、一時的な膠着状態が起こるだろう。それでも、トランプ要因でのドル高圧力の方が大きな作用なので、円安への流れは止まらないとみる。
そして、長期金利が高止まりを続けていることで、一旦は修正されたドル高が復活している。日本を含めた各国は、金融市場を通じて早くもトランプ政権の影響を受けていることになる。
ほかにも、①トランプ減税、②化石燃料使用に寛容なところ、③イスラエル支持で中東情勢が緊迫化しそうな側面、④移民の強制送還、などなどいずれもインフレ要因と見られる。インフレになると、FRBは利下げが進めにくくなる。この思惑が中長期金利の高止まりを招き、ドル高を引き起こしている。
第三に、2026年頃からは、減税による需要の押し上げ効果が本格化する可能性がある。実際に、トランプ氏が掲げる減税策がすべて実現すれば、相当な景気浮揚効果が期待できる。追加の減税策として、残業代非課税、社会保障給付の非課税、チップ非課税、法人税引き下げなど、今後10年間で3.8兆ドル程度(2023年の名目GDP比15%程度)の規模と試算される措置が掲げられている。個人消費を中心に国内需要が増加すれば、需給がひっ迫し、物価の上昇圧力が高まる。なお、トランプ氏は、石油や天然ガスの増産を促進することで、エネルギーコストの引き下げを掲げている。実際に増産が実現すれば、原油や天然ガスの相場の押し下げ要因となるだろう。ただ、トランプ氏の政策には、石油戦略的備蓄の補充など短期的に需要を押し上げるものが含まれる。また、イラン制裁を強化し、その結果、世界の原油供給で一定の存在感をもつイランの原油生産量が減少することも考えられる。エネルギー政策を通じて、インフレ圧力が和らぐかどうかは不確実であろう。
ドル円レートは、1ドル156円台までドル高が進んだ(図表1)。11月5日の選挙でトランプ氏が次期大統領に決まり、ここにきて上下院ともに共和党が過半数を占めることが確実になったからだ。下院でねじれがあれば、法案修正の圧力がかかるが、トリプルレッドが確実になったので、そうした圧力を受けずにトランプ政策が通りやすくなった。それは間接的に財政赤字要因になるので、米長期金利が上昇した。これはドル高要因だ。
しかし、トランプ氏に対して、政府・日銀が為替介入を実施することはあまり見栄えがよくない。ドル売りだからよいではないかという意見もあろう。それでも、為替操作をすること自体が火種になる可能性があるので、筆者は口先介入は行われても、結局、通貨当局は実弾を撃たずに済ませるとみる。むしろ、動くのは日銀の方だろう。
今後の円安進行で気になるのは、日本の通貨当局が為替介入に打って出るかという論点だ。2024年4月29日・5月1日には介入を実施している。為替相場が連休前に1ドル153~155円で膠着していたところから、一気に156~157円に円安が進んだところで、頭を押さえるように9.8兆円の為替介入が行われた。このときは随分と投機色が強かった。現在は、シカゴのIMM通貨ポジションは、以前よりも円売り方向になってきたが、4・5月ほどは投機筋の円売りポジションが膨らんでいない。だから、今のところ実勢を反映した円安に見えるが、円安の勢いが強いと介入の可能性は高まっていく。
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