翻弄されるFRB…信用失墜のドル安リスク(2025年トランプ第2次政権が米国経済へもたらす影響と注目点)伊藤忠総研 髙橋 尚太郎氏(2024/11/18)FX/為替 #外為ドキッ

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翻弄されるFRB…信用失墜のドル安リスク(2025年トランプ第2次政権が米国経済へもたらす影響と注目点)伊藤忠総研 髙橋 尚太郎氏(2024/11/18)FX/為替 #外為ドキッ
 

アメリカ大統領選2024

2024年最大のテーマだった米大統領選は、共和党トランプ氏の勝利となった。また共和党が上下院とも多数を占める「レッド・スウィープ」となった。2025年から始まるアメリカの新政権がドル円相場にどのような影響を及ぼすのかについて、今後の見通しを確認するために、伊藤忠総研の髙橋氏にレポートをしていただいた。

作成日時:2024年11月18日8時
執筆:株式会社 伊藤忠総研 上席主任研究員 髙橋 尚太郎氏

米国大統領・議会選挙の結果、第2次トランプ政権は政権基盤が安定した状態からのスタートに

トランプ前大統領が2024年11月5日の大統領選で勝利した。この背景として、民主党が強みを持っていた低所得層の支持が、共和党のトランプ氏に流れたことが指摘されている。米国民は、低所得層を中心に、バイデン政権下の高インフレに苦しみ、その不満を持ち続けていた。そして、民主党のハリス氏は、経済の現状を変え得る力量がないとみなされたと考えられる。一方のトランプ氏は、第1次政権の際の実質賃金(物価変動の影響を調整した賃金)の上昇(下図)など、生活が改善した時期のことを米国民に思い起こさせるだけで良かった

アメリカの実質賃金推移

共和党は、大統領選で勝利しただけでなく議会選でも勝利し、上下院とも議席の過半を占めることとなった。第2次トランプ政権は政権基盤が安定した状態からスタートする。ただし、トランプ氏が掲げる政策はインフレに結び付きやすいものが多い。トランプ氏の政策が進めやすい状況であればあるほど、インフレ再燃の懸念が高まる。

インフレ要因(1)移民政策の厳格化

第一に、2025年の早い時期から、移民政策が厳格化することは間違いないだろう。まずは、国境管理の強化など不法移民対策が進められ、場合によっては、外国人労働者を含む合法移民の入国の承認手続きを厳格化することなどが考えられる。サービス業などでは再び人手不足が生じ、賃金が上昇、物価を押し上げる可能性がある。

インフレ要因(2)中国への関税引き上げ策

第二に、2025年には、トランプ氏の掲げる関税引き上げ策が、段階的にでも実施される可能性がある。トランプ氏は、①中国からの輸入関税を60%にすること、②中国以外の国からの輸入関税を最大20%にすることなどを掲げている。

トランプ氏が、外交・安全保障政策を担う国務長官および国家安全保障担当補佐官に、それぞれ、ルビオ氏とウォルツ氏という対中強硬派を指名したことからすれば、中国への関税引き上げ策は単なる「はったり」で終わらない気配である。これらが段階的にでも実施されれば、輸入物価は上昇し、米国民が直接購入する消費財はもちろん、製造過程に用いられる中間財の価格上昇を通じてインフレ圧力が強まる。

インフレ要因(3)大規模な減税(石油増産)

第三に、2026年頃からは、減税による需要の押し上げ効果が本格化する可能性がある。実際に、トランプ氏が掲げる減税策がすべて実現すれば、相当な景気浮揚効果が期待できる。追加の減税策として、残業代非課税、社会保障給付の非課税、チップ非課税、法人税引き下げなど、今後10年間で3.8兆ドル程度(2023年の名目GDP比15%程度)の規模と試算される措置が掲げられている。個人消費を中心に国内需要が増加すれば、需給がひっ迫し、物価の上昇圧力が高まる。
なお、トランプ氏は、石油や天然ガスの増産を促進することで、エネルギーコストの引き下げを掲げている。実際に増産が実現すれば、原油や天然ガスの相場の押し下げ要因となるだろう。ただ、トランプ氏の政策には、石油戦略的備蓄の補充など短期的に需要を押し上げるものが含まれる。また、イラン制裁を強化し、その結果、世界の原油供給で一定の存在感をもつイランの原油生産量が減少することも考えられる。エネルギー政策を通じて、インフレ圧力が和らぐかどうかは不確実であろう。

利下げしづらいFRB、上がる長期金利

上に挙げた3つのインフレ圧力を背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)は9月から開始した利下げのペースを緩やかにせざるを得ないだろう。金融市場はこうした状況を織り込んで、早くも長期金利の水準が切り上がっている
また、長期金利の上昇には、大規模な減税策などにより、米国の財政収支バランスが大幅に悪化する見込みであることも影響しているとみられる。米国の超党派のシンクタンクであるCRFB(責任ある連邦予算委員会)によると、累積債務残高は現状名目GDP比100%程度であるが、10年後には140%程度まで膨らむと予測している。財政の持続性に対する懸念、国債の需給悪化などによって長期金利には上昇圧力がかかるだろう。

そして、長期金利が高止まりを続けていることで、一旦は修正されたドル高が復活している。日本を含めた各国は、金融市場を通じて早くもトランプ政権の影響を受けていることになる。

累積債務残高(名目GDP比 %)

まとめ FRB信用低下のドル安を懸念

トランプ氏はドル安を志向するとされる。また、トランプ氏はFRBの金融政策に関与すると主張している。この先、仮に、FRBに対する利下げ圧力が強まれば、中央銀行の信認低下なども伴って、急にドル安に転じる可能性もある。トランプ政権下では、基軸通貨ドルの動向からも目が離せない状況が続くだろう。

 
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株式会社伊藤忠総研 上席主任研究員
髙橋 尚太郎 氏
2005年日本銀行入行、国際経済調査や金融市場調査等に従事。
2017年有限責任監査法人トーマツ入社、マクロ経済分析サービスやリスク管理アドバイザリー等のプロジェクトに従事。
2019年伊藤忠商事入社後、伊藤忠総研へ出向。
東京大学大学院情報理工学系研究科修了。London School of Economics and Political Science(LSE)経済学修士課程修了。
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翻弄されるFRB信用失墜のドル安リスク 2025年トランプ第2次政権が米国経済へもたらす影響と注目点 伊藤忠総研

第二に、2025年には、トランプ氏の掲げる関税引き上げ策が、段階的にでも実施される可能性がある。トランプ氏は、①中国からの輸入関税を60%にすること、②中国以外の国からの輸入関税を最大20%にすることなどを掲げている。

個人の生活面では、ガソリン価格の上昇、食料品価格の値上がり、海外旅行費用の増加など、消費者物価の上昇を通じた実質所得の低下が懸念される。特にトランプ政権が掲げる10~20%の包括的関税措置が実施された場合、輸入品価格の上昇を通じて家計の購買力が一段と低下するおそれがある。

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×韓国・麗水市で国際博覧会開催(5.12~8.12)。入場者総数は約820万人。

○興行収入は前年比3.9%増の2,215億円で3年連続の増加となり、平均的な水準まで回復。邦画は2000年以降で2位の好成績となった。興行収入100億円以上が3本誕生し、その全てがアニメ映画となるのは史上初。

○上田良一会長は、2019年10月の消費増税時には受信料を据え置くことで実質2%値下げし、さらに2020年10月に地上契約で月額35円、衛星契約で同60円を値下げすると発表した(11.27)。2020年10月以降のNHK受信料は、口座・クレジット払いで現行月額1,260円の地上契約が1,225円に、2,230円の衛星契約が2,170円になる(消費税込み)。

○ミリオンセラーはシングルが上位4作品、アルバムは「5×20 All the BEST!!1999-2019」(嵐)の1作品で210万枚を販売。

○秋は全国的に9月の残暑が厳しく、10月の気温も高めだったが、11月には高温が解消した。台風の接近数は7個と平年を下回ったが、沖縄・奄美地方では降水量が多かった。特に奄美大島では10月20日に1日の雨量としては観測史上最多の622ミリを記録する集中豪雨が発生し大被害を受けた。

ところで、トランプトレードは日本銀行の金融政策にも大きく影響する。トランプ政権発足から時間をおかずに、トランプ氏は追加関税など保護主義的な政策を打ち出す可能性がある。前回のトランプ政権では、就任の翌年(2018年)からトランプ氏は保護主義的な政策に着手した。就任の年(2017年)は、減税を優先したのである。しかし今回は減税の優先度はそれほど高くないことから、就任の年から保護主義的な政策を進める可能性があるだろう。

○2023年の年間平均気温が過去最高を記録した。

○NHK経営委員会がNHK新会長に日本ユニシス前社長の籾井勝人氏を選出(12.20)。

○興行収入は前年比13.0%増の1,619億円。2000年以降で過去最低を記録した前年を上回ったが、過去2番目の低さとなった。洋画が1.3%減の336億円、邦画が17.4%増の1,283億円。「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が103億円を獲得。

その場合、FRBの利下げ観測が強まり、長期金利は顕著に低下、ドルは大きく下落するのではないか。これは、現在、金融市場で進むトランプトレードとは逆方向だ。いずれ、トランプトレードは見直されていくものと見ておきたい(コラム「トランプトレードはいつまで続くか?:危うさがあるドル高円安シナリオ:日銀追加緩和の時期にも影響」、2024年11月7日)。

○大河ドラマは昨年の「武蔵 MUSASHI」を0.7ポント上回るものの平均視聴率は20%を割り込み、17.4%となる。

○夏は全国的に天候不順が目立った。6月前半は北日本と東日本で、7月上旬は台風8号の影響により全国各地で局地的な大雨となった。また、7月30日から8月下旬にかけては台風12号の接近と台風11号の上陸による前線の停滞などで沖縄・奄美、西日本、北陸・東海の各地において大雨となり、広島市では集中豪雨による大規模土砂災害が発生、74人が犠牲となった(「平成26年8月豪雨」)。平均気温は北・東日本、沖縄・奄美で高かったが、西日本では2003年以来11年ぶりの冷夏となった。

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