本日のロンドン為替市場でユーロドルは、欧州金融政策に対する思惑で上下する展開は変わらず。本日も複数の欧州金融当局者の講演が予定されている。経済指標は10月ユーロ圏のインフレ指標が発表されるが、こちらは改定値。またポンドは、ベイリー英中銀(BOE)総裁を始めとする英中銀金融政策委員会(MPC)委員の議会証言が注目される。
昨日のユーロドルは一時1.06ドル台まで反発した。1.05ドル前半で下げ渋ったことで持ち高調整が出やすかったところに、米長期金利が低下したことに後押しされた。欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーたちの講演も特段のサプライズは無かった。
本日は欧州序盤に、エルダーソンECB専務理事とミュラー・エストニア中銀総裁が発言する。引き続き12月会合における追加利下げの可能性や、来年以降の緩和ペースについてのヒントを探ることになる。昨日の値動きを見る限り、ハト派的な見解であっても極端でなければユーロ売り圧力は強まり難いかもしれない。
本日発表される10月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)は改定値。同月速報値は前年比2.0%と、9月分からの加速予想を更に0.1ポイント上回った。ただし、前回の改定値では速報値から鈍化していたこともあり、今回も結果は気にかけておきたい。ECBインフレ目標値2.0%からの上下振れに沿った動きを、ユーロ相場は一先ず見せるのではないか。
日本時間19時から予定されている英議会証言は、BOEのベイリー総裁とロンバルデリ副総裁、またマンMPC委員やテイラー同委員らが行う予定。やはり、英金融政策を引っ張るベイリー総裁の発言内容が最も注目される。今後の金利動向について、どの程度まで突っ込んだ内容となるかがポイント。また、利下げを決定した前回MPCで唯一「据え置き」を主張したマン委員と他委員との乖離度合いも注視したい。
想定レンジ上限
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.0661ドル
・ポンドドル、日足一目均衡表・転換線1.2803ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、14日安値1.0497ドル
・ポンドドル、15日安値1.2597ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
米国の景気物価見通しは1週間のうちでも指標次第で上下に振れている
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足元でなお円安が続いている。ドル円相場は156円~157円で推移し高止まり。それ以上に円安が目立つのがユーロ円相場で170円台に乗せてきた。ユーロ円相場の上昇には利下げ見通しが不透明になっていることも背景にあろう。
今回は2023年6月の見通しを終了し、新たに2024年6月の予想を加えた。2024年6月予想は、米ドルがそれまでにさらに下落するとの我々の見方を反映している。第1に、輸出国の経済見通しは米国よりも良好である。第2に、我々のバリュエーション・モデルは米ドルが非常に割高であることを引き続き示唆している。経済環境を考慮すると、米ドルとその他G10通貨の間のバリュエーション格差は今後数四半期の間に縮小すると考える。
米国の景気物価見通しは1週間のうちでも指標次第で上下に振れている。景気は底固いのか、悪化の兆しがより強まっているのか。インフレ率は下げ止まりが続いているのか、 低下基調継続のなかでの中休みなのか。
一方円は、今後6~12カ月の間に円高が加速し、ドル円は1米ドル120~122円まで下落するとみている。ドル円は日米金利差の影響を非常に強く受ける。我々はFRBの利上げ局面は終盤に近づいているとみており、また米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の政策金利見通しによると2024年に利下げに転じることから、ドル円の潮目は変わると考える。またFRBが今年後半に金融緩和を検討する余地もあると我々はみている。一方で、日本の景気・物価動向は改善し、日銀は今年7月から10月のどこかの時点でイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を修正すると考える。日銀は10年国債利回りの上限を現行の0.5%から0.75%(または1.0%)まで引き上げると我々は予想する。この日米の景気動向と金融政策の乖離は、今後数四半期の間に米ドルが円に対して下落するという我々の見方の主たる根拠となっている。
豪ドルについては、オーストラリアの国際収支の黒字と中銀のタカ派姿勢維持の見通しを勘案すると、売られ過ぎと我々は見ている。よって、豪ドルは、特に成長重視の投資家には魅力的と考える。また、リスクオフの市場環境では、豪ドルが上昇する可能性は低いだろう。
為替見通しのベースとなるマクロ経済見通しは、主要国のインフレ圧力が弱まり、それを受け中央銀行が利上げサイクルを終了させ、いずれ利下げを行えるようになることを想定している。
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