閉店続くブックオフ 売上増の背景
*米国「BOOKOFF」の売上高も前期を上回り好調に推移している。現地での本・ソフトメディアの買取・販売が引き続き好調で、日本のアニメフィギュアやグッズ、Mangaなどの人気もあり、エンターテイメント性の高い店舗として顧客期待に応えている。SNSやインフルエンサーの活用、アニメ系イベントへ継続的に参加しており、顧客とのコミュニケーションを継続することで、認知向上と顧客の獲得へ繋げている。当初1-2店舗の出店計画に対し、直営店4店舗と計画を上回る出店となった。
(2)プレミアムサービス事業2023年5月期実績 売上高約54億円、経常利益約3億円。BOOKOFFだけではリーチしきれていない、資産性の高いモノを保有する顧客層に対し、多様なサービスブランドでリユース利用を増大させることを目指している。
(1)国内ブックオフ事業2023年5月期実績 売上高900億円超、経常利益約35億円。
■1年間で10店舗超のペースで店舗数が減っている 「本を売るならブックオフ」のキャッチフレーズで広く知られた、書籍・AVソフトのリユース店「BOOKOFF(ブックオフ)」。2024年9月、そのブックオフが大量閉店をしていることが話題となった。
ブックオフを運営するブックオフホールディングス株式会社の2024年5月期第3四半期決算によれば、売上高は前年同期比9.3%増の823億円。国内ブックオフ事業を中心にすべての事業で増収を達成し、経常利益も同12.5%増の30億円となっている。
「本を中核商材に地域に合わせた商材拡張」新刊書籍の販売が低迷しており、同社の書籍の売上も前年割れとなっている。ただ、書籍は年代、性別を問わず幅広い顧客が利用するため大きな顧客基盤を持った商材である。加えて、粗利率も高い。リユース業界においては、アパレル、ブランド品などそれぞれの商材において強力なカテゴリーキラーが存在するので、他社との差別化要素を考えたとき、同社にとって「書籍」は戦略的に重要な商材であると改めて認識している。
このドミノ・ピザの閉店ラッシュには明確な理由があった。コロナ禍によるデリバリー需要の増加を受け、積極的な出店攻勢に出たことだ。結果、2023年には国内1000店舗を突破したが、需要が落ち着いたことで風向きは一変。不採算店舗が続出し、あえなく大量閉店を余儀なくされたというわけだ。
(3)海外事業2023年5月期実績 売上高約42億円、経常利益約6億円。BOOKOFF U.S.A. INC.が米国で「BOOKOFF」店舗(12店舗)を、BOK MARKETING SDN.BHD.がマレーシアを中心に「Jalan Jalan Japan」(11店舗)の運営をそれぞれ行っている。この他、フランスに加盟店3店舗を有している。現地で独特な、エンターテインメント性の高い小売業としての地位を確立しているほか、「ネイティブ従業員の育成」を最上位に位置付ける運営を行っている。店舗数は23年5月末時点。
◎海外事業*マレーシア「Jalan Jalan Japan」は前年ロックダウンの反動もあり売上高が大きく伸長。計画どおり直営店2店舗出店し、22年10月に「Jalan Jalan Japan」がカザフスタンに加盟店として1店舗出店した。
国内ブックオフ事業の23年5月期の売上高は約900億円で、全社売上高の約9割を占める。国内ブックオフ事業売上高の内訳は、「BOOKOFF」および「BOOKOFF PLUS」が約5割、「BOOKOFF SUPER BAZAAR(BSB)」が約4割を占めている。
経営再建のため不採算店の閉店や希望退職の募集に踏み切るとともに、大手商社の双日(東京)と21年に資本・業務提携した。ロイヤルHDの菊地唯夫会長は当時の記者会見で危機感を示し、「コロナ禍で 毀損(きそん) した成長戦略と財務基盤を再構築する」と述べた。
ECサイト「BOOKOFF Online」上での注文に対する、ECセンターからの配送による販売実績、直営店・FC加盟店からの配送による販売実績、直営店・FC加盟店での店舗受取サービスによる販売実績の合計である「BOOKOFF Online経由チェーン売上高」は、前期比97.8%の88億94百万円と前年割れが続いているが、ネットで注文し近隣店舗で受け取る「店舗受取サービス」は引き続き好調である。「ひとつのBOOKOFF」構想の下、ネット・店舗の双方を通じ全体で販売を拡大することに注力している。
赤字計上という苦しい時期もありましたが、この5、6年で国内ブックオフ事業の強化により収益回復を果たし、経常利益30億円という土台を構築することができました。そこで今回、ここからの5年間のビジョンとして、一つは「2028年5月期 売上高1,300億円、経常利益45億円以上」という明確な目標を打ち出しました。
国内ブックオフ事業、プレミアムサービス事業、海外事業とも好調で2桁の増収増益となった23年5月期であったが、今期24年5月期は積極出店により4%増収の一方、IT投資の償却負担が始まるほか、その他各種コストの上昇もあり利益は前期並みを見込んでいる。売上高に関しては、直営店既存店売上高前期比を23年5月期の110.9%に対し、上期107%、下期101%と想定している。トレカ・ホビーの伸長はつづくものの、ソフトメディア等の低調も見込んでおり、既存店はリニューアルを継続し、新店売上を加えて増収を確保。利益については各種コスト増を可能な限り吸収しつつ、前期の新店赤字を早期に黒字化することによる増益効果を見込んでいる。インバウンドの上乗せなど、読み切れない要素もあるものの、「2028年5月期 売上高1,300億円、経常利益45億円以上」に向けた第1歩となる今期、どのように売上・利益を積み上げていくか注目したい。
コロナ禍で閉店した飲食店の跡地を任されるケースも増えたことでコントラクト事業の2023年12月期の売上高は435億円とコロナ禍前(19年12月期)より26%伸び、主要4事業で最も大きい外食事業(618億円)に迫りつつある。
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