博士号見合う初任給を 政府手引案
政府は府省ごとに在籍する博士号の取得者数の公表を予定する。文科省などで名刺への博士号の記載を奨励する動きもある。
大学院の博士課程を修了した国家公務員の初任給が2023年4月から年間8万円程度増える。人事院が給与制度を改定した。日本の博士号の取得者は減少傾向にある。給与面から処遇を改善し、公務員として活躍する研究者の育成につなげる。
政府は21年3月に閣議決定した「第6期科学技術・イノベーション基本計画」で博士課程修了者の処遇改善に取り組む方針を示した。
文部科学省の科学技術・学術政策研究所によると18年度の日本の人口100万人当たりの博士号取得者数は120人で米国、英国、韓国などを大きく下回る。
日本の博士号取得者の規模は?
経済産業省と文部科学省が26日、初めての合同検討会を開く。委員長には川端和重・新潟大副学長が就き、日立製作所やサイバーエージェントなど博士人材を積極採用する企業の人事担当者や、大学、経済界の関係者らが委員を務める。就職支援の取り組みや課題を検討し、来年3月に手引をまとめる方針だ。
人事院によると、21年の調査で博士課程修了者の人数は全職員の0.6%にとどまる。研究職や医師の割合が高く一般行政職では低い傾向がある。
政府は、博士号を取得した専門人材の就職支援に本格的に乗り出す。日本では、企業は博士号取得者の活用に消極的で、欧米の先進国などと比べて取得者の人数も少ない。政府はイノベーション(技術革新)に欠かせない人材として企業が採用しやすい環境を整え、産業競争力の強化につなげる。
制度の改定で専門性を必要とする業務に従事する場合には博士課程修了者にさらに月額5000円、ボーナスを含め年間8万円程度上乗せできるようにする。最終的な給与は各府省が決める。
政府が対策に乗り出すのは、日本では企業が博士人材を生かせていないからだ。経産省の2020年の調査では、博士人材の採用がゼロの企業は76・6%に上った。
博士号を取得した専門人材の就職を支援するため、政府がまとめる企業や大学向けの手引の骨子案が20日、明らかになった。
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