ドル円 ウクライナ情勢緊迫化受け不安定な動き
今週初めのドル円は、先週末の反落を経て154円台前半でスタートしました。
ドル円は先週156円台後半まで上昇した後、一転してドル売り円買いの動きが強まり週末には153円台後半まで反落しました。
週明けの18日(月)には一時155円台へと強含みましたが上昇の勢いは続かず、19日(火)にはロシアのプーチン大統領が核兵器の使用基準について定めた「核ドクトリン」の改定を承認し核兵器の使用基準を緩和したことが伝わって、153円台前半まで下落しました。
その後154円台へと持ち直し、20日(水)には米長期金利の上昇とともに一時155円台後半まで上昇しましたが、ウクライナ軍がイギリスから供与された長距離ミサイルで初めてロシア領を攻撃したとの報道を受けて失速しました。
さらに21日(木)には「ロシアが大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した」と伝わり、リスク回避の円買いが強まって一時153円台後半まで下落しました。
その後154円台後半へと持ち直したものの、22日(金)午前の日本の10月全国消費者物価指数(CPI)発表後に再び154円を割り込み、同日午後には日経平均株価の堅調な推移を支えに154円台後半へと上昇するなど、方向感を見出しにくい動きとなりました。
今週のドル円はウクライナ情勢をめぐる警戒感などから不安定に上下する展開となりました。プーチン大統領が核兵器の使用基準を引き下げるなど、緊張が高まる中、為替相場ではリスク回避の動きが出ました。
来週はFOMC議事要旨の公表や米10月個人消費支出(PCE)などの重要イベントが予定されています。9月、11月と2会合連続で利下げを行った米FRBが来月の会合でどのような判断を行うかが焦点となる中、来週の米指標の結果が注目されるとともに、ウクライナ情勢関連の続報にも警戒が必要となりそうです。
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ドル円相場11 18週振り返り ウクライナ情勢緊迫化受け不安定な動き
2020年の小麦の主要輸出相手国としては、ロシアとウクライナ双方にとって、地中海南部のエジプトが大手輸出相手国であった(グラフ4)。トルコやレバノン、モロッコ、チュニジア、イエメン、UAE、リビア、ヨルダン、イスラエル、スーダン、ナイジェリア、ケニア等の中東・アフリカ諸国に加え、インドネシアやバングラデッシュ、パキスタン、韓国等を含むアジア各国も両国から小麦を輸入している。日本は小麦・トウモロコシ・大豆のいずれも米国・カナダ・ブラジル等からの輸入に依存しているが、今般のロシアとウクライナの穀物輸出の停滞により国際市場での代替輸入先・品目に需要が集中し、結果として価格高騰や安定的供給が困難になる可能性が予想される。
今回のロシアのウクライナ侵攻により、再び「鉄のカーテン」という表現を聞くようになった。しかし現在は冷戦時代とは状況が異なる。まず、今般の紛争が改めて明らかにしたように、エネルギー・食糧・肥料等の各種資源を含む国際商品市場とサプライチェーンは非常に複雑化しており、モノ・カネ・ヒトを通じて国・企業・個人は冷戦時代よりもずっと深い相互依存の関係の中に置かれている。さらに水不足や干ばつ、2020年初めのサバクトビバッタの大量発生等、気候変動によると考えられる予測困難な自然災害が増大しており、食糧不安・危機を回避するためには国レベルを超えた国際社会の協力が必要である。しかし、今般の軍事侵攻により、脱炭素化への動きに歯止めがかかる可能性に加え、全体的な軍拡ムードが高まり、気候変動やSDGsのための予算が十分に確保されない事態が懸念される。
2 日本はエネルギーと食糧の両方において輸入に依存しており(2019年の自給率はそれぞれ11.8%とカロリーベースで37%)、エネルギー資源の輸入先は約9割が中東地域である。日本は小麦やトウモロコシ等の穀物輸入をロシア・ウクライナからではなく米国やカナダ等に依存しているが、さまざまな食品や工業用に用いられるトウモロコシを中心に、回り巡って穀物価格の高騰の影響は家計を直撃すると考えられる。
ウクライナもまた、ロシアからの攻撃を受ける間の自国内の食糧安全保障の観点から、3月9日、小麦・オーツ麦・その他の基礎食糧品の輸出を、さらに3月12日には窒素やリン、カリウム等の化学肥料の輸出も禁止した8。その後、外貨収入源を確保するため一部食糧品の輸出再開を政府が検討している旨報じられたが、輸出は再開されているようである。
ウクライナ侵攻開始以降、ロシアはSWIFTからの排除や中央銀行の国外資産凍結を含む制裁により経済的打撃を受けている。これに対する反応として、ロシアは3月10日、医療機器を含む200品目の輸出禁止を発表した6。ロシア自身はこれまでにも国内市場の安定化を理由に小麦等の輸出制限・関税措置を継続してきているが7、侵攻後にさらなる措置を取った(表1)。
ロシアとウクライナは、近年、両国だけで世界の小麦輸出全体のおよそ4分の1から3分の1を占めてきた。2020年、トウモロコシではロシアは1.1%、ウクライナは12%、大麦はそれぞれ7.1%と8%、ヒマワリ油でもそれぞれ20%と53%と輸出の上位を占めた4。このように両国は現在世界有数の農産物輸出国であるが、旧ソビエト連邦は1980年代初めまでは米国から小麦とトウモロコシを輸入していた(例えば1985年には5500万トンの小麦を輸入した)。ソ連崩壊後、ロシア政府は農業技術投資を進め、国際市場への農民の参入を許可し、2001年頃は国際小麦輸出の1%に過ぎなかったシェアを2018年には26.4%にまで増加させた。港の開設とルーブル安もロシア小麦輸出増に貢献したとされる5。
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