26日の日経平均は3日ぶり大幅反落。終値は338円安の38442円。米国株高を受けても3桁下落スタート。寄り前にトランプ氏が中国やメキシコ、カナダに関税を課すと自身のSNSで発信したことが伝わっており、これに対する警戒が強まった。不意打ちのネガティブニュースを受けて安く始まった後もしばらく売りが続き、一時下げ幅を700円超に拡大。節目の38000円に接近したところでは切り返したが、主力銘柄の多くが弱く、戻りは緩慢となった。後場に入ると動意が乏しくなり、500円程度下げた水準でもみ合う時間が長かった。ただ、終盤にかけては値を戻しており、大幅安ではあったものの大引けが後場の高値となった。
東証プライムの売買代金は概算で4兆3300億円。業種別では繊維、空運、その他製品などが上昇した一方、石油・石炭、海運、非鉄金属などが下落した。復配を発表したくろがね工作所が、軟調相場の中でも買いが殺到してストップ高比例配分。半面、中期経営計画を公表したキユーピーは、序盤で買われる場面はあったものの、一部目標が保守的との見方もあって次第に目先の材料出尽くし感が強まり、6%を超える下落となった。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり703/値下がり895。ファーストリテイリングや任天堂が逆行高。三井E&Sがリリースを材料に商いを伴って急騰した。米長期金利の低下や米住宅株の大幅高を追い風に、住友林業が4%を超える上昇。日経新聞1面で、ペロブスカイト太陽電池に関して政府目標が設定されると報じられたことを受けて、積水化学工業やK&Oエナジーグループが関連銘柄として買いを集めた。
一方、米エヌビディアの連日の大幅安を嫌気して、アドバンテスト、東京エレクトロン、ディスコなど半導体株が軒並み大幅安。証券会社が投資判断を引き下げたレーザーテックは5%を超える下落となった。三菱重工やIHIなど防衛関連が弱かったほか、フジクラが急落するなど、最近の売買代金上位の常連銘柄が嫌われた。米長期金利の大幅低下を受けて三井住友、MS&AD、東京海上など金融株が全般軟調。子会社の雇用調整助成金受給に関する調査の関係で決算発表の延期を発表したHISが急落した。
日経平均は大幅安。もともと米国株高に対する好反応は限られそうな雰囲気があった中、寄り前にネガティブな材料が出てきたことで下に値幅が出た。トランプ政権が誕生すれば、関税の話が出てくることは予想はされていた。トランプ氏はまだ大統領ではないし、他国との交渉で先に揺さぶりをかけるのも常套手段。関税を課す国の中に日本は含まれなかったのだから、売り一巡後はもう少し戻してほしかった。
それでも、(1)安値は38020円までで38000円は割り込まなかった、(2)大引けが後場の高値となった、(3)前日の上げ分(496円高)を消失するまでの下げにはならなかったーことなどは期待の持てる動き。一時700円超下げて主力銘柄はほぼ全滅だったが全面安とはならず、プライムでは値上がり銘柄が結構多かった。米国では新財務長官に関するニュースを受けて長期金利が大きく低下しており、この点はグローバル株式市場にとって安心材料。本日は11月開催のFOMC議事要旨が公表される。次回12月(17日~18日)のFOMCで利下げがスキップされるとの見方が浮上してくるようだとマーケットが混乱しそうだが、そこまでの議論になっていなければ、市場は12月の利下げを織り込みに行く。議事要旨が米長期金利の低下を促し、改めてリスク選好ムードを高めてくれる展開に期待したい。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 株式明日の戦略大幅安も終盤には下げ幅を縮小 米長期金利の動向に要注目
半導体メーカーのエヌビディア(NVDA)は取引終了後に第3四半期決算を発表。1株当たり利益が予想を上回り配当計画も維持、第4四半期の利益率見通しがほぼ市場通りとなったが、市場の期待に満たず時間外取引で売りが先行している。
半導体製造装置大手のASMLホールディングの受注高減少や、半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)が半導体市場の見通しを下方修正したことを受け、半導体業界全般への懸念も広がっています。ただし、世界の半導体売上は回復し始めたばかりです。また、今後のAIなどでの活用余地を考えると、世界のGDP(国内総生産)の0.4~0.6%で推移していた半導体売上は上振れる可能性もあるでしょう。それらを踏まえると、電機・精密企業の株価が過度にアウトパフォームしてきた訳ではないと言えそうです。
ディスカウント小売のターゲット(TGT)は第3四半期の既存店売上高が予想を下回ったほか、売り上げの伸び悩みと在庫の積み増しが利益圧迫要因となると通期見通しを下方修正し、大幅安。自動車メーカーのフォード・モーター(F)は電気自動車(EV)部門の売り上げが冴えず、欧州で4000人の雇用削減を発表し、下落した。
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