中東に位置するトルコの通貨リラを取り巻く環境を分析し、トルコリラの今後の値動きを予想した。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也 X(Twitter)
リラ/円1カ月ぶり安値の背景は?
トルコリラ/円相場は28日の東京市場で約1カ月半ぶりに4.325円前後まで下落した。トルコ中銀は先週21日に政策金利を50.00%に据え置いたものの、「ディスインフレ(物価鈍化)のプロセスは力強さを増している」との見解を示し、比較的早い時期に利下げに着手する可能性を示唆。利下げ観測がリラの上値を抑える中、米国のトランプ次期大統領が26日に就任初日にも中国、メキシコ、カナダに関税を課す方針を表明したことで市場心理が悪化した。27日には米感謝祭休暇を前に持ち高調整と見られる円買い戻しが強まったことも相まってリラ安・円高が進行。28日の安値更新へとつながった。
12月3日のトルコCPIに注目
来週は12月3日にトルコ11月消費者物価指数(CPI)が発表される。前回10月CPIは前年比48.58%と予想ほどではなかったものの9月の49.38%からいくぶん鈍化した。中銀がディスインフレに自信を示していることを踏まえると、11月CPIが鈍化すれば12月にも利下げに着手するとの観測が市場で高まるだろう。なお、トルコリラ/円の日足一目均衡表は雲の上限が来週中に4.354円前後へとせり上がる。これを下抜けてしまえば(雲の中に押し込まれてしまえば)、雲の下限にあたる4.281円前後まで下値余地が拡大することになる。この点からも3日のトルコ11月CPIが注目されそうだ。
トルコリラ/円(TRY/JPY) 日足チャート
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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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トルコリラの焦点 トランプリスクで1カ月半ぶり安値CPIで一目雲中なら下値余地も FX予想
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国民の日常生活の必須アイテムの価格が大きく上昇していて、これがトルコに大きな政治変化をもたらすと考えます。
また、トルコ中銀は10月の実質実効為替レートを発表していて、10月の値は60.37となりました。9月の実質実効為替レートも63.09から62.93に下方修正されています。
来週は12月3日にトルコ11月消費者物価指数(CPI)が発表される。前回10月CPIは前年比48.58%と予想ほどではなかったものの9月の49.38%からいくぶん鈍化した。中銀がディスインフレに自信を示していることを踏まえると、11月CPIが鈍化すれば12月にも利下げに着手するとの観測が市場で高まるだろう。なお、トルコリラ/円の日足一目均衡表は雲の上限が来週中に4.354円前後へとせり上がる。これを下抜けてしまえば(雲の中に押し込まれてしまえば)、雲の下限にあたる4.281円前後まで下値余地が拡大することになる。この点からも3日のトルコ11月CPIが注目されそうだ。
エネルギー価格の上昇が止まらない限り、トルコリラの下落トレンドも止まらない可能性が高いです。
トルコリラの対円相場は9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、今週半ばにかけて、約1カ月半ぶり高値となる4.37円まで上昇しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、一目均衡表基準線、転換線、雲下限、ボリンジャーミッドバンド)を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「強気のバンドウォーク」「下降チャネルのレジスタンスライン突破」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を強く印象づけるチャート形状となりつつあります。
中東に位置するトルコの通貨リラを取り巻く環境を分析し、トルコリラの今後の値動きを予想した。
トルコリラ/円相場は28日の東京市場で約1カ月半ぶりに4.325円前後まで下落した。トルコ中銀は先週21日に政策金利を50.00%に据え置いたものの、「ディスインフレ(物価鈍化)のプロセスは力強さを増している」との見解を示し、比較的早い時期に利下げに着手する可能性を示唆。利下げ観測がリラの上値を抑える中、米国のトランプ次期大統領が26日に就任初日にも中国、メキシコ、カナダに関税を課す方針を表明したことで市場心理が悪化した。27日には米感謝祭休暇を前に持ち高調整と見られる円買い戻しが強まったことも相まってリラ安・円高が進行。28日の安値更新へとつながった。
CPIとPPIの乖離が記録的な水準で、生産者のコストがいずれ消費者に転嫁されることを想定すると、トルコは長期に渡ってインフレに悩まされることになりそうです。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)外国人投資家による資金流入期待(トルコ政府・トルコ中銀による正常化政策を好感する形で大手格付会社が相次いで格上げ実施→PIMCOなどの大手運用会社がトルコへの積極投資を継続)や、(2)日銀による過度な利上げ期待の剥落(海外勢による円キャリートレードの再開期待→ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)、(3)経済的な結びつきの強い中国経済の回復期待(中国人民銀行による金融緩和に加えて、中国政府が大型財政出動に踏み切るとの期待感)、(4)トルコ中銀による年内利下げ観測の後退(先週発表されたトルコCPIが市場予想を上回った他、トルコ中銀カラハン総裁からも「トルコのインフレ上昇リスクは明らか」「利下げの主な条件である月次インフレ率の恒常的かつ大幅な低下と、予想物価上昇率の中銀予想レンジへの収れんが満たされるまでにある程度の距離が残っている」との発言あり)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。
前日欧州時間から本日アジア時間のマーケット動向と個人7資家動向をまとめました。市場参加者の動向を確認し、FX取引をする上での情報としてお役立てください。
外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。
11月に入り、トルコリラは対米ドル・対円で下落していて、米ドル/トルコリラは9.7リラを超え、トルコリラ/円も11.6円まで下がりました。
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