トルコリラ/円 見通し「12月利下げ観測高まるか…3日に11月CPI」注目の高金利通貨 12月1日号

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トルコリラ/円 見通し「12月利下げ観測高まるか…3日に11月CPI」注目の高金利通貨 12月1日号

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メキシコペソや豪ドルなど投資家にとって魅力的な通貨の最新状況について、これまでの動向や注目ポイントについて解説します。

作成日時 :2024年11月29日16時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
X(Twitter)@KandaTakuya

執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也

トルコリラ/円(4時間足)

※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照

先週のトルコリラ/円は1カ月半ぶり安値へ下落

 週初25日こそ4.469円前後まで上昇して日足陽線引けとなりましたが、その後は軟調続きとなりました。26日には米国のトランプ次期大統領が中国などに関税を課す方針を表明したことで市場心理が悪化。リラ/円は一時4.40円台を割り込んで下落しました。翌27日は米国の感謝祭を前に持ち高圧縮の円買戻しが活発化する中で続落。28日は米感謝祭のため、やや動意を欠きましたが、29日に入るとドル/円の150円割れにつれて4.294円前後まで下値を拡大し、10月9日以来の安値を付けました。なお、28日に発表されたトルコの10月貿易収支は59.1億ドルの赤字で、欧州連合(EU)向けの輸出が増加したため前年比で赤字が10.5%縮小しました。

今週のトルコリラ/円の注目ポイントは11月CPI

 今週12月3日にトルコ11月消費者物価指数(CPI)が発表されます。トルコ中銀は先々週11月21日の会合で政策金利を50.00%に据え置いたものの、「ディスインフレ(物価鈍化)のプロセスは力強さを増している」との見解を示し、比較的早い時期に利下げに着手する可能性を示唆しました。仮にトルコ中銀が利下げに踏み切れば2023年2月以来となります。それだけに、3日の11月CPIに注目が集まりそうです。なお、11月CPIの市場予想は前年比+46.80%となっており、前月の+48.58%から鈍化すると見られています。11月CPIが予想以上に下振れすれば、12月(26日)の利下げ観測が高まる可能性があるでしょう。

 

今週のトルコリラ/円の見通し

予想レンジ
4.250円~4.400円

基調
方向感模索

来週の注目ポイント
☆12/3 トルコ11月CPI
・主要国株価、国際商品価格

 

TRY/円(TRY/JPY) FX為替レート・チャート

 
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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

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この時も トルコリラ相場は 大きく調整しました

資源輸入国のトルコは、原油や天然ガスをイランから輸入していますが、これが差し止められると、資源調達コスト増や、すでに高水準なインフレのさらなる加速など、悪影響は甚大となります。しかしその懸念が払拭され、5日のトルコリラ円レートは急上昇しました。

またコロナウィルスの蔓延、ロシアのウクライナ侵攻を受けた商品や穀物価格の高騰で、トルコのインフレは、既にハイパーインフレ状態です。一方エルドアン大統領は、全く考えを変えず、トルコリラの歴史的な下落が続いています。国民の不満も高まっていますが、2023年の総選挙では、エルドアン大統領が再選されました。また、同氏は中銀の総裁として、初めて女性で、元ファースト・リパブリック・バンクの共同最高経営責任者である、ハフィゼ・ガイ・エルカン氏を指名しました。同氏は、それまで政権よりだったカブジュオール元総裁とは異なり、インフレの撲滅のために、政策金利を強く引き上げていますが、それでもトルコリラ安は全く止まっていません。2024年もトルコでは、インフレの抑え込みと通貨安の防衛が、最大の課題となりそうです。

トルコリラ円に関する来週の経済イベントは、下記が予定されています。

なお、懸念されていた米中間選挙については、ほぼ事前予想通りの展開でレートに大きな影響はなく、また今日9日未明のFOMCによる米政策金利発表も結果は据え置きと、トルコリラ円レートに大きな影響は見られませんでした。

週足チャートで見ると、今年ずっと下げていたトルコリラ円レートが、9月以降は反発していたことがわかります。

しかし、エルドアン大統領が率いる公正発展党はもともと親イスラム政党であり、政教分離を快く思っていなかったエルドアン氏と政教分離を守ろうとする軍部との対立が次第に激化し、遂に2016年には、エルドアン大統領の追い落としを狙った「軍事クーデター」が発生しました。この時も、トルコリラ相場は、大きく調整しました。公正発展党による低所得者対策などが功を奏し、国民がクーデターを支持しなかったことでクーデターは、失敗に終わりましたが、現在もエルドアン大統領の独裁的・強硬姿勢から政権の不安定さは続いています。

注1 5月24日付レポート「いよいよトルコリラの潮目が変わったか」

来週のトルコリラ円レートは、高値21.75円から安値19.75円のレンジを予想します。

この展開をうけ、市場ではトルコリラ円レートの底入れと見る向きも根強くなっていますが、年間で2桁台に達する極めて高い水準のインフレ率が、ここにいたってなお進行している事実は揺るぎなく、半信半疑の市場はムーディーズ発表のような悪材料に敏感に反応している状況です。

声明内容は、今年8月の通称「トルコリラショック」からの2ヶ月間で、これらの問題は解決され、「トルコ経済の最悪期はもう過ぎた」とするものです。

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