外為どっとコムが提供するCFDサービス「CFDネクスト」の各銘柄(WTI原油、金スポット、銀スポット、天然ガス)と米ドルの「相性」(相関性)をランキング形式でまとめました。銘柄ごとの変動要因についても簡素にまとめています。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
「米ドルとの相性抜群ランキング」(過去1週間の対米ドルでの相関係数)
順位 | CFD銘柄 | 相関係数 |
---|---|---|
1 | 天然ガス | 0.19 |
2 | 金スポット | 0.67 |
3 | WTI原油 | 0.79 |
4 | 銀スポット | 0.87 |
集計期間中(11/22~11/28)米ドルと負の相関が強かったCFD銘柄はなかった。中東を巡るリスクが後退したことで、WTI原油や金スポットが下落した。一方で、米国の感謝祭休暇を前にトランプ・トレードの巻き戻しが持ち込まれたことでドル売りが強まったが、CFD銘柄への影響はなかった。
米ドルの他通貨に対する相対的な強弱を示すドルインデックスは期間中に1.40%下落した。
※米ドル建てで取引される資源は一般的に米ドルの動向と負の相関(逆相関)が強いと言われている
※数値が-1.0に近いほど米ドルの動きが直近の価格動向に影響を与えていたと考えられる
※資源価格は需給など様々な材料の影響で変動するため、必ずしも米ドルと負の相関関係が続くわけではない
WTI原油の変動要因と過去3カ月の値動き
ポイント:WTI原油価格は、中東リスク後退で下落
原油相場の変動要因は以下の通り
NEW!・期間中のWTI原油は1.83%下落した
NEW!・米エネルギー省の週報で米国内の原油在庫は予想以上に取り崩された一方で、ガソリン在庫は取り崩しの予想に反して積み増されていた。
NEW!・イスラエルとレバノンのイスラム組織ヒズボラが60日の一時停戦に合意したと報じられたことで、中東の地政学リスクが後退した
・中国をはじめとした世界経済の先行き不透明感が高まっている
・石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成されるOPECプラスは12月から計画されていた供給拡大を1カ月遅らせることを決定した
・OPECプラスの自主減産が続く中で、一部の加盟国は割り当てられた生産量を無視して生産量を増やしている
天然ガスの変動要因と過去3カ月の値動き
ポイント:天然ガスは、2年ぶり高値圏での推移が続く
天然ガス相場の変動要因は以下の通り
NEW!・期間中の天然ガスは4.50%下落した
NEW!・米エネルギー情報局(EIA)の週報では、米国内の天然ガス貯蔵量は2Bcfの減少。市場予想は1.11Bcfの減少だった。総貯蔵量は過去5年平均を約7.2%上回っている(11/22時点)
※Bcf=10億立方フィート
・米バイデン政権は2024年1月にLNGが環境に与える影響を評価するためにLNGを新たに輸出する際の許可を一時的に凍結
金(ゴールド)スポットの変動要因と過去3カ月の値動き
ポイント:金(ゴールド)スポット価格は、ウクライナ情勢の悪化を受けてV字回復
金(ゴールド)スポット相場の変動要因は以下の通り
NEW!・期間中の金スポット価格は1.19%下落した
NEW!・中東リスクの後退が安全資産の金を売る動きにつながった。
・金価格は10月30日に一時1トロイオンス=2801.80ドルまで上昇し史上最高値を更新した
銀スポットの変動要因と過去3カ月の値動き
ポイント:銀スポット価格は、方向感を示せず
銀スポット相場の変動要因は以下の通り
NEW!・期間中の銀スポット価格は1.80%下落した
・中国の製造業の回復と太陽光パネルの需要増加から銀価格の上昇を後押し
・金同様に装飾需要がある
・幅広い産業需要があり、需要の5割以上が工業用需要。そのため経済が上向くと銀の需要が増える
・太陽光パネルなど幅広く使われているため、ここ数年は供給不足気味
・価格が低い分変動率が大きくなってしまう
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『CFDネクスト』においてスプレッド実績は日本N225では42%縮小し2.9(提示率は最も高く99.95%)、WTI原油では13%縮小し0.026(提示率は99.88%)となりました🌟
今後も、さらに低コストでお取引いただける環境を提供するために邁進してまいります。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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中東情勢の緊張やわらぎ金 ゴールド や原油価格はやや落ち着く週刊
金価格は10月7日のハマスによるイスラエル攻撃前は1オンス=1845ドル程度で取引されており、足元までの上昇率は32%に達している。ライシ氏の死去が中東情勢に与える影響は不透明だが、ライシ氏の後任を決める大統領選挙は新たな不確定要素といえそうだ。
金は安全資産としての特性を持つ。ゆえに中東情勢を巡る緊迫した状況は、本来であれば金価格の押し上げ要因である。
金価格の今後の見通しをめぐっては、引き続きドル安と中東情勢の先行きが注目される。ドル安に関しては、22日午後2時(日本時間23日午前3時)に公表される5月1日までの連邦公開市場員会(FOMC)の議事要旨で、連邦準備制度理事会(FRB)が9月にも利下げに踏み切るとの見通しが裏付けられるかが焦点となりそうだ。
また中東情勢では、ハマスが拠点を置くパレスチナのガザ地区への攻撃を続けるイスラエルへの批判も強く、国際刑事裁判所(ICC)は20日にイスラエルのベジャミン・ネタニヤフ首相らの逮捕状を請求すると発表した。ただ、こうしたICCの動きに対し、イスラエルやアメリカは強く反発しており、国際社会を仲介役として模索されているイスラエルとハマスの休戦協議がいっそう難しくなる可能性もありそうだ。
最近の相場上昇は、燃料需要の増加につながる可能性のある米国の利下げへの期待や、レバノンでイスラエルとヒズボラの軍事衝突が激化し、この重要な地域からの石油供給を中断させる可能性のある広範な中東紛争への懸念が高まったことに起因している。
1時間足のMACDはゼロラインを下回り低下基調にある。一方、RSIは売られ過ぎの水準に到達していない。目先は上で取り上げたサポートポイントのトライを想定しておきたい。これらテクニカル指標がゴールデンクロスへ転じる場合、特に金価格が上のサポートポイントをトライする局面でゴールデンクロスが確認される場合は、金価格の反発を意識したい。
原油価格は、過去3セッションで7%を超える大幅な上昇を見せた後、火曜日のアジア取引では小幅な下落を見せた。中東情勢が緊迫化し、リビアの油田が閉鎖されたことで、潜在的な供給障害に対する懸念が上昇に拍車をかけた。
なお、2,600ドルはフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。10月2日のIGコモディティレポート「高まる中東の緊張、増す金の投資需要、最高値を視野にNY金は再び上昇ムードに」で取り上げた9月11日の安値を起点とした半値戻しの水準(2,593レベル)の存在も考えるならば、テクニカルの面でも2,600ドルを重要なサポート水準として注目したい。
この点をチャートで確認すると、原油高と米長期金利はほぼ同じトレンドを形成している。「イランとイスラエルの対立激化→中東地域のさらなる混迷→石油の供給懸念→原油高」の動きに追随し、米長期金利は昨日、約2か月ぶりに節目の4%台に乗せた。
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