3日の香港市場は軟調か。ハイテク分野での米中対立の激化が懸念されそうだ。米政府は2日、人工知能(AI)向けの先端半導体や高性能の半導体製造装置などの中国への供給を制限するための新たな措置を発表した。取引を事実上禁じる「エンティティーリスト」に、中国系の半導体関連企業140社を新たに追加したほか、先端品の輸出規制の対象を韓国や台湾、マレーシアなどにも拡大。もっとも、米政府の対中半導体規制の強化は事前に報じられており、市場ですでにある程度織り込まれた可能性がある。
一方、前日までに官民が発表した2024年11月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)がともに市場予想を上回ったことを受け、中国の景況感の改善を好感する買いが下値を支えるだろう。来年の経済運営の基本方針を決める中央経済工作会議が今月開催されるとあって、政策期待も根強い。
2日のNY市場でダウ平均は反落。一時91米ドル高まで上昇し、再び心理的節目の4万5000米ドルを上回ったが、128.65米ドル(0.29%)安の4万4782.00米ドルで終了した。一方、S&P500とナスダック総合はそれぞれ0.24%高、0.97%高と2営業日続伸し、ともに取引時間中と終値の史上最高値を更新した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は、百度(09888)、テンセント(00700)、HSBC(00005)などが香港終値を上回った半面、蔚来集団(09866)、アリババ集団(09988)などが下回って引けた。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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一方、銀行は総じて堅調でした。中国の主要銀行は恒大問題による影響が懸念されましたが、各銀行の不良債権比率は1-2%にとどまりました。不良債権貸倒引当金カバー率(不良債権残高に対する貸倒引当金の比率)はやや上昇したものの、貸倒引当金の大幅な積み上げはみられませんでした。各銀行は恒大問題を受け、今後不良債権が大幅に増加するとは見込んでいないようです。英金融大手のHSBC(00005)も決算発表で、中国へのエクスポージャーに対して過度に懸念していないとコメントしました。HSBCの7-9月期の増益は、貸倒引当金の戻し入れによるものですが、同社は10-12月期(4Q)にさらなる戻し入れを行う見通しを示しました。
ちなみに中国で開発中の新型コロナウイルス感染症ワクチンの候補が、年末にも市場に投入される見通しであると中国国務院の国有資産監督管理委員会が発信しております。こちらも実現すれば新型コロナウイルスの第2波襲来の懸念は後退します。
永く第一線でディーラーとして活躍したYEN蔵氏。専門知識を活かした相場解説や今後の見通しを知るうえで有効です。
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