クロマグロ漁獲枠拡大 安くなる
日本のクロマグロ漁獲枠3年ぶり拡大 大型は1.5倍 「海のダイヤ」安くなる?
太平洋のクロマグロの漁獲枠などについて話し合う国際会議がきょう閉幕(中西部太平洋まぐろ類委員会)。日本の漁獲枠が拡大する見込み。30kg以上のクロマグロの漁獲枠が現状の1.5倍の8421t、30kg未満も10%増える予定。沖縄南方沖で6月、水産庁が撮影した珍しい映像。クロマグロが数百匹の群れで産卵している様子。魚食普及推進センター・早武忠利さんらが「資源は回復傾向。獲っても大丈夫だろうということになった」などとコメント。
漁獲枠が倍になったからマグロが半額になるというような話ではありませんが、ある程度は安くなるのではないかというのが早武さんの見立てです。
日本で食べられている主なマグロの種類は、クロマグロ・ミナミマグロ・メバチ・キハダ・ビンナガ(ビンチョウ)です。クロマグロはいわゆる本マグロ。ミナミマグロはインドマグロとも呼ばれますが、日本の流通量はクロマグロの3分の1程度です。クロマグロとミナミマグロは脂が多く、刺身や寿司のネタとして使われることが多いです。
漁獲枠の拡大を求めたその背景にあるのは、太平洋クロマグロの量(資源量)の変化です。2010年ごろまではクロマグロの量は減少傾向でしたが、環境保護の動きが功を奏して、量が大きく増えたのです。漁師だけではなく趣味でフィッシングをする人にも「このサイズはとってはいけない」というルールが厳格化されたことも影響しているのかもしれません。
そもそも、マグロはどんな場所でとれているのでしょうか。太平洋クロマグロの主な漁場は日本の近海やアメリカ・メキシコの近海で、日本の年間の漁獲量は約9000トンです。ミナミマグロ(インドマグロ)はアフリカの南やオーストラリア・ニュージーランドの近海、インド洋などでもとれていて、年間の漁獲量は約6000トンです。大西洋クロマグロについては、大西洋を横断するような場所で漁が行われていて、年間約4000トンとれています。
太平洋クロマグロの量は、現在の上限でとっていったとしても、今後も増えていくことが予想されています。そのため、要は“もっととって、もっと流通させていこう”ということを日本は求めています。
“マグロの王様”とも言われるクロマグロをめぐり、国際会議で日本が漁獲枠の拡大を求めています。漁獲量が増えると、マグロの価格は安くなるのでしょうか?一方で、同じようにおいしいけど低価格で買えるマグロもあるようです。日本人の多くが愛してやまないマグロのあれこれについて、魚食普及推進センターの早武忠利さんへの取材などをもとに情報をまとめました。
ただ、流通量がクロマグロの3分の1なので、どこのスーパーに行っても必ずミナミマグロが置いてあるとは限りません。早武さんは、海の資源を守る、物価高に対抗するという意味でも、スーパーでミナミマグロが見当たらなかったらぜひ「ミナミマグロは置いてないんですか?」と聞いてほしいと話します。このように聞くことで、店側が「最近ミナミマグロの問い合わせが多いな」として、仕入れを検討するかもしれないということです。
このクロマグロの漁獲枠が拡大すると、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。専門家である魚食普及推進センターの早武忠利さんは「価格はある程度安くなるだろう」という見解を示しています。マグロの養殖技術も発達して、回転ずし店でもマグロが常に並んでいる中、クロマグロのとれる量が大きく増えると、安くなってくるといいます。
現在のクロマグロの漁獲上限は、小型魚(30kg未満)が年間4725トン、大型魚(30kg以上)は年間7609トンです。この漁獲上限について水産庁、つまり日本は、小型魚を1.3倍に、大型魚を2.3倍に引き上げることを求めました。
ただ、高騰し続けている燃料代や、人件費はかかってきます。さらに、今はそこまで勢いはないものの、海外の人たちがクロマグロのおいしさに気づき出して海外需要が増えると、その相場に引っ張られて値段があまり下がらないかもしれません。
そんな中、7月10日から開催されている国際会議「中西部太平洋まぐろ類委員会」。毎年行われている会議で、日本・韓国・台湾が太平洋西側でとる太平洋クロマグロの漁獲上限を決めています。
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