本日のNY市場でのドル円は、明日に11月米消費者物価指数(CPI)の発表を控えているほか、手掛かりとなりそうな材料にも乏しいことから、株価や米長期金利をながめながら方向感を模索する展開となるか。
経済指標は、7-9月期米非農業部門労働生産性・改定値が予定されている程度。米雇用統計を消化した直後ということもあり、速報値(前期比:+2.2%)から大きく乖離しないと材料視されづらいかもしれない。また、翌週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にブラックアウト期間に入っていることもあり、米要人発言も予定されていない。これらを踏まえると、株価や米長期金利に動きが見られなければ、積極的な売買が手控えられて様子見ムードが漂う展開も想定される。
ただし、材料難のなかだけに、日銀会合やFOMCについての観測報道が伝わると市場が過剰に反応することも考えられる。各種報道には注意したい。そのほかNY午後には3年債入札も予定されており、入札結果を受けた米長期金利の動向もまた、注意が必要だろう。
想定レンジ上限
・ドル円は200日移動平均線151.99円。超えると日足・一目均衡表の基準線152.70円
想定レンジ下限
・ドル円は本日安値151.15円。割り込むと日足・一目均衡表の雲上限150.52円
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY為替見通しドル円 明日の米CPIを前に方向感模索か
・FOMC参加者は、足元の銀行セクターの動向を受け、経済活動を始め労働市場、インフレに関する見通しが、既に高い水準にある不確実性をさらに高めたとみなした。FOMC参加者は、経済活動に対するリスクは下方向に偏いていると見込む。経済活動の下振れリスクとして、参加者は銀行が予想以上に信用供給を低下させる可能性を指摘し、経済活動を大幅に抑制する場合があるとした。
問題は、財価格の押し下げが続くか否か。4月2日にOPECプラスがサプライズの追加減産に踏み切った結果、WTI原油価格は80ドル付近がフロアになったと捉えられます。足元のガソリン価格の上昇もあって、今後急数カ月は鈍化ペースが限定的となる見通しだ。
・政策見通しについて議論する過程で、参加者はインフレ率が依然として高過ぎる水準にあり、労働市場が引き続きひっ迫していることを確認した。その結果、インフレ率を長期的に2%に戻すために十分に制約的な政策姿勢を達成すべく、いく分の引き締めが適切であるかもしれないと予想した。多くの参加者は、最近の銀行セクターの動向が経済活動やインフレに与える影響を踏まえ、足元の経済指標に基づく評価と比較して、十分に制約的となるFF金利目標レンジの評価を引き下げたと指摘。今後の利上げを決定する際、FOMC参加者は、金融政策の引き締めの累積効果、金融政策が経済活動やインフレに影響を与えるラグ、経済・金融情勢を考慮することが適切であると判断した。
この発言からは、バイデン政権側が米大統領選を予定する2024年を前に、インフレ抑制による過度な利上げを通じた米景気後退を回避したい意向が伺えます。OPECプラスによる追加減産を受けても、米エネルギー情報局(EIA)が短期予測で示した米国内での増産がこの追加減産を補うとの見通しも、FRBのインフレ最優先からの方向転換をサポートします。
JPMのジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は、決算後の説明会で2023年の純金利収入につき810億ドルと、前回予想の740億ドルから上方修正した。ただし、JPMの見通し引き上げは今年の利下げを織り込んだ数字で、預金者への金利支払いが低下すると想定がある。また、JPMのような大手行であれば預金者への金利引き上げに対応できても、中堅・中小銀行が大手との競争に追随できるか疑問が残る。預金者への金利負担の上昇は銀行の利益率の低下につながり、貸出金利のさらなる引き上げを招き、米景気にはマイナス材料だ。
・銀行セクターでの動向を受け、FOMC参加者はFF金利見通しを据え置いた(筆者注:2023年は据え置き、2024年のみ上方修正)。
・FOMC参加者は、経済活動や労働市場、インフレへの影響を評価することに加え、信用状況や信用フローの変化など、より広範な金融情勢の変化に関する情報を精査することが特に重要であると指摘した。一部の参加者は、不確実性の高い経済見通しを踏まえ、金融政策の適切な姿勢を決定する上で、柔軟性と選択肢を維持する必要性を強調した。
先週は2つのビッグイベントがあった。ひとつは、5日に行われたアメリカ大統領選挙と議会選挙である。大統領選挙では共和党のトランプ氏が激戦となった7州すべてで勝利をおさめて圧勝した。議会選挙では共和党が上院を制し、下院選でも共和党が過半数を獲得する見通しとの報道が見られる。トランプ陣営の躍進を受け、選挙後の外為市場では「トランプトレード」の米ドル高が進行した。
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