船井電機前社長語る 1円譲渡の訳

船井電機前社長語る 1円譲渡の訳
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船井電機前社長語る 1円譲渡の訳

1円譲渡の詳細は?

めちゃくちゃ安く買えるチャンスだから、船井電機の資産を担保に「LBOしたい!!」って状況だったわけですね。

その後創業者の息子の船井哲雄氏の持ち分は、自己株の取得をしています。

この取引によって、船井電機の株主は「秀和システムホールディングス」だけとなります。

秀和による買収で船井電機の本業は立て直されるどころか、大きく縮小した。買収前の20年度の時点では、船井電機は売上が804億円、営業損益が3億円の赤字、最終損益が1200万円の赤字で、現預金は344億円、純資産は518億円あった。だが、秀和による買収後わずか3年で負債総額は461億円に膨れ上がり、117億円の債務超過に陥った。昨年度の売上高は3年前の約半分の434億円、最終損益は131億円の赤字となった。

しかし、好調は続かなかった。2010年代に入ると、徹底したコスト低減による低価格を強みにシェアを拡大させていた船井電機は、海信集団(ハイセンス)やTCL集団など中国勢の台頭に押され業績が悪化。創業者である船井哲良・取締役相談役(当時)は大きく経営戦略を転換させ、北米向けの低価格のOEM供給から国内向けの4Kテレビなど高品質商品を自社ブランドで販売する方針にシフト。16年にはFUNAIブランドのテレビについてヤマダ電機(現ヤマダデンキ)と10年間の独占供給契約を締結するなどしたが、業績は好転せず。21年に秀和システムHDのTOB(株式公開買い付け)を受け入れて上場廃止に。23年に持ち株会社制に移行し、船井電機HD傘下に事業会社の船井電機を置く体制となった。

これで、りそな銀行の180億円の借入が船井電機のものとなったという事です。

さすがに、みんなが幸せな夢のような仕組みではないという事で、今回の船井電機では最悪のケースとなってしまいました。

また、船井電機のケースは、日本の法制度の脆弱性も浮き彫りにした。経営者の責任を追及するための法整備や、企業の透明性を確保する仕組みの強化が急務だ。同時に、再建を進めるうえでは、利害関係者間の対立を解消し、一枚岩となって企業の再生を目指す必要がある。

3年前に社長に就任し、破産直前に独断で経営権をファンドに1円で売却した人物が、その裏事情を初めて語りました。

まず、「秀和システム」が「船井電機」を買収するために作った「秀和システムホールディングス(秀和システムの子会社で別会社)」がりそな銀行から船井電機の同額の定期預金を担保に180億円借ります。

破産を決定づけたのも、ミュゼプラチナムの買収だとみられている。ミュゼプラチナムが代金未払いで広告会社に対し抱えていた負債について船井電機HDが連帯保証しており、船井電機の9割の株式を広告会社が仮差し押さえするという事態が起きていたという。これらの結果、船井電機からは秀和による買収後、約300億円の資金が流出した。

船井電機の破産劇は、企業経営における透明性と責任の重要性を再確認させるものだ。企業はその社会的責任を自覚し、株主や従業員を含む多くのステークホルダーの信頼を守らなければならない。船井電機の再建がどう進むかは不透明な状況だが、この出来事がもたらす教訓を無駄にしてはならない。コーポレートガバナンスの強化と法制度の見直しが、同様の事態を防ぐ鍵となるだろう。

1961年にトランジスタラジオなどの電機製品のメーカーとして設立された船井電機が大きく成長する契機となったのが、米ウォルマートとの取引開始だった。1990年代にウォルマートと提携し、全米の同社店舗で船井のテレビをはじめとするAV機器を販売。OEM(相手先ブランドによる生産)供給の拡大やオランダのフィリップスからの北米テレビ事業取得(2008年)などもあり、世界的に名を知られる存在となった。

ですが、実は買収完了後の船井電機にはこれほどの財務力があるとは言えません。

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