今晩は11月CPIに注目。昨日は翌日の米11月消費者物価指数(CPI)の発表を控えた様子見が強まり主要3指数がそろって下落した。決算が嫌気されたオラクルが6%超下落したことや、中国当局の独占禁止法違反での調査が嫌気されたエヌビディアが2%超続落したことも相場の重しとなった。ダウ平均は154.1ドル安(-0.35%)と4日続落し、S&P500も0.30%安と2日続落した。ナスダック総合は朝方に7営業日連続で取引時間中の史上最高値を更新したが、0.25%安と2日続落して終了した。
今晩は12月17-18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ見通しを巡り、寄り前に発表される米11月消費者物価指数(CPI)に注目が集まる。12月FOMCでは追加利下げ観測が高まっており、CMEのフェドウォッチ・ツールでは86%の確率で0.25%の利下げが予想されている。FOMCの判断に影響を与えるとみられる11月CPIの市場予想は、前月比+0.3%、前年比+2.7%、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは前月比+0.3%、前年比+3.3%と、おおむね10月分から横ばいが見込まれている。CPIが予想以上の伸びとなり、インフレの根強さを示す結果となれば、12月利下げ期待の後退が相場の重しとなることが警戒される。
今晩の米経済指標・イベントは11月CPIのほか、MBA住宅ローン申請指数、EIA週間原油在庫、米10年債入札など。企業決算は引け後にノードソン、アドビが発表予定。(執筆:12月11日、14:00)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
11月CPIの結果はFRBの利下げ見通しを揺らす可能性がある
アメリカの株式市場が米中対立のリスクで揺れた。S&P500種株価指数の9日の終値は3週間ぶりの大幅な下落。中国政府が半導体大手NVIDIA(エヌビディア)に対して独占禁止法違反の疑いで調査を始めたと伝わったことが悪材料となった。米中関係はドナルド・トランプ次期大統領の再登板で緊張が高まるとみられており、中国の反撃姿勢が投資家の不安を高めている。一方、米国株式市場では11日に発表される11月消費者物価指数(CPI)への関心も高い。物価上昇の根強さが感じられれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ予想が後退し、S&P500の今後の見通しにとって悪材料となる可能性もありそうだ。
投資家の警戒感の背景には、米労働省が11日午前8時30分(日本時間11日午後10時30分)に11月CPIを発表することもありそうだ。ブルームバーグがまとめた市場予想によると、総合指数の伸び率は前年同月比2.7%、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は3.3%になるとみられている。総合指数は10月の2.6%から加速、コア指数は横ばいになるとの見通しだ。
そのため日米の金融政策見通しが劇的に変化するまで、円相場は当面、1ドル=150-155円のレンジで推移するとBBHは予想している。
金スポット相場は3営業日続伸。市場の関心は週内に発表される米国の主要インフレ指標に移っている。米連邦公開市場委員会(FOMC)による今年最後の政策決定を控える中、インフレ指標は市場の見通しに影響を及ぼす可能性がある。この3日間の上昇で、金は最近の狭いレンジを上抜けた。
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
トレーダーは現在、週内に公表される石油輸出国機構(OPEC)と国際エネルギー機関(IEA)の市場見通しのほか、11日の米消費者物価指数(CPI)に注目している。
11月CPIの結果はFRBの利下げ見通しを揺らす可能性がある。CMEグループのデータによると、17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間10日午前11時現在で約86%。その後の利下げは2025年3月に行われるとの見方が有力だ。ただ、11月CPIが予想よりも強い結果になれば、2025年の利下げペースが鈍化するとの見方が広がり、S&P500の今後の見通しを悪くすることも考えられる。
こうした中、9日の金融市場ではウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)が上昇した。シカゴ・オプション取引所によると、VIXの9日の終値は14.19で、11月25日(14.60)以来の高さとなった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほどS&P500の値動きが荒くなる見通しが警戒されていることを意味する。
ニューヨーク原油先物相場は小幅高。中国の貿易統計で弱さが示されたものの、世界最大の原油輸入国である同国でより大胆な景気刺激策が実施されるとの見通しから買いが優勢となった。
S&P500(SPX)の9日の終値は前週末比0.61%安の6052.85。下落率はFRBの利下げへの慎重姿勢などが材料視された11月15日(1.32%安)以来の大きさとなった。S&P500は11月18日から12月6日にかけて、値下がりが2回しかなかっただけに上昇基調の継続見通しに影が差した形だ。
今週は米半導体大手エヌビディアの決算に注目。次世代AI半導体の出荷が本格化する2024年11月~2025年1月期の業績見通しが期待されている。ただ、週明け、ブラックウェルを巡り「サーバーラック設計に問題」と一部で報道されており投入遅延の懸念が生じている。また、予想を上回る見通しが発表されても、これまでの傾向から、上振れ幅が小さければ相場全体を押し上げるには至らないだろう。半導体株の株価動向は日米ともに生成AIの恩恵を享受できるかどうかで二極化している。仮に予想を大きく上回る決算だったとしても、株価上昇は全体に波及しない可能性には注意しておきたい。
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