東京市場オープニングコメント
「ドル・円は主に152円を挟んだ水準で推移か、米長期金利の上昇を意識してドルは下げ渋る可能性」
10日のドル・円は、東京市場では150円90銭から151円58銭まで反発。欧米市場では151円42銭から152円18銭まで上昇し、151円92銭で取引終了。本日11日のドル・円は主に152円を挟んだ水準で推移か。米長期金利の上昇を意識してドルは底堅い動きを保つ可能性がある。
11日に発表される11月米消費者物価指数(CPI)に対する市場の関心はまずまず高いようだ。CPI全体では前年比+2.7%程度、コアCPIは前年比+3.3%程度と予想されている。市場予想と一致した場合、市場参加者の間ではインフレ率の高止まりが意識されそうだ。来週開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では0.25ptの追加利下げが決定される見込みだが、インフレや政策金利の見通しが9月時点との比較で上方改定されていた場合、長期金利は上昇し、主要通貨に対するドル買いが強まる可能性がある。
《午前8時現在》 ドル・円: 151.30円-152.50円 151円台前半でドル買い興味
ユーロ・円: 159.30円-160.50円 159円台前半でユーロ買い興味
豪ドル・円: 96.30円- 97.50円 96円台前半で豪ドル買い興味
通貨別分析
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新NISAによるドル高圧力は中長期的には限定的であろう
もっとも、ドル高への回帰は長続きせず、4-6月期以降は円高基調に転じるとみている。FRBは、米国のインフレが抑制されることで、4-6月期以降緩やかな利下げサイクルに転じる見込みである。一方、日銀は4-6月期にマイナス金利政策の撤廃など、金融政策を正常化する見通しだ。こうした日米金融政策の方向性の違いが意識され、日米金利差が縮小するなかで、円高・ドル安を予想している。前述のように、新NISAによるドル高圧力は局所的にみられる可能性はあるが、中長期的な影響は軽微であるとみられる。ただし、①FRBによる利下げは金融市場で一部織り込まれているとみられること、②日銀はマイナス金利政策を撤廃するも、その後に政策金利をプラス圏に引き上げる公算は現時点で小さいこと、等を踏まえると、円高基調は緩やかなものに留まると予想している。
ただし、新NISAに伴う個人投資家の円売りが持続的にドル円の方向感を左右する材料になるとは考えていない。家計の外貨資産への投資は国際収支統計上、金融収支に反映されるが、金融収支の変化がドル円に影響を及ぼしている公算は小さいためだ。
ドル円の取引額は、一日あたり平均約145兆円7に上る。新NISAによる円売りフローが、ドル円の全体の取引額に占める割合は小さいといえるだろう。ドル円は日米金利差と方向性を一にする傾向があり(図表1)、日米金利差の縮小は、新NISAによる投資額の多寡に関わらず、今後も円高・ドル安方向に作用すると予想される。
今後のドル円について、短期的には一段の円安が進行する可能性もある。もっとも、2024年4-6月期からFRBが利下げに転じ、日銀がマイナス金利政策撤廃等、金融政策の正常化を行うとの見方が強まれば、日米金利差の縮小に伴い、円高基調に転じるとの予想は不変である。新NISAによるドル高圧力は中長期的には限定的であろう。
また、2024年初来、新NISA開始に伴う個人投資家による円売りが、ドル高に寄与している可能性が指摘されている。日米金利差の拡大では説明できないほど大幅なドル高が進行していることが、理由の一つにある。また、直近のドル円は、投機筋の動向と連動性が高いが、年初来の円安は、投機筋の円売りによるものではない1(図表2)。裏を返せば、投機筋以外の市場参加者によるドル買い意欲が強かったということだ。個人投資家の円売りがドルを押し上げた可能性を否定できないだろう。
この米国株の動きは、日経平均の上昇にとって非常に良い相性となります。米ハイテク株の上昇が日本の値がさハイテク株上昇につながります。また、米金利の上昇は円安・ドル高要因となり、日本の外需株物色につながっているのです。
ドル円は2023年末に200日移動平均線(MA)のあった1ドル=140円台まで下落後、2024年に入り反転し、上値抵抗線とみている100MA近辺(1ドル=147円台)まで上昇した(図表5)。1月中旬以降は1ドル=148円を挟んでレンジ相場となっているが、円が一段安となれば、短期的には1ドル=150円も視野に入る相場展開となる。
以上を踏まえると、新NISAの円安・ドル高圧力は局所的であり、ドル円の方向感を左右する材料にはなり難いと考えられる。家計の外貨資産への投資は国際収支統計上、金融収支に反映されるが、ドル円と金融収支の連動性は小さい6。むしろ、金融収支はドル円に遅行する傾向がある(図表4)。すなわち、ドル円が何らかの要因で、ラグを伴って金融収支に作用している可能性がある一方、金融収支がドル円に影響を与えている可能性は極めて小さいといえる。
そうした中、今週は4/10(水)に米3月消費者物価(CPI)が発表されます。同統計は1月、2月統計において、連続して市場予想を上回る伸びとなりました。インフレリスクが意識され利下げ観測が後退するなか、米10年国債利回りなど長期金利が上昇しました。ただ、これらのインフレ統計の上振れは一時的な要因との見方もあり、今回発表される3月統計でコアCPI(食品・エネルギーを除くCPI)は、前月の前年同月比+3.8%から、同+3.7%へ鈍化することが予想されています(Bloomberg予想)。同統計が市場予想を上回るようであれば、長期金利が一段と上昇し円安・ドル高を促す可能性があります。円相場は152円台突入へのトリガーとなるかもしれません。
そうなれば気になるのは、為替介入(円買い介入)が行われるのか否かでしょう。鈴木俊一財務相や神田真人財務官など通貨当局者からは、既に為替介入を匂わせながら円安をけん制する発言が度々聞かれることも確か。しかし、現状の円安のスピードは、前回為替介入(円買い介入)が行われた2022年秋に比べると遅く、当時に比べると緊急性は低いようにも思えます。また、円高是正のための円売り・ドル買い介入は、理論的に無制限で行えるのに対し、円安是正のための円買い・ドル売り介入は、売るためのドルが必要になるため介入に限界があり、簡単に行えないという実情があります。
もっとも、4/5(金)発表の米3月雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比+30.3万人と市場予想を(同+21.4万人)を大きく上回ると、堅調な米国経済を手掛かりにドル買いの動きが強まりました。円相場は週明け4/8(月)に一時、151円90銭台へ円安・ドル高が進んでおり、152円台への突入が改めて意識されています。
①について、NISA制度は長期的な資産形成を目的とした施策であるため、円を売ってドル2を買う動きはあっても、ドルを売って円を買う動きは見込みづらい。特につみたて投資枠については、長期的な継続投資が複利効果を高めるとされており、毎月決まった日に円売りドル買いの取引が発生することになる。相場環境に応じた売買が行われにくいとみられる。
図表9は、円相場(ドル・円相場)と同相場の動きに影響を与える日米金利差の推移を見たグラフです。円相場は3月下旬から足元にかけて、概ね1ドル=151円台で膠着状態にあります。日米金利差は、米国長期金利(10年国債利回り)の上昇を背景に拡大傾向を辿っています。本来であれば日米金利差の拡大は円安・ドル高要因となるため、円相場が152円台を超えて円安が進んでも不思議ではありません。しかしながら市場では152円台は政府・日銀にとって為替防衛ラインではないかとの見方が強く、その手前で踏みとどまっているように見受けられます。
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