メキシコペソや豪ドルなど投資家にとって魅力的な通貨の最新状況について、これまでの動向や注目ポイントについて解説します。
作成日時 :2024年12月13日15時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
X(Twitter)@KandaTakuya
執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
メキシコペソ/円(4時間足)
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
先週のメキシコペソ/円は半月ぶりの水準に上昇
ドル/ペソ相場が20.1~20.3ペソ台でほぼ横ばいとなる中、ドル/円が149円台から153円台に上昇した動きにつれて、ペソ/円は7.3円台から7.5円台へと強含みで推移しました。9日に発表されたメキシコ11月消費者物価指数(CPI)は前年比+4.55%、コアCPIは前年比+3.58%と市場予想をわずかに下回りましたが、ペソの反応は限定的でした。12日には7.590円前後まで上昇して11月26日以来の高値を付けましたが、メキシコ10月鉱工業生産が前年比-2.2%と大幅に落ち込んだことで上げ幅を縮小。なお、13日の日本時間15時時点では、前週終値より約1.7%高い7.563円付近で推移しています。
今週のメキシコペソ/円の注目ポイントはメキシコ中銀
19日にメキシコ中銀が政策金利を発表します。市場は4会合連続となる25bp(0.25%ポイント)の利下げを織り込み済みで、政策金利は10.00%に引き下げられる見込みです。予想通りの利下げであれば、市場の関心は声明で示される今後の政策スタンスに向かうでしょう。前回11月声明では「物価動向を把握する適切な指標と見なすコア物価上昇率が減速を続けると想定される」と指摘した上で「そうした環境によって政策金利のさらなる調整が可能になるだろう」との見方を示しました。中銀が注目する消費者物価のコア指数が11月に前年比+3.58%へと鈍化し、インフレ目標(2-4%)内に収束していることを踏まえると、今回も追加利下げに前向きな姿勢を維持する公算が高そうです。なお、来年2025年に政策金利は7.50%まで引き下げられるとの見方が市場にはくすぶっています。また、25年には米国でメキシコに厳しい姿勢を取るトランプ政権が発足することもあって、ここ数カ月ペソは対ドルを中心に軟調です。今回の利下げがペソ安を助長しないか注目しておく必要があるでしょう。
今週のメキシコペソ/円の見通し
予想レンジ
7.375円~7.675円
基調
下値不安
今週の注目ポイント
☆12/19 メキシコ中銀政策金利
・主要国株価、国際商品価格
メキシコペソ/円(MXN/JPY) FX為替レート・チャート
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
メキシコペソ 円 見通し
しかし、日本は2016年頃から「-0.1%」という低金利が続いていることを考えるとメキシコペソの金利水準の高さがわかります。
米ドル/メキシコペソがフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準17.94レベルを下方ブレイクする場合は、重要サポート水準の17.50が視野に入ろう。
メキシコペソ円が7.00レベルをも下方ブレイクする場合は、23年3月の下落相場(ペソ安・円高)を止めた6.80レベルまでの下落を想定しておきたい(下のチャート、赤ラインを参照)。
RSIは売られ過ぎの水準にある(下のチャート、緑矢印を参照)。ゴールデンクロスへ転じる場合は、メキシコペソ円(MXNJPY)の反発を想定しておきたい。しかし、反発の局面では常にブルトラップ(強気の罠)を警戒したい。
メキシコは、産出量世界1位の銀をはじめ、世界有数の原油輸出国で原油はメキシコ経済を支える重要な輸出品であることから、メキシコペソは原油価格の変動にも影響を受けてしまいます。
メキシコペソ円が5日線の突破に成功しても、次は10日線が控えている。この移動平均線は今日現在、7.87レベルで推移している(下のチャート、青ラインを参照)。直近1カ月間の高安、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準7.85レベルの存在も考えるならば、メキシコペソ円が反発しても10日線前後までが限界と想定しておきたい。
メキシコペソはただ買うだけで毎日収入が入る高金利通貨として人気です。
メキシコは世界有数の産油国であり、その通貨であるメキシコペソは資源国通貨として知られています。また、政策金利が高いことから高金利通貨とも言われています。そのためメキシコペソの価格は、政策金利の発表やエネルギー価格の変動に大きく影響を受けます。また、アメリカ経済との関係も密接であり、貿易輸出の約80%、輸入の約40%を対アメリカが占めています。そのため、アメリカ経済の影響を受けやすく、アメリカの消費者物価指数(CPI)や雇用統計といった経済指標の発表にも反応します。
メキシコペソの金利は、2019年は半年以上にわたって8%を超えていましたが、2020年は4.25%まで下落してしまいました。
短期的な調整(メキシコペソの短期買い戻し)で米ドル/メキシコペソ(USDMXN)が下値をトライする場合、まずは10日線(18.94レベル)の攻防を注視したい。この移動平均線が相場をサポートする場合は、節目の20.00を再びトライする展開を意識したい。
上で述べたメキシコが抱えるファンダメンタルズの問題も考えるならば、メキシコペソ円(MXNJPY)は、引き続き下値トライを意識したい。
また、アメリカとの関係によってメキシコペソが下落するなどメキシコペソが大きく揺らいでいでしまいました。
もともと、メキシコペソは新興国通貨のなかでも安定性が高いので、よほど大きなアクシデントがない限り、そのまま6円前後の推移で落ち着く可能性が高くなるでしょう。
メキシコペソ円の下落局面で注目したいのが、7月以降の下落相場を止めたフィボナッチ・エクステンション161.8%の水準7.09レベルである(下のチャート、赤矢印を参照)。長い下ヒゲでの反発は、この水準の底堅さを示唆している。ゆえに7.09の下方ブレイクは、節目の7.00レベルをトライするシグナルとなろう。
メキシコペソの値動きを分析する際は、政策金利の動向を確認するようにしましょう。
コメント