本日のロンドン為替市場では、昨日に対ドルや対ユーロで売り優勢で終えたポンドの動きをまずは注視したい。英中銀金融政策委員会(MPC)は昨日、市場予想通りに政策金利の据え置き決定を公表した。しかしながら、利下げを主張した委員が9人中3人いたことは、今回はハト派1人と見込んでいた市場にとってはサプライズだった。
短期金融市場でそれほど英金利先安観が進んだわけではないものの、ポンドドルは1.26ドル台からNY終盤に1.25ドル割れまで下落した。ベイリー英中銀総裁の「市場の2月利下げ織り込みは合理的な出発点」が意識されたほか、米金利の上昇も重しとなった。ユーロポンドも0.82ポンド前半から0.82ポンド後半まで上昇。アジア時間にはそれぞれ、1.24ドル後半と0.83ポンド付近までポンド安が進んでいる。
本日序盤に発表される11月英小売売上高は、2月や3月の英中銀MPCの決定行動を大きく左右させるものではない。ただし、ポンド相場のセンチメントが弱い中でもし指標結果がさえないようだと、どうしても売られやすくはなってしまうだろう。指標予想は、前月比は前回から改善するものの前年比がプラス幅を縮小する見込み。
ユーロドルはユーロ円やユーロポンドなどの影響を受けて、やや動きづらいか。もっとも昨日は1.04ドル前半で上値の重さを確認した後なだけに、下方向へのバイアスは維持されたままだろう。先月22日につけた年初来安値1.0335ドルを巡る攻防が注目される。
また来週はクリスマスウィークということもあり、市場参加者の減少(つまり流動性の低下)が予想される。その前に駆け込み需要的な売買や持ち高調整の動きが各通貨ペアで見られるかもしれない。週引けにかけて荒い値動きには注意しておきたい。
想定レンジ上限
・ポンドドル、18日安値1.2563ドル
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.0456ドル
想定レンジ下限
・ポンドドル、4月24日安値1.2423ドル
・ユーロドル、前述した1.0335ドルを割り込むと2022年11月22日安値1.0240ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し ロンドン為替見通しポンド センチメント弱い中で英指標に注目
10日17:33 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁 「今年は急速なディスインフレのペースが鈍化する可能性が高い」 「入手したデータは、将来が依然として不確実であり、見通しが下方に傾いていることを示している」 「ディスインフレの進行は年初に一時停止する可能性」
ポンド円相場でポンド高が進んでいる。17日の東京市場では一時、1ポンド=195円台後半を付け、約1か月ぶりのポンド高水準となった。16日に発表された景況感指数が堅調だったことがポンド買いの材料となっている。こうした中、イギリス統計局が18日に発表する11月消費者物価指数(CPI)は物価上昇が加速する見通し。また、イングランド銀行(BOE)は19日に利下げ見送りを発表するとみられ、ポンド高の加速も考えられる。一方、ポンド高の要因には、日本銀行の利上げ観測の後退による円安もあるだけに、18、19日の金融政策決定会合もポンド円相場の今後の見通しを左右しそうだ。
今年すでに46回も過去最高値を更新したS&P500種は、年末にかけて上昇基調を維持する見通しだと、ゴールドマン・サックス・グループのトレーディングデスクはみている。
一方、ポンド円相場の今後の見通しはドル円相場(USD/JPY)の動きにも影響されそうだ。ドル円相場では、日銀の12月利上げ観測の後退を背景に円安が進んできたが、日銀が予想を裏切る形での利上げに踏み切るなどして流れが反転すれば、ポンド円相場ではポンド安圧力として働くことになる。逆に日銀が19日に利上げ見送りを決めた場合には円安がさらに加速することも考えられ、ポンド円相場でのポンド高をさらに推し進める要因になることも考えられる。
11日04:41 デコス・スペイン中銀総裁 「経済成長へのリスクは依然下方に偏っている」 「ECBの今後の動きはデータ次第、不確実性は高い」 「ECBは不十分かつ過剰な引き締めを避けなければならない」 「2024年のインフレ率低下は鈍化する見通し」 「インフレは予想よりも良好に推移」
「懸念されていたよりも良好な労働市場に支えられて、成長見通しは最近改善している。利下げを巡る視界もクリアになってきた。これを背景にラッセル2000は上昇トレンドチャネルの下限を離れて上昇してきた」とターンキスト氏。「銀行セクターが最近強いことも、小型株をさらに支えている」と述べた。
11日 05:23ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁 「インフレ率を2%に戻すという我々の取り組みはまだ終わっていない」 「FRBはしばらくの間、制限的な政策スタンスを必要とするだろう」 「見通しはいまだ不透明、金利決定は会合ごとに行われる」 「経済に対するリスクは両面ある」 「インフレ状況はかなり改善」 「バランスシートの縮小は計画通りに進んでいる」 「政策金利は2%の物価目標達成に十分に景気抑制的」 「緩和前にインフレ率が2%に向かうと確信する必要がある」
11日00:07 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事 「センチメント指標が底を打っている証拠がある」 「短期的な経済見通しは我々の予測と一致して引き続き弱い」 「インフレ率が低下するにつれ、2024年も賃金の伸びは緩やかに低下すると予想」 「インフレ率は2025年に目標の2%に達すると予想」 「インフレの上振れリスクがあるため、警戒を続ける必要」
ロンドン貴金属市場協会(LBMA)がマイアミで開催した年次業界会議での調査によれば、金は向こう1年間に最高値の更新が続く見通しだ。同会議の参加者は、来年10月下旬までに1オンス=2917.40ドルに上昇すると予想している。これは現在の価格を約10%上回る水準。
こうした中、ポンド円相場では、イギリス統計局が18日午前7時(日本時間18日午後4時)に発表する11月CPIへの注目が高まっている。ブルームバーグがまとめた市場予想では、総合指数の伸び率は前年同月比2.6%、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は3.6%になる見通しだ。それぞれ10月の2.3%と3.3%から、物価上昇が加速する形となる。総合指数の上昇率は9月に1.7%まで低下していたが、BOEは11月に公表した経済見通しの中で「年末までに2.5%程度まで上昇する」との分析を示していた。
ポンド高を引き起こしたのは英国の経済状況への不安の緩和だ。S&Pグローバルが16日に公表した12月の景況感指数は50.5で、前月と同じ数字。ブルームバーグがまとめた市場予想の50.6とほぼ同じとみなされ、堅調な数字と受け止められた。英国経済をめぐっては13日に発表された10月の月次GDPの前月比での実質成長率が2か月連続でマイナスとなり、ポンドが売られる要因となっていたが、今回の景況感指数で英国経済の見通しへの懸念が後退する形となった。
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