午前の為替予想は… クリスマスイブで動意薄が想定される
作成日時 :2024年12月24日8時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 研究員 中村 勉
ドル円予想レンジ
156.600-157.800円
前日の振り返りとドル円予想
昨日のドル/円は約0.5%上昇。米国の利下げペース鈍化観測により米10年債利回りが5月末以来となる4.6%手前まで上昇してドルが広範囲に買われた。なお、この日発表された米12月消費者信頼感指数などの米経済指標はいずれも市場予想を下回ったが、影響は限定的だった。
ドル/円は、日銀の利上げ後ずれ観測、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペース鈍化観測により底堅い一方で、20日に日本政府高官が相次いで円安けん制をした157円台後半では上値が抑えられやすい。本日はクリスマスイブで米国の株式・債券市場が短縮取引となることから市場の動意は限られる公算が大きく、156円台後半から157円台前半を中心とした小動きが予想される。
今朝 最新のドル/円チャート
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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ドル円午前の為替予想 クリスマスイブで動意薄が想定されるが 2024
下の表は、市場参加者に注目されることが多い主要な株価指数の過去20年間の月足を調査して、「陽線の出現回数」をまとめたものです。回数が多ければ株高になりやすく、回数が少なければ株安になりやすかったということがわかります。
また、27日もユーロ/円とスイスフラン/円で90%、豪ドル/円とニュージーランドドル/円で80%と、陽線の出現確率がかなり高いため、26日と27日の「円安」には注目です。
ラインチャートが金利差(ユーロドルの動きに合わせるため逆スケール)、ローソク足がユーロドルの日足チャートですが、相関係数的には多少の増減は見られるものの値動きとしてはほぼ同じ動きをしてきていると言えます。引き続き金利差の影響が大きいことは年末年始に向けても同様と思われます。材料も少ないので金利差自体の変化も少ないかもしれませんが、材料難な中で金利差が注目されやすいとも言えそうです。テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
特に有名なアノマリーとして、「ゴトー日(5・10日)アノマリー」があります。これは、金融機関が顧客に適用するその日のレートを決める日本時間の午前10時ごろの「仲値」に向けて、特にグローバル企業の決済が集中しやすい5や10のつく日は米ドルが買われて円安になりやすい傾向にあるというもので、この動きを利用した「仲値トレード」と呼ばれる取引手法は一部のFXトレーダーから注目されています。
また、12月はニュージーランドドル/円とニュージーランドドル/米ドルで15回、ニュージーランド/カナダドルで16回と陽線の出現回数が多く、「ニュージーランドドル高」のアノマリーもあります。
これを見ると、12月18日からの週はおおむね株高の傾向にあり、特に、日別ではNYダウ、S&P500、トロント総合指数などで、19日からクリスマスイブの24日ごろまでの陽線の出現確率が高く、「株高」になりやすいことがわかります。
引き続き9月末からの大きな平行下降チャンネルの中でテクニカルにも下げやすい地合いを続けています。FOMC後の下げではかろうじて11月安値を維持しましたが、下抜けて安値を更新するのは時間の問題で、その場合のターゲットは2022年安値と2023年高値の61.8%押しとなる1.0200です。年内のトライは難しいかもしれませんが、年明け後には注意すべき水準となります。当面の下値は1.03水準でしょうか。また上値の目途はFOMC前にもみあっていた大台1.0500です。今週は1.0300レベルをサポートに、1.0500レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
下の表は、過去20年間における主要な通貨ペアの12月の日足を数え、その中から米ドルが絡んだ通貨ペアの日別の「陽線」の出現確率をまとめたものです。確率が高ければ陽線になりやすく、確率が低ければ陰線になりやすかったということがわかります。なお、出現確率は直近10年間の動向に比重を置いた加重平均です。
外国為替市場で米ドルに次ぐ取引高のユーロは、ユーロ圏と英国が地理的にも近く貿易が盛んなこともあって、特にロンドン市場で取引が集中します。そうした中で、年末に向けたポジション整理も加わることでユーロ高の傾向が確認できるというのは、注目したいアノマリーです。
また、19日は英ポンド/米ドルで14%、ニュージーランドドル/米ドルで19%と陽線の出現率が低いため、「米ドル高」になりやすいアノマリーが確認できます。
ドルインデックスはユーロの割合が57.6%と高く短期的にはユーロドルのチャートを上下逆にしたような形となりますが、最近はドル円の動きが大きいこともあり、ドルインデックスで見ると既に年初来高値を更新し2023年高値も上抜けていることから、2022年高値と2023年安値の61.8%戻し108.81がターゲットとなっていることがわかります。ユーロドルでも同様に2022年安値と2023年高値の61.8%押しがターゲットとなっていて、どちらが先になるか考えるとドルインデックスが先にテクニカルなターゲットを達成し、その後ユーロドルも達成するという流れになるイメージでしょうか。
このことから、12月の米ドルは1日の「米ドル安」、19日の「米ドル高」、29日の「米ドル安」に注目です。
ただ、ここ2年程ドルインデックスはレンジ相場でしたが、このレンジ相場を上抜けてくるとドル高に対しての警戒感が出てくる可能性もあります。トランプ大統領就任後にはユーロ安の牽制発言が出て来てもおかしくありませんし、1期目にはそうした例もありました。ドル円の週報には人民元安がトリガーとなって円安牽制発言の可能性に言及しましたが、場合によってはドル高自体の牽制発言が出てくる可能性がある2025年になるかもしれません。
これを見ると、まず、12月1日の陽線の出現確率がユーロ/米ドルと英ポンド/米ドルでは73%、豪ドル/米ドルでは78%、ニュージーランドドル/米ドルでは82%と高く、米ドルが基軸通貨(分子側)の米ドル/円と米ドル/スイスフランでは20%台と低くなっていることから、「米ドル安」のアノマリーがあることがわかります。
加えて、12月25日のクリスマスは日本を除く多くの国が祝日となるため、この日は例外的に夕方以降は取引を休止するFX会社がほとんどで、中には25日を終日、休業とするFX会社もあります。
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