なぜ日本に影響 米国利下げ解説
あえて景気減速シグナルが出ているとすると、企業の雇用と設備投資に集中的に現れています。これはなぜでしょうか。ヒントが、2024年8月ISM製造業レポートの機械セクターの業種別コメントにあります。
FRB(米連邦準備制度理事会)は、2024年9月18日に開いたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利を0.5%引き下げることを決めました。FRBの利下げは、コロナ禍を受けて臨時会合で政策金利を一気にゼロまで引き下げた2020年3月以来、4年半ぶりのことです。このことは、米国及び世界の経済が抱える課題が、物価の安定回復から景気の減速回避へと移っていることを象徴的に示しています。そして、FRBの利下げによって、日本と米国の金融政策が逆方向に動くという歴史的に異例の事態が生じています。
このほか、記者会見では、(1)2025年のPCEデフレーター値は現在より上昇するのに、なぜ利下げが可能なのか、(2)2018年9月に発表されたティールブック(注)は関税引き上げの金融政策への影響を考える上でなお有効なのか、関税引き上げの影響を組み込んで早期に対応するべきではないか、(3)100bpsの利下げを行ってきたにもかかわらず、市場の金利は下がっておらず、FRBが考えているよりも現在の状況は引き締め的なのではないかなどに関して質疑がなされた。
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月17-18日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%と通常(0.25%)より大幅な利下げ幅で緩和サイクルを開始することを決定した。予防的利下げで労働市場の悪化を防ぎ、現在の堅調な米国経済を維持することが大幅利下げの理由だ。ただし、インフレ懸念は完全に払しょくできているとは言い難く、今後の利下げは比較的落ち着いたペースかもしれない。
FRBが利下げを行なえば、長期金利は当然低下する。9月16日に3.61%まで低下し(2023年10月23日には2007年7月以来となる5.02%まで上昇)、債券市場での金利水準も劇的な変化が見られた。セオリー通りの展開だ。11月のFOMCではさらに0.25%の利下げが行われ、政策金利は4.50%~4.75%の水準となった。ところが、9月17日からの債券市場では金利がジリジリと上昇しており、11月13日時点で4.45%まで上昇している。FRBの金融政策と債券市場が連動しなくなっているのだ。これは一体なぜだろうか?
今回、FOMCで決定された大幅利下げの意味を理解するうえで重要なのは、米国が景気後退のリスクに慌てているという様子はないということです。パウエル議長の会見から2つのヒントがありました。
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「金利上昇は株式市場にとっては逆風」。マーケット参加者にとっては常識中の常識。ところが、米国市場は大統領選でのトランプ勝利後はNYダウ、S&P500、ナスダックの主要3指数揃って最高値更新の展開となっている。「インフレ懸念による金利上昇と米国株ラリーは異なる」という何とも都合のいい考え方、というかトランプ勝利のご祝儀相場がこうした現象をもたらしていると言える。単にトランプ氏が勝利しただけではなく、上下院議会選挙において両院とも共和党が過半数を確保する「トリプルレッド」が実現。民主党時代は「上院は民主党、下院は共和党」というねじれ議会であったため、法案通過がスムーズではなかった面が強かったが、今回はねじれが解消されてトランプ政策がかなり自由におこなわれるとの見方が強まっている。
次に、FOMC後の米国債市場を見ると、大幅利下げにもかかわらず、10年国債利回りはFOMC後、小幅ながら上昇した(図表2参照)。おそらくFOMC前に大幅利下げを織り込む過程で生じた利回り低下の反動なのだろう。
米国の中央銀行に相当する連邦準備制度理事会(FRB)は9月に利下げ路線に転換、11月、12月にも追加で利下げが行われました。この影響で円安が修正されて、日本の物価高が緩和されると期待されています。ただ、年明けに発足するトランプ政権の対応次第では、日本は再び物価高の苦境に追い込まれる可能性があり注意が必要でしょう。なぜ海を隔てた米国の金利が日本の物価に影響を与えるのか、米金利はトランプ政権でどうなるのか、世界経済に詳しい時事通信社解説委員の窪園博俊氏に解説してもらいました。
それに加えて、トランプ政策の目玉として「関税の引上げ」がある。「全輸入品に10%の一律関税、中国製品は60%の関税」の選挙公約だ。全輸入品の対象は日本製も含めたすべての輸入品である。狙いはもちろん、米国の製造業を安価な輸入品から守るのが目的だ。今回の大統領選において「7つの激戦州」に特にスポットが当たったが、ミシガン、ウィスコンシン、ペンシルベニアの3つの州は製造業が集積するラストベルト(さびた工業地帯)であり、トランプ氏はこの地域で非常に多くの支持を得るとともに、全7州で勝利を収めた。
日本時間の2024年9月19日未明、FRB(米連邦準備理事会)はFOMC(米連邦公開市場委員会)にて、米国の政策金利を0.5%ポイント引き下げることを決定しました。
パウエル議長の全体的なトーンとしても、米国景気のソフトランディングを達成できるという自信は揺らいでいませんでした。ではこのFRBまたはパウエル議長の楽観的なスタンスを支えられる景気指標が出ているのかというと、データから見ても景気は堅調です。例えば、9月17日に発表された小売り統計は市場コンセンサスを上回る強い数字でした。
政策金利を引き上げることで、銀行が企業に貸し出す金利が上がるため、企業の経済活動が抑制され、景気過熱が収まります。実際、米国やEUでは、景気過熱や物価上昇が比較的落ち着きを見せ、今では利下げを行う局面をむかえています。
米大統領選挙は11月5日が投開票日だったが、マーケットの世界では世論調査「ハリス候補、トランプ候補両者の支持率が歴史的に大接戦」を覆す形で「もしトラ」シナリオが優勢、トランプ氏が勝利するとの前提でドル高と金利上昇を狙う「トランプ・トレード」が行われていた。ドル高は「強い米国」「強い経済」によるドル買い、金利上昇はトランプ政策でのインフレ懸念による国債売りによってもたらされるトレードのことだ。減税や規制緩和などの経済政策を推進すれば、当然ながら財政支出は拡大してインフレ懸念は再燃する。
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