ツルハとウエルシア 統合前倒しへ
その上で「ただ、歴史や過去の経緯が違う会社が1つになり、同じ方向に向かっていくのは並大抵のことではない。一番大切なのは、“心の統合”。まずは気持ちが1つにならなければ、どんなに大きな企業がいくつ統合したとしても力にはならない。これまでも当社は20社以上一緒になってきたが、相手の従業員にとっての最適解を常に考え、双方が高め合うことを徹底してきたからここまで来られた。そのうえで、統合によってどれだけ新しい夢を作れるかも重要。夢というのは、経営者の夢というより、従業員の夢をどれだけ広げられるかだと思う。目指すものに対して水をたくさんやり、夢を大きく育てていく。すると、10年後に『ああ、良かったな』という姿が生まれてくるように思う」との考えを表明した。
このような認識の下、ツルハHD、イオン及びウエルシアHDは、各社の持つ経営資源を最大限に活用し、連携することにより、様々な分野でシナジーを発揮して、日本最大のドラッグストア連合体を創成し、競争力の獲得、アジアNo.1のグローバル企業への成長を目指すとともに、そこで働く従業員の限りない成長機会を創出し、もって地域生活者のより高次なヘルス&ウエルネスの実現を目的として、本資本業務提携契約を締結し、経営統合の協議を開始することとした。
――2月末からイオン主導で経営統合の協議を始めています。
② その後、イオンは、2024年3月13日(予定)までに、オアシスから本件株式取得を実行することにより、イオンが保有するツルハHD株式の議決権比率を19.9%とする。
本資本業務提携契約は、人々のヘルス&ウエルネスへの貢献において共通の理念を有するツルハHD、イオン及びウエルシアHDが、三当事者間の尊敬と信頼による強いパートナーシップに基づき、相互の企業価値向上のために、ドラッグストア連合体の構築を図るものである。
② ツルハHD及びウエルシアHDは、ツルハHDを親会社とし、ウエルシアHDを完全子会社とする株式交換の方法による経営統合を行う。なお、本資本業務提携契約の目的を達成するためのより良い方法がある場合、合意の上、他の方法を採ることができる。
ウエルシアホールディングスの統合報告書2024の中で、同社・池野隆光会長は「当社は2024年5月に社長の交代を発表した。この先を考えると、これから世の中を進めていく人たちが会社を動かしていくことが必要だと常々思っていた。例えば私が10年後にどういう会社にしていくべきか?と問いかけるよりも、50歳の人が、自分が60、70歳になった時にどういう会社が良いか?と考え行動することの方が大事だと思っている。経営層の若返りという側面だけではなく、次の世代が望む将来像を考えていく体制にできたことも意義があったと考えている。地域にとって10年20年先の豊かな社会生活を当社がリードできるよう、桐澤社長はスピード感を持って戦略を実行しようとしており、非常に頼もしく感じている。取締役会での議論では、社外取締役から様々な観点で得心する意見をたくさんいただいている。そうした優秀な方々に支えてもらいながら、着実に経営者として育っていってほしいと考えている」と自社について述べた。
① イオンは、ツルハHDの普通株式を追加取得し、ツルハHDを持分法適用関連会社とする。
【本資本業務提携契約の締結に至った経緯】 ツルハHD、イオン及びウエルシアHDは、日本のみならずアセアンをはじめとするグローバル規模において、人々の未病、予防、治療に従事し、健康寿命の延伸に貢献することにより、地域生活者のより高次なヘルス&ウエルネスを実現するため、本資本業務提携契約を締結し、経営統合の協議を開始することに合意した。
【資本業務提携等の目的及び理由 】 ツルハHD、イオン及びウエルシアHDは、医療格差、健康格差及び地域間格差の拡大が大きな社会問題となる中、ドラッグストア業界においては、出店余地の減少、薬価の引き下げ、価格競争の激化等、事業環境の厳しさは増す一方であるものの、このような環境下においても、誰もがヘルス&ウエルネスのサービスを等しく受けられる社会を実現するためには、既存の業態の枠組みの中での成長にとどまらず、自らの業態の抜本的な変革を推進していく必要があると考えるに至った。
マツキヨHDとココカラの経営統合に触発され、「大手は水面下でパートナー探しを始めているのではないか」と(ドラッグストア業界と取引のある大手メーカー幹部)と冗談と本気ともとれないような発言も聞く。マツキヨ・ココカラ連合の誕生は、大型再編勃発の転換点であるのもしれない。
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