スラムに料理店を開く 異色の邦人

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スラムに料理店を開く 異色の邦人
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スラムに料理店を開く 異色の邦人

料理人・森田隼人は、39歳の時に受けた大腸ガンの診断を機に、余命を意識するようになった。のちに病は寛解したが「残された料理人人生で、何をやるべきか」に思いを巡らせると、格付けガイドの星取りやカネもうけよりも、「先人のいない挑戦」にひかれている自分に気がついた。そんな時に友人の勧めで訪れたのが、アフリカ最大の水上スラムといわれるナイジェリアの「マココ」だ。住民に料理を振る舞ったことがきっかけで、このスラムにレストランの出店を計画。味覚の違いや食材の仕入れに準備は難航するが、1年がかりでテスト開店にこぎ着けた。料理人としての自己実現をめざした挑戦は、住民や地域社会を巻き込んだ社会貢献につながるのか。

大阪府出身で現在46歳の森田さん。近畿大学理工学部を卒業後、建築会社で働きながらプロボクサーになった異色の経歴を持つ。25歳で独立して建築デザイン事務所を設立し、32歳の時に東京・神田のJR神田駅前に立ち食いの焼き肉店「六花界」をオープン。現在は六花界グループCEO(最高経営責任者)として、東京・鶯谷にある住所非公開、完全会員制の和牛懐石店「クロッサムモリタ」など7店舗を経営する。

最後に森田は、日本のローストビーフをもち麦のシャリに載せた「肉寿司」を出す。客の前に立ち、シャリを手に取り、薄くスライスしたローストビーフを素早く丁寧に握っていく。客は話をやめ、森田のパフォーマンスに目がくぎ付けになった。

狙う客層は3つ。地元の人には憩いの場としてのレストラン、NGOや海外からの視察者には衛生的な食事をとれる場、そして外国人観光客にはスラムの現状を知るスタディーツアー的な場として、それぞれ利用してもらえればと想定する。全体のうち4割と見込む外国人から収益を上げ、地元の人には安価に食事を楽しんでもらえる仕組みを考えたいという。

開催場所として森田さんが目を留めたのは、ナイジェリア最大の商業都市ラゴスにある”水上のスラム” マココ。水路の上に住居が立ち、推定20万人以上いるとも言われる住民はカヌーで行き交います。マココはその存在を「公」には認知されていないエリアで、行政サービスが行き届いておらず、水道・電気などのインフラも脆弱です。

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