トルコリラ/円 見通し「タカ派利下げでリラ堅調…年明け3日にCPI」注目の高金利通貨 2024年12月29日号

FXブログ
トルコリラ/円 見通し「タカ派利下げでリラ堅調…年明け3日にCPI」注目の高金利通貨 2024年12月29日号

f:id:gaitamesk:20190821093810p:plain

メキシコペソや豪ドルなど投資家にとって魅力的な通貨の最新状況について、これまでの動向や注目ポイントについて解説します。

作成日時 :2024年12月27日15時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
X(Twitter)@KandaTakuya

執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也

トルコリラ/円(4時間足)

トルコリラ円 日足チャート

※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照

先週のトルコリラ/円は1カ月ぶり高値へ上昇

 クリスマス・ウイークのため動意は限定的でしたが、円売り主導で堅調に推移。日銀の追加利上げに対する慎重な姿勢が引き続き円売り材料になった一方、トルコ中銀の利下げはむしろリラ買い材料となりました。中銀は26日、1年10カ月ぶりの利下げを行い政策金利である1週間物レポレートを50.0%から47.5%へ引き下げました。ただ、声明で「月次インフレ率が大幅かつ持続的に低下し、インフレ期待が予測範囲に収束するまで引き締めスタンスが維持される」とあらためて表明したことや、翌日物貸出金利と翌日物借入金利の差を600bp(6.0%ポイント)から300bpに縮小させたことから、タカ派的な利下げと受け止められた模様です。リラ/円は中銀の利下げ後に一時4.483円前後まで上昇して11月22日以来の高値を付けました。27日の15時時点では4.435円前後で推移しています。

今週のトルコリラ/円の注目ポイントはCPI

 1月3日(金)にトルコ12月消費者物価指数(CPI)が発表されます。トルコ中銀はインフレ鈍化を確認しながら、引き締めスタンスを維持しつつ、緩やかに利下げを進める方針のため注目です。12月CPIの市場予想は前年比+45.20%、コアCPIは45.80%となっています。いずれも11月の47.09%、47.13%から鈍化すると見られています。それだけに、仮に市場予想を下回るようだと利下げ観測が高まりそうです。もっとも、インフレ鈍化に伴う利下げは正統的な金融政策であり、トルコ経済にとって正常化の一環です。金利の絶対水準が高いリラにとって、利下げ観測は強い売り材料にはならないでしょう。なお、次回のトルコ中銀金融政策決定会合は1月23日に予定されています。

 

今週のトルコリラ/円の見通し

予想レンジ
4.400円~4.500円
基調
下値堅い

今週の注目ポイント
☆2025/1/3 トルコ12月CPI
・主要国株価、国際商品価格

 

メキシコペソ/円(MXN/JPY) FX為替レート・チャート

 
kanda.jpg

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

●免責事項
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル トルコリラ/円 見通し「タカ派利下げでリラ堅調…年明け3日にCPI」注目の高金利通貨 2024年12月29日号

この時も トルコリラ相場は 大きく調整しました

しかし、エルドアン大統領が率いる公正発展党はもともと親イスラム政党であり、政教分離を快く思っていなかったエルドアン氏と政教分離を守ろうとする軍部との対立が次第に激化し、遂に2016年には、エルドアン大統領の追い落としを狙った「軍事クーデター」が発生しました。この時も、トルコリラ相場は、大きく調整しました。公正発展党による低所得者対策などが功を奏し、国民がクーデターを支持しなかったことでクーデターは、失敗に終わりましたが、現在もエルドアン大統領の独裁的・強硬姿勢から政権の不安定さは続いています。

中銀は5月会合で、「トルコリラ建て金融資産に対する強い内需や外需に起因する過剰流動性を不胎化(吸収)する」としたが、今回の会合でも「流動性状況は注意深く監視され、引き続き、不胎化措置を効果的に実施する」とし、金利据え置きが長期化する一方で、その間のインフレ抑制のため、マクロプルーデンスな政策に移る方針を示している。

実質金利がプラスに転換されましたが、マイナス状態だとトルコリラは売られる可能性が高くなります。

「そうですね。今からでも投資資金の一部をトルコリラ/円の買いポジションに回すのは、ありだと思います。というのも、実は今、JPモルガンやゴールドマン・サックス、シティといった大手金融機関もトルコ投資に前向きで、トルコへの純資金流入額はプラスになってきています」

異なる金融商品ではあるが、トルコリラ/円のポジションを保有するのは、長期保有を前提とした外貨預金や現物株式への投資と、感覚的には少し似ているかもしれない。

ザイFX!編集部が毎月調査している、各FX口座のトルコリラ/円のスワップポイントを確認すると、高いところで1万通貨あたり1日40円~50円くらいスワップポイントが付くことがわかる。

最終的な決済のタイミングは「状況を見て判断したい」とも話していたが、大きく政策転換をはかり、目下インフレと格闘中にあるトルコの状況を考えれば、志摩さんがトルコリラ/円のポジションを決済するのは、まだしばらく先になりそうだ。

「トルコのインフレ率は70%や75%など、ものすごく高い状態ですが、金融政策の変更が成功すれば1年も経たないうちに、一桁台に落ちてくると思います。すると、それに合わせて実質金利がものすごく上がってきて、トルコリラ自体も上昇する。もしかすると、トルコリラ/円は5円を超えてくるかもしれません。そうなれば、今はまったく考慮していないキャピタルゲインも期待できるかも」

スワップポイントでどれだけ稼げるかが、今回のトルコリラ/円トレード成功のカギでもあるので、口座選びは重要だ。資金とレバレッジの管理という点からも、長期トレードと短期トレードの口座を分けるのは賢明と言える。

放っておいたらいつの間にか資産が増えて、うれしい臨時収入に――スワップポイント狙いでトルコリラ/円のポジションを保有していれば、志摩さんといっしょにそんな体験ができるかも?

インフレ率が上がれば、お金の価値が下がるので当然トルコリラは売られます。

スワップポイントを狙ってトルコリラ/円の取引を始めるなら、当然、スワップポイントの値が有利なFX口座を選びたい。スワップポイントは、各国の金利情勢などを反映して日々変化し、同じ通貨ペアであってもFX口座によって異なるものだが、トルコリラ/円のスワップポイントについては、特にFX口座によって大幅に値が異なるので注意が必要だ。

メルマガでは、これまでにもトルコリラ/円の取引に対する質問にたびたび回答されているし、今、志摩さんが保有しているトルコリラ/円のポジションが今後どうなっていくのかも、これからのメルマガで報告されていくはずだ。すでに高いスワップポイントの効果で為替変動による評価損は補い、トータルの収支ではプラスに転じているということだが、このままさらに利益を伸ばしていくことを期待したい。

「ええ、しかもそんなに頻繁にニュースをチェックしなくてもいいと思います。トルコリラ/円のポジションはスワップポイントを目的としたポジションですから、米ドル/円などと違って日々トレードすることはあり得ません。トルコリラの下落以上にスワップポイントを稼げれば勝ちだから、持てると判断できる限り持っているしかないんです。あまり神経質になる必要はないと思います。でもこういうチャンスはなかなかないので、うまくいくほうに期待したいですね」

2023年の相場環境を踏まえて、2024年のトルコリラ円相場の注目点をまとめてみました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました