欧米市場オープニングコメント
「ドル・円は伸び悩みか、ドル買い継続も日本の為替介入に警戒」
30日の欧米外為市場では、ドル・円は伸び悩む展開を予想する。米金融政策は緩和姿勢を弱める見通しとなり、米金利高・ドル高基調は継続。ただ、日本銀行の追加利上げ期待後退も、日本政府の為替介入が警戒される水準で、円売りは縮小しそうだ。
前週末は年末年始に向け材料が乏しいなか、米連邦準備制度理事会(FRB)の緩和姿勢後退をにらんだドル買いが継続。その後はドルに利益確定や持ち高調整の売りが強まり、ユーロ・ドルは1.04前半に浮上、ドル・円は157円前半まで軟化する場面もあった。週明けアジア市場で日経平均株価の軟調地合いを受け、リスク回避の円買いが先行。ただ、米10年債利回りは底堅く推移し、ドル・円は一時158円台に浮上した。この後の海外市場はドル買い継続を見極める展開に。来年以降の追加利下げは現時点で縮小が見込まれるほか、トランプ次期政権の政策や人事に関連した休場中の突発的な動きが警戒され、ドルに買いが入りやすい。半面、ドルに買いが続いたため、利益確定や持ち高調整の売りも見込まれる。一方、今年は連休中の円急落により日本政府が為替介入に踏み切るケースがあり円は売りづらく、ドル・円の過度な上昇は抑制される。
通貨別分析
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日米の金利差が意識され 高金利のドルを買って円を売る動きが進んだ
■また、米中との比較で貿易規模も小さく、日本の金融当局や一般の関心も薄いユーロ円での為替介入については、あまり神経質になる必要はなさそうです。さらに重要なのは、ドル円と異なり欧州通貨のクロス円は、昨年高値を既に明確に上抜けして上昇トレンドが鮮明なことです。
■ここ数年のドル円は、日米の実質10年国債利回り(市場が織り込む期待インフレ率を差し引いた金利水準)の差に連動して動いてきました。昨年10月をピークにいったん縮小に転じた日米の実質金利差は、足元で再び拡大傾向にあります。一方、ドル円の金利差拡大への反応は、昨年と比べ緩やかなものにとどまっています(図表3)。また、両者の関係を統計的に見ると、昨年10月21日にドル円が高値を付けて以降、相関の強さを示すR2(アールスクエア、相関係数の2乗の値)は低下傾向にあります(図表4)。こうしてみると、金利差に着目したドル円での円売りについては、賞味期限切れのタイミングに差しかかっているのかもしれません。
■円安がとまりません。「何を分かりきったことを」とおっしゃる方も多いかもしれませんが、ドル円のことではありません。ドル円は昨年10月に151円95銭まで下落し、1990年4月以来32年ぶりの円安水準をつけました。一方、貿易加重で計算する円の実力(購買力)を示す実質実効為替レートは、実に53年ぶりの水準まで低下しています(図表1)。
*17:09JST 東京為替:ドル・円は伸び悩み、午後は一時158円台 30日の東京市場でドル・円は伸び悩み。 米国の緩和的な金融政策の後退をにらみドル買いが先行したが、上値の重さ...
昨年9月22日に財務省が24年ぶりとなる円買い・ドル売り介入を実施したのは、1ドル145円を超えて円安が進んだタイミングだった。足もとで円は1ドル140円台と再びその水準に近づいてきている(コラム「政府が円買いの為替介入を実施:効果は限られ時間稼ぎの政策に」、2022年9月22日)。しかし為替市場には、強い介入警戒感はまだ見られない。
*17:25JST 欧米為替見通し:ドル・円は伸び悩みか、ドル買い継続も日本の為替介入に警戒 30日の欧米外為市場では、ドル・円は伸び悩む展開を予想する。 米金融政策は緩和姿勢を弱...
■日米の金利差拡大を手掛かりに進んできたドル円での円売りですが、足元では膠着感が見られるようになってきました。その背景には、米国での利上げが最終局面に差し掛かりつつあることに加え、日本の金融当局による円買い介入への警戒感がありそうです。
■ドル円での円の下落がこうした「超円安」の主因であることは論を待たないものの、足元では通貨別の円安度合いにばらつきが見られます。例えば、米国と並び交易が盛んな中国の人民元に対しては、円の価値は比較的保たれています。一方、対欧州通貨ではドル円以上に円安傾向が鮮明になっています(図表2)。
筆者は2023年度のコアCPIは前年度比+2.79%、2024年度は+1.07%と予想しているが、これは、ドル円レートが1ドル130円で推移することを前提とした見通しである(図表)。
1日午後5時時点では前日同時刻より1円03銭円安ドル高の1ドル=157円88~90銭。先月30日に米労働省が発表した従業員を雇う際のコストを示す指数が市場予想を上回った。中央銀行の米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測が後退し、長期金利が上昇。日米の金利差が意識され、高金利のドルを買って円を売る動きが進んだ。
しかし、昨年の円安進行の主因であった米国の利上げが最終局面にあるとみられる中で、昨年10月の1ドル150円を超えてさらに円安が進む可能性は大きくないように思われる。
■さらに、こうした欧州リスクが現実となった場合、リスクオフにより安全資産である米国債買い(米金利低下)と円買いが生じることで、思いがけず円高ドル安が進む可能性があることにも留意が必要でしょう。
■こうした3つのリスクが顕在化した場合、明確な上昇トレンドによって積み上げられたクロス円での「欧州通貨買いポジション」には、相応の巻き戻しが生じる可能性が高まります。そして、クロス円のポジション解消にともなう「ドル売り・円買い」が市場にインパクトを与える可能性があります。ドル円の動きや日米経済しか見ていないトレーダーは、こうしたクロス円経由のドル売り要因を理解し機敏に反応することが難しいため、思わぬ怪我を負うことになるかもしれません。
■為替トレーダーが「ユーロ買い・円売り」の為替取引をする場合、ユーロと円を直接交換するのではなく、流動性が高く売買の値幅が狭い(コストが安い)基軸通貨である米ドルとの取引を組み合わせるのが一般的です。例えば、「ユーロ買い・円売り」のポジションをとる場合、「円売り・ドル買い」と「ユーロ買い・ドル売り」を同時に実行することで「ユーロ買い・円売り」のポジションを合成します。このように、ドル円とユーロドルのレートを掛け合わせることで価格が決定されるためクロス(X)円取引と呼ばれます(図表6)。
■ドル円での円売りの行方がにわかに怪しくなる一方、比較的安心してリスクテイクを続けられそうなのが、対欧州通貨で円を売る、いわゆる「クロス円の円売り」です。消費者物価指数(CPI)の低下が続く米国と異なり、欧州の主要国ではインフレの高止まりが続いており、欧州中央銀行(ECB)をはじめとする主要中央銀行は当面利上げを続けざるを得ない状況にあります。
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