30年からは全ての新築建築物に対象を広げる
そこには公共交通の利用促進や物流の効率化にプラスして、建築物や住宅の省エネ化の実現も方針に含まれていることが特徴です。つまり、建設業は建物建築時のみではなく、建物使用時の省エネルギー対策にも力を入れるために、LCCO2の活用が求められています。
新制度では、一定規模以上の新築建築物の建築主などに、「ライフサイクルアセスメント(LCA)」として建築物の生涯排出量の算出を求める。材料調達や資材製造から始まり、施工を経て使用、修繕・補修、解体、廃棄物運搬・処理へと続く各段階のCO2を計算する。高炉での鉄製造、車両での運搬、施工・解体などでの重機使用、建物使用時の空調使用などが対象となる。
住宅や建築物で起こる身近な事故と背景、効果的な防止策を人気建築漫画「一級建築士矩子の設計思考」の...
政府は、将来的に建築物の生涯排出量の上限規制導入も視野に入れており、まずは生涯排出量の算出義務化に向けて制度化を急ぐ方針だ。
国際エネルギー機関(IEA)の報告では、建築物関連が世界のCO2排出量(22年)の37%を占めた。政府は高効率の空調設備導入を支援するなど、建物使用時の排出削減を進めてきたが、それ以外の段階の対策は手薄だった。排出量を見えるようにすることで、建設業者などに削減努力を促す狙いがある。
2050年のカーボンニュートラル達成に向け、建築物においては、使用時の省エネや創エネだけでなく、製造・建設から解体・廃棄に至るまでのライフサイクル全体を通じた二酸化炭素排出量(=LCCO2)削減への取り組みが、欧米を中心に進んでいます。
建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。
住宅や建築物から排出されるCO2は「建築時」、「運用時(修繕・改修)」、「廃棄時」の各段階で評価されます。耐久性の低い住宅は建て替え時にかかるCO2の排出まで計上されます。戸建て住宅のLCCO2は運用時のエネルギーがもっとも大きく、全体の70%~80%を占めています。
企業のCO2排出量削減への取り組みで、建築物や製品のライフサイクルでのCO2排出量にも注目が集まっており、「LCCO2」という言葉も聞かれるようになりました。では、「LCCO2」とはいったい何を表しているのでしょうか。ここではLCCO2について解説していきます。
建築物のLCAの取り組みは欧州が先行している。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は昨年4月、一定規模を超える新築建築物を対象に、28年からCO2の算出と開示を義務付けると決定した。30年からは全ての新築建築物に対象を広げる。フランスやデンマークでは排出量の上限規制も導入している。
建設資材の数量などをExcelシートに入力し、建築物の「生涯」に発生する二酸化炭素(CO2)排出量(ホールライフカーボン)を計算するツール「J-CAT(ジェイキャット)」。建築工事の金額ベースではなく、資材の数量ベースで計算するのが特徴だ。結果はグラフや表を交え、建築の専門家以外にも分かりやすく表示する。
コメント