日鉄会長 買収「諦める理由ない」

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日鉄会長 買収「諦める理由ない」
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日鉄会長 買収 諦める理由ない

2023年12月18日、日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを買収すると発表しました。買収額は約2兆円で実現すれば日米企業の大型再編となりますが、米国で政治問題となり、バイデン大統領は25年1月3日に買収中止命令を出しました。最新ニュースと解説をまとめました。

大統領の決定は投資委員会の勧告に従って行われるが、9月23日予定の最終勧告は未だ出されていない。背景には日本製鉄が南部諸州の組合の無い工場を希望するなどの再申請の意向があることや、投資家、地方政治家、一部USW組合員からの日鉄歓迎の動きがある。再申請は時間稼ぎにも使われる手段だが、選挙戦が落ち着くまで待つ方向にある。

USスチールのデビッド・ブリットCEOはSNSのXで声明を発表し「バイデン大統領のきょうの行動は恥ずべきもので、腐敗している。彼は経済・国家安全保障上の重要な同盟国である日本を侮辱し、アメリカの競争力を危険にさらした。事実を知るためにわれわれと会うことさえ拒否しながら、これらの決定を行った」と今回の決定を厳しく批判しました。その上で「投資こそがわれわれの会社や従業員、地域社会、そしてアメリカのすばらしい未来を保証するものだ。われわれはバイデン大統領の政治的な腐敗と闘うつもりだ」として、引き続き日本製鉄による買収の実現を目指す考えを強調しました。

世界の鉄鋼メーカーの規模を鉄鋼製品のもとになる粗鋼の生産量で比べると、中国メーカーが高いシェアを持っています。世界鉄鋼協会のまとめによりますと、2023年1年間の粗鋼生産量のランキングでは、1位が「中国宝武鋼鉄集団」が1億3080万トン、次いで2位のルクセンブルクにある「アルセロール・ミタル」が6850万トンとなっていて上位10社のうち6社が中国メーカーを占めています。一方、日本製鉄はおよそ4370万トンで世界4位、USスチールは1580万トンで24位となっていて、買収が実現した場合に両社の生産量を単純に合計すると、世界3位となります。

バイデン大統領が日本製鉄によるUSスチールの買収計画に対して禁止命令を出したことについて、アメリカ政府の政策に詳しい丸紅経済研究所の今村卓社長は「日本製鉄はグローバルで見ても巨大なプレーヤーで、USスチールが傘下に入れば、生産性が高くない製鉄所が閉鎖に巻き込まれるとみて非常に恐れたのだと思う。国内で完結するサプライチェーンを作らないと守れないという判断が、バイデン大統領のメッセージに込められている」と分析しています。一方で「USスチールを含めたアメリカの鉄鋼業を再生するには買収計画が最善の策で、日本製鉄の主張は正当なものだと思う。買収に反対したバイデン大統領やUSW=全米鉄鋼労働組合の主張は鉄鋼業の弱体化を止めるすべが何も入っておらず、衰退を止めることができない。USスチールは自社単独で生き残るのが難しいところまで追い込まれており、バイデン大統領はその限界が見えておらず、禁止命令は矛盾している」と指摘しています。また、日本製鉄がアメリカ政府を相手取って訴訟を起こす方針を固めたことについては「なぜ買収が阻止されたのかを極力明確にするために訴訟は十分な意味がある。日本企業にとって、何が理由となって対米外国投資委員会や大統領に阻止されるのか、目安ができる。日本製鉄にとっては、トランプ氏が大統領に就任すればバイデン氏の禁止命令を撤回する可能性も残っており、働きかける意味もあるだろう」と話しています。そのうえで今回の決定が日本企業へ与える影響について「同盟国の日本企業が買収の禁止命令を出される初の事例となり、アメリカの保護主義がここまで進んでいることを突きつけられた。アメリカでの企業買収では、良質な雇用を作っていくことを地方政府や労働組合にも地道に説明して共感を得る努力が求められる」と指摘しています。

米鉄鋼大手USスチールの買収計画に禁止命令を出したバイデン大統領らを相手取り、命令の無効などを求める訴訟を起こした日本製鉄の橋本英二会長が7日、記者会見を開いた。

それでも日鉄に対するマッコール会長の疑念は強く、モンバレー溶鉱炉に対する支出詳細についても日鉄からの説明はないと言う。そして日鉄による買収計画発表の12月18日、日鉄からの事前協議も無いことから労働組合としての反対を表明した。これについて日鉄は「USWとCCとの親しい関係から、USS役員会が情報伝達を禁止した」と述べた。

日本企業によるアメリカ企業の買収が大統領の命令で阻止されるのはこれが初めてで、同盟国の企業どうしが同意していた買収計画が阻止される異例の事態となりました。これに対し、日本製鉄とUSスチールは共同声明を発表し「決定はバイデン大統領の政治的な思惑のためになされたものであり、アメリカの憲法上の適正手続きや対米外国投資委員会を規律する法令に明らかに違反している。日本製鉄とUSスチールは、法的権利を守るためにあらゆる措置を追求する」としています。関係者によりますと、日本製鉄は、アメリカ政府を相手取って裁判所に訴えを起こす方針を固めたということです。会社としては、引き続きUSスチールの買収を目指す考えですが、その実現は極めて厳しい状況となります。買収が実現しなければ日本製鉄はUSスチールに対して5億6500万ドル、日本円でおよそ890億円の違約金を支払わなければならない可能性があるほか、安定的な需要が見込めるアメリカ市場での戦略の見直しを迫られることになります。

CC合併による公正競争上の問題としてはUSS・CCの合併会社が国内溶鉱炉生産の100%、自動車用鉄鋼の65%~90%を占める事と言われるが、CC社長はバイデン政権が日鉄提案を拒否した場合はCCとして申請を出し直すと言明、今は労使ともに11月の大統領選挙の後になると思われる外国投資委員会の決定を待つ姿勢にある。

財務調査の専門会社が行った結果でも、100点を満点とする62項目の財務基準に照らした健全性でCC社は30点のプア―評価、日鉄は58点の中位評価と出ており、3社比較では1位日鉄、2位USS、最低がCCとされた。

日鉄のUSスチール買収を巡っては、23年12月の発表以来、USWのマッコール氏が一貫して反対している。85万人の組合員が所属するUSWの組織票を目当てに、トランプ次期米大統領とバイデン氏がいずれも買収計画に反対して政治問題化した。対米外国投資委員会(CFIUS)は数カ月にわたり安全保障上の懸念の有無を審査してきたものの最終判断は大統領に委ね、バイデン氏は1月3日に中止命令を出した。

アメリカ議会調査局によりますとCFIUS=対米外国投資委員会が審査を行い大統領が取り引きの禁止を命令したケースは8件あります。このうちの1件は大統領令について企業側が訴訟を起こし、裁判所がアメリカ政府が企業の財産権をはく奪したとの結論を下して最終的に和解にいたりました。この企業は中国籍の2人が所有していた企業「ロールズ・コーポレーション」です。2012年にアメリカの4つの風力発電会社を買収したことについて、当時のオバマ大統領が2012年、所有を禁止し、権益の売却を命じました。これについてロールズ・コーポレーションは命令の見直しを求める訴えをアメリカの裁判所に起こし、連邦地方裁判所は大統領側の主張を認めました。その後、連邦控訴裁判所は2014年、大統領の命令は適正な手続きを踏まずにロールズ社が憲法で保護された財産権をはく奪したと結論づけました。アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、ロールズ社はその後、2015年に政府側と和解したと発表しました。具体的には会社は4つの風力発電会社を希望する購入者に売却することができるなどとなっていますが、和解のすべての条件は公開されていないと伝えています。

日鉄は6日付で買収計画に不当な政治介入があったとしてバイデン氏らを提訴したほか、買収妨害行為でUSWのマッコール氏、クリフスと同社CEOも提訴した。

日本製鉄の橋本英二会長兼最高経営責任者(CEO)は7日、東京都内の本社で記者会見を開いた。バイデン米大統領が3日、買収中止命令を出したことを受け「(買収を)諦める理由も必要もない。到底受け入れることはできない」と述べた。日鉄とUSスチールは6日付で不当な政府介入があったとしてバイデン氏らを提訴していた。

橋本氏は米国市場における優位性確保を目的に日鉄のUSスチール買収を阻止したい競合のクリーブランド・クリフスが、全米鉄鋼労働組合(USW)のデービッド・マッコール会長と連携しバイデン氏に働きかけたとし、「こともあろうにこの働きかけに応じ、政治的に介入した」と述べた。

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