【見通し】ロンドン為替見通し=ポンド、英長期債動向次第で不安定な動き続くか

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【見通し】ロンドン為替見通し=ポンド、英長期債動向次第で不安定な動き続くか

本日のロンドン為替市場では、英長期債の動向次第でポンドの不安定さが続くことになりそうだ。昨日は英長期債に売り圧力が強まり、同10年債利回りは一時2008年の金融危機以来の4.80%超えまで上昇した。30年債利回りに至っては、1998年以来となる5.38%台まで上昇する場面があった。英債券売りが嫌気されてポンドも下落し、対ドルでは昨年4月以来の1.23ドル前半まで下げ幅を広げている。

 昨年10月末にスターマー英首相率いる労働党政権が予算案を発表し、大型増税とともに過去最高に近い借入れ計画が明らかにされた。英政府の財政拡大方針を受けた需給の緩みが懸念され、英長期債市場は地合いの弱さ(金利は上昇)が続いている。

 それに加えて昨日は、トランプ米次期大統領が「全世界一律の輸入関税の導入」を検討しているとの一部報道から、世界的にインフレ警戒感が高まった。これは結果的に、ドルに資金を向かわせることになったようだ。

 英長期債の重しとなった政府予算案だが、通常3月に公表される春季財政報告まで新たな発表は予定されていない。そういったなか昨日はリーブス英財務相が財政規律の順守を訴えたが、このまま借入コストが上昇してしまうと更なる増税や支出計画の削減につながるとの懸念も出始めた。いずれにせよ、今のところポンドにとってポジティブな材料は少ないようだ。

 経済指標では、欧州序盤に11月独鉱工業生産(予想:前月比0.5%/前年比-4.5%)が発表予定。昨日は同月製造業新規受注が予想以上に悪い結果となり、ユーロの上値を抑えた。本日も下振れの可能性は念頭に入れておきたい。

想定レンジ上限

・ポンドドル、昨日高値1.2494ドル

・ユーロドル、21日移動平均線1.0392ドル

想定レンジ下限

・ポンドドル、昨年4月22日安値1.2300ドルを割り込むと2023年11月17日週安値1.2211ポンド

 ・ユーロドル、2日安値1.0226ドル

(小針)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ

[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル 【見通し】ロンドン為替見通し=ポンド、英長期債動向次第で不安定な動き続くか

見通し ロンドン為替見通しポンド 英長期債動向次第で不安定な動き続くか

12年までのユーロ圏各国の厳しい経済情勢を受けて欧州委員会等が財政再建ペースの緩和に柔軟な態度を示したことにより、ユーロ圏では13年は12年と比べてほとんどの国で財政緊縮による景気の下押し圧力が緩和している(第1-3-34図)。具体的には、スペイン、フランス等では2年、ポルトガル等は1年、財政赤字是正期限を延長することが認められた(第1-3-35表)。こうした動きもあり、これまで厳しい財政緊縮を余儀なくされてきた南欧諸国の13年の成長見通しが改善している(第1-3-36図)。

9月に閣議決定された14年予算案では14年の財政収支見込は▲5.8%と欧州委員会の勧告に沿った形となっている。12~13年の時限的な措置としていた個人所得税及び固定資産税の引上げ等を14年も継続するものの新たな増税の予定はなく、中小企業を対象にした利益再投資の税額控除等の景気刺激策を盛り込み、景気回復による財政目標達成を見込んでいる。実際、13年7~9月期の実質経済成長率は10四半期ぶりのプラスに転じ、14年の経済成長見通しも0.5%から0.7%に上方修正された。

先行きについてみると、金融市場の緊張の緩和及び財政再建ペースの減速に加え、アメリカ等の域外経済の回復に伴って輸出が増加することによって、南欧諸国等でも持ち直しの動きがみられるようになり、14年以降緩やかに回復するとみられる。国際機関等の見通しをみると、14年はプラス成長が見込まれているが、その達成は前述のとおりアメリカ等の域外経済の動向に依るところが大きいと考えられる(第1-3-48図、第1-3-49表)。

先行きについては、13年11月のインフレーションレポートにおいて、経済状況の回復を受け、8月時点から経済成長の見通しを上方修正し、失業率の低下のペースについても前倒ししたものの、失業率が7.0%に達するのは最も早いシナリオでも14年10~12月期となっており66、金融緩和は当面維持されるものと考えられる。ただし、不動産価格の上昇が続いていることに加え、物価上昇率が目標である2.0%を継続的に上回っており、こうした状況には留意する必要がある。

欧州委員会のデータで構造的財政収支の改善幅をGDP比でみると、英国は09年▲9.2%から12年▲6.5%と4年間で2.7%ポイント改善しており、同期間のEU27か国平均の2.5%ポイント改善より若干早いペースで財政再建を進めていることが分かる。しかし、予算責任庁の見通し(13年3月時点)では、構造的財政収支(投資的経費を除く)の均衡化は16年度、純債務残高(GDP比)が減少に転じるのは17年度にずれ込む見込みである(図2)。

一方で、BOEのフォワード・ガイダンスついては、物価安定のための解除条項を設定したことによりしきい値として失業率の役割が曖昧になったとの指摘や経済の余剰の解消の点から失業率7.0%がしきい値としての適切かどうかを疑問視する指摘等もある。実際、フォワード・ガイダンスを設定した後、英国の失業率は、13年6~8月の7.7%から7~9月には7.6%に低下し(前掲第1-3-30図)、BOEの8月時点の見通しよりも早いペースで低下しており、早期の利上げを見込む市場の動きがみられた。

各国の財政再建に向けた取組やECBを中心としたユーロ圏レベルでの様々な対策により、12年10月以降南欧諸国等の国債利回りやソブリンCDSは低下しており、欧州政府債務問題は落ち着いた状態であった。しかし、ギリシャに対する追加支援問題等、先行きに対する懸念は依然存在している。欧州政府債務問題が深刻化した場合は、ヨーロッパ経済全体に対する不確実性が再び高まり、企業や消費者の先行き見通しの悪化等を通じて、景気に対する大きな下押しリスクとなる。

英国政府は、11年4月に財政責任憲章において、5年間の見通しの期間内で公的部門の構造的経常的財政収支(投資的経費を除く)を均衡化する「主目標」と15年度に公的部門の純債務残高(GDP比)を減少させる「補完的目標」を設定した。

財政再建と並行して、マクロ経済の安定、税制改革、規制緩和、インフラ整備の4つの柱から成る成長戦略を実施しているものの、13年2月及び4月には中期的な成長見通しの弱さ等を理由に民間格付け会社が英国債の格付けをトリプルAから一段階引き下げるなど、財政再建と経済成長の両立は容易ではない。

経済見通しに係るリスクバランスは下方に偏っており、特に欧州政府債務問題が再び深刻化した場合は、世界経済にも重大な影響を及ぼす可能性がある。

10月に公表された14年予算案では13年の財政収支赤字は▲2.4%と目標(▲4.1%)を上回り、14年も▲2.4%と目標(▲3.3%)を上回る見込みを示した(第1-3-43図)。併せて13年の成長見通しを▲4.5%から▲4.0%に上方修正し、14年は0.6%と7年ぶりのプラス成長を見込んでいる。

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