明らかになったトランプ2.0の野望
動画配信期間:2025/01/09~
2025年の為替市場展望 – トランプ政権下での円相場の行方
2024年の振り返り
2024年の為替市場を振り返ると、全体的にドル円はアメリカの金利動向に連動して推移してきました。しかし、5月頃に155円近辺で大きな転換点がありました。この時期に為替介入が実施されましたが、その前からアメリカの金利がピークアウトしていたにもかかわらず、ドル円は150円から160円台へと上昇を続けました。
この時期の特徴として、外国人投資家の間で「日本は金利を上げないだろう」という見方が強まり、円売りポジションが過去最高レベルまで積み上がっていました。しかし、7月に日銀が政策修正を実施したことで、状況は一変。円高方向への大きな動きが始まりました。
年末にかけては、アメリカ大統領選でのトランプ氏優勢を見込んだ「トランプトレード」が市場を支配。トランプ氏の景気刺激的な政策への期待から、アメリカの長期金利上昇とドル高の展開となりました。
2025年のトランプ政権下での市場展望
トランプ政権の政策方針
トランプ氏の政策は、全体的にインフレ刺激的な方向性を持つと見られています。主な政策として以下が挙げられます。
まず、不法移民の強制送還政策です。これは労働市場の需給をさらにタイト化させ、賃金上昇圧力となる可能性があります。現在、農業やレストラン業界など、多くの産業で移民労働者が重要な役割を果たしているため、この政策の影響は大きいと予想されます。
次に、関税政策です。特に注目されるのが対メキシコ関税です。メキシコからの安価な輸入品に対する関税引き上げは、アメリカ国内の物価上昇につながる可能性があります。
さらに、減税政策の継続・拡大も予想されます。これは財政面での懸念材料となりますが、短期的には景気刺激効果が期待されます。
為替市場への影響
トランプ氏は、現在の円安水準を「ひどい」と明確に批判しています。安倍政権時代のドル円レートが100円台前半だったことを引き合いに出し、現在の160円台は行き過ぎだとの認識を示しています。 特に注目されるのが、新財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏の存在です。ベッセント氏は、日本の金融政策に対して独自の見方を持っています。特に興味深いのは、日本の利上げに対する考え方です。
ベッセント氏は、日本の利上げは必ずしも経済に対して引き締め効果を持たないと指摘しています。むしろ、巨額の預金を持つ日本の家計にとって、プラスの金利は実質的な所得増加につながるとの見方を示しています。これは、従来の経済理論とは異なる視点であり、今後の日米金融政策協議に大きな影響を与える可能性があります。
2025年の市場シナリオ
メインシナリオ
短期的には、アメリカの長期金利上昇を背景に、ドル円は強含みの展開が予想されます。しかし、トランプ政権が本格的に始動した後、円安修正を求める政治的圧力が強まる可能性が高いと考えられます。
具体的には、日本に対する金利引き上げ圧力という形で表れる可能性があります。「金利を上げるか、関税を受け入れるか」という形での圧力がかかることも考えられます。
リスクシナリオ
一方で、日本の賃金上昇が期待ほど進まず、日銀の利上げが遅れる場合、円安がさらに進行するリスクも存在します。ただし、政治的な要因から、そうした円安の進行には一定の歯止めがかかる可能性が高いと見られます。
まとめ
2025年の為替市場は、経済のファンダメンタルズだけでなく、政治的な要因が大きく影響する年になりそうです。特に、トランプ政権の通商政策と日本の金融政策の相互作用が、市場の重要なテーマとなるでしょう。
投資家にとっては、従来の経済指標の分析に加えて、政治的な動向にも注意を払う必要がある年になりそうです。特に、日米間の政策協議の進展には細心の注意を払う必要があるでしょう。
現時点では円安基調が続いているものの、政策転換による急激な円高への備えも怠れない状況といえます。市場参加者には、柔軟な対応が求められる一年となりそうです。
動画の概要
国際的な大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任し、ファンドマネジャーとしても活躍された志摩力男氏による為替相場の解説セミナーです。 世界中のヘッジファンドや有力トレーダーとの交流の中で見えた、最もホットな通貨ペアの相場見通しやマーケット展望を、志摩氏独自の切り口で明快に解説します。
志摩力男 氏
慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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