今晩は様子見か。昨日はジミー・カーター元大統領の国民追悼の日でNY株式市場が休場だったが、週初からの3日間ではダウ平均が0.23%安、S&P500が0.41%安、ナスダック総合が0.73%安とそろって2週続落ペースとなった。トランプ次期政権の輸入関税引き上げ策などによるインフレ持続見通しを背景に米10年債利回りが4月以来となる4.7%台まで上昇したことが重しとなった。
今晩は週末の取引となるが、先行きの利下げ見通しを巡り、寄り前に発表される12月雇用統計が焦点となりそうだ。月末28-29日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)は、CMEのフェドウォッチ・ツールによる0.25%の利下げ確率が7%と、政策金利の据え置きが確実視されているものの、年内2回(0.50%)の利下げ確率は53%となっている。12月雇用統計の市場予想は非農業部門雇用者数(NFP)が16.0万人増と11月分の22.7万人増から減少が見込まれ、失業率は4.2%と11月から横ばいが予想されている。NFPなどが予想を上回る強い結果となれば、利下げ期待の後退や、米10年債利回りの上昇が株式相場の重しとなりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは12月雇用統計のほか、1月ミシガン大消費者信頼感指数速報値、同1年先・5年先期待インフレ率速報値など。企業決算は寄り前にコンステレーション・ブランズ、ウォルグリーン、デルタ航空が発表予定。(執筆:1月10日、14:00)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
金利上昇の背景にはるのは FRBの利下げ見通しの後退だ
12月は、日米の金融政策が注目された結果、米国では2025年の利下げ見通しが後退し、日本では早期利上げ期待が後退しました。
ただ、7日の株式市場では半導体大手のクアルコム(QCOM)が前週末比1.16%安、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)が0.91%安になるなど、半導体株全体の見通しが明るくなっているわけではない。半導体株をめぐっては、半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)が9日に9月の総収入を発表し、17日には7-9月期決算を発表する。半導体企業の業績はAIブームの先行きを占う材料として注目度が高いだけに、今後の各社の決算発表がS&P500の今後の見通しを左右することも考えられそうだ。
こうした原油価格の上昇は米国の物価上昇につながる要因で、やはりFRBの利下げ見通しを弱める側面がある。同時に中東情勢悪化は世界経済の見通しを暗くする材料といえ、投資家の不安を強めているようだ。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の7日の終値は22.64で、7月雇用統計を機に市場が大混乱に見舞われた後にあたる8月8日(23.79)以来の高さだ。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、数値が大きいほどS&P500の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを意味する。
●日本では、インフレ圧力の継続により個人消費が力強さを欠くものの、賃金の上昇、経済対策(定額減税・給付金)、省力化やデジタル化などの設備投資の増加、堅調なインバウンド消費、底堅い米景気を背景に持ち直し、緩やかな成長軌道を辿る見通しです。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
FRBは4年半ぶりの利下げを決める見通しですが、アメリカの小売統計で消費の動向が注目されます。インフレが続いてきた中で、節約志向の強まりなどが指摘されていますが、消費が減速していないかが焦点となります。
年内に予定されているFOMCは9月を含めてあと3回。レイオフが多いアメリカでは、雇用が悪化しだすとそのスピードが速いことで知られています。FRBはインフレの芽を見逃し、利上げが後手に回った苦い経験がありますが、今度の利下げ局面で、インフレを再燃させずに景気後退も起こさない「ソフトランディング=軟着陸」を実現できるのか。投資家は日本時間9月19日午前3時に発表されるFOMCの結果で、利下げ幅や今後の政策金利の見通し、そこからアメリカ経済の先行きを確認しようとしています。投資家はいつまでcrouch=身をかがめなければならないのか、いらだちの日々はまだ続くかもしれません。
●中国は、不動産市場の低迷に加え、海外企業の投資減少や若年層の雇用悪化などから個人消費も力強さを欠き需要不足が続くことから、景気が徐々に減速するとみられます。ただし、金融緩和や政府の住宅対策、拡張財政により急激な減速は避けられる見通しです。
●FRBは9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利(フェデラルファンド(FF)金利)の誘導目標を0.5%引き下げ、4.75~5.00%としました。FOMC参加者による金融政策の見通しは、年内残り2回の会合で0.25%で2回分の利下げを行う内容となりました。
こうした日米金融政策の先行き見通しの修正が、米ドル高・円安を後押ししたとの理解が一般的でしょう。実際に、12月の米ドル/円の上昇は、基本的には日米金利差米ドル優位拡大に沿ったものでした(図表2参照)。
金利上昇の背景にはるのは、FRBの利下げ見通しの後退だ。CMEグループのデータによると、11月の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利下げについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間8日午前11時の段階で約86%。利下げ見送りの確率も14%あると見積もられている。11月の0.5%利下げの予想もあった9月雇用統計前からは様変わりした形だ。
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