本日、市場の関心はNY序盤に発表される12月米雇用統計に集まっている。市場予想は失業率が4.2%と前月並みだが、非農業部門雇用者数は前月比16.0万人増と前月の(ハリケーン襲来の反動やストライキの終了で上振れた)22.7万人増を下回るなど、労働市場の緩やかな減速が続く見通しである。平均時給は前月比+0.3%/前年比+4.0%(11月:+0.4%/+4.0%)となっている。
市場ではトランプ次期米大統領就任でインフレが加速するとの見方が強まる中、昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)のドットチャートでは2025年末時点の中央値が上方修正され、利下げ回数が2回と前回9月の見通しから半減した。こうした中、雇用が減少しても小幅にとどまる場合は利下げ観測を高めるには至らず、直後はドル売りで反応しても一時的となることも考えられる。他方、平均時給の上昇はインフレ加速が想起されやすいため、こちらの数値も忘れずに確認したい。
もっとも、今回に限ると、市場の関心がトランプ米次期大統領の政策を見極めたいとのムードが強いほか、2月7日公表予定の年次ベンチマーク改定の確定値が、夏の速報値(81万8000人の下方修正)からさらなる下方修正が警戒されていることもあり、事前予想から大きく乖離しないと、発表直後の動きが一服すると落ち着いた展開となることもあり得る。
なお、雇用統計後の24時には、1月ミシガン大学消費者態度指数・速報値が発表予定。ヘッドラインは73.8と前月から小幅低下の見通し。また、期待インフレは、前回は1年先が2.8%、5-10年先は3.0%だった。ヘッドラインと共に期待インフレに変化があるか気になるところだ。
他方、カナダでも12月雇用統計が発表される。市場予想は失業率が6.9%、新規雇用者数も2.50万人増と前月(6.8%、5.05万人増)と比べて弱めとなっている。米雇用統計と同時刻の発表のため、直後はドルの影響を受けつつ、指標結果に反応した動きとなるか。
想定レンジ上限
・ドル円は、本日高値158.45円。超えると昨年7月16日高値158.86円
・カナダドル円は、7日高値110.47円
想定レンジ下限
・ドル円は日足・一目均衡表の転換線157.29円。割り込むと6日安値の156.24円
・カナダドル円は、一目均衡表の雲上限108.36円
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY為替見通し市場の関心は米雇用統計 カナダでも雇用統計
「タカ派的な利下げ」という判断で、米金利上昇、ドル高、米株安の反応になりました。特に25年のドットチャート(中央値)の利下げ4回→2回への変更はサプライズでした。年末で来年の見通しに関心が集まりやすい局面であることも手伝って、市場の反応もそれなりに大きかったと思います。ただ、26年以降のドットは、市場予想ではターミナルレートでも3%台後半までしか織り込んでいない一方、ドットは緩やかな利下げが続く予想になっており、市場に比べればFRBはハト派的だったと言えるでしょう。したがって、ドル高がこのまま一方的に進むような内容ではなかったように思います。
昨日の日銀金融政策決定会合で、実質金利は極めて低い水準であり、経済・物価が見通し通りに進めば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えが示されたことが、タカ派方向のサプライズになったと思います。FOMCもドル安を後押ししたため、ドル円の1カ月物ボラティリティーも11%台に乗せており、円キャリー取引の巻き戻しによる円高はもう少し続きそうです。ドル円は200日移動平均線151.60も割り込んでいますから、テクニカル上は3月安値の146円49銭や大台の145円ちょうどが短期的な下値メドとして浮上しています。
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