船井電機持ち株会社 破産開始決定
時代がフラットパネル・テレビに移っていっても、初期には船井電機もシェアを維持できた。
今回の“破産劇”。キーパーソンとなるのは、カリスマと呼ばれた船井電機の創業者・船井哲良氏、船井電機を買収した上田智一氏、そして破産手続きに反対している船井電機会長の原田義昭氏の3人です。
では、成功企業だった船井電機に何が起こったのでしょうか。
この船井電機の始まりは1951年、船井哲良氏が大阪でミシンの卸問屋を創業しました。その後、1961年に船井電機を設立し、トランジスターラジオがアメリカで爆発的なヒットとなりました。1985年にはテレビデオの販売を開始し、北米で6割を超えるシェアを獲得します。ちなみに、家庭用のコードレス電話機を発明したのも船井電機です。
2017年に創業者の船井哲良氏が死去すると、2021年には秀和システムホールディングスが株式を買い取り、同社の完全子会社となり上場を廃止。その後、事業は2023年3月に船井電機HD(ホールディングス)に移管され、脱毛サロンを運営するミュゼプラチナムの買収を行うなど事業多角化を図りました。しかし、2024年3月には本社不動産に100億円を超える根抵当権が設定され、ミュゼプラチナムに対する債務不履行や支払遅延が発生し、信用不安が急速に広がりました。
決算公告によると24年3月末時点の負債総額は約258億円。破産管財人には保全管理人の竹山拓弁護士を...
上でも触れたように支払不能など、破産状態に陥った場合、裁判所は申立により決定で破産手続を開始します。そしてこの申立は債務者または債権者がすることができるとされております(18条1項)。通常は債務者が申立てることとなりますが、債権者も申立人に含まれております。債権者からの申立ては一般に債権回収や税務上の貸倒損金算入のために利用されていると言われております。なお債権者が申立てる場合は、その有する債権の存在と破産原因を疎明しなければならないとされます(同2項)。そして法人や会社の場合は、理事や取締役、業務執行社員、清算人も申立てることができます(19条1項、2項)。これらの者による破産を一般に「準自己破産」と言います。この場合も法人の支払不能または債務超過の事実を疎明することとなります(同3項)。
船井電機の売上高は2021年度で804億円まで落ち込み、回復の糸口は見つかっていなかった。
まだ不明点も多い“異例づくし”の破産劇。通常とは大きく違うところがあるようです。まず、会社が倒産状態になった場合、事業を続けるのか終わらせるのか、この2択を迫られます。東京商工リサーチによりますと、船井電機ほどの規模の会社なら事業を続ける選択をするのが通常だということです。
破産は通常、債務者によって申立てられますが、債権者からも申立てることができます。この場合、債務者からはまだ破産に至っていないと考え争うことがあります。債権者から申立てられた場合、裁判所は審理を行うにあたって、債権者と債務者の双方を審尋することとなります(13条、民訴87条2項)。そこでまだ支払不能状態ではないと主張することが考えられます。そして破産手続開始決定が出された場合、その決定が公告された日から2週間、即時抗告をすることが可能です(9条)。この抗告でも破産要件が存在しないことを主張していくこととなります。また精算手続である破産ではなく、事業再建型の民事再生手続への移行を目指す方法も存在します。再生手続開始決定がなされると、既に開始している破産手続は中止されることとなります(民事再生法39条1項)。
TVS REGZAによれば、レグザブルーレイ・ブランドのうち、2022年1月以降販売している「DBR-4KZ600/4KZ400」を除く製品が船井電機製。
事業を続ける場合は、民事再生(再生計画を提示・再生後に負債返済)か会社更生(役員総入れ替えで再出発)という方法があります。しかし今回は事業を終わらせる破産手続きへと舵を切りました。
今回の破産手続き開始に伴い、それ以外のレコーダー製品は、11月をめどに販売を停止するという。
なぜこんなことが起きたのか?今回、今年9月に船井電機の会長に就任したばかりの元環境大臣・原田義昭氏に単独インタビューすることができました。原田氏は破産手続き開始決定の取り消しを求めています。
ヤマダデンキのオンラインショップ「ヤマダウェブコム」では、船井電機製のFire TVはすでに販売が停止されている。10月27日現在、Amazonでは販売ページが残ったものと、すでに販売されていないものが分かれている状況だ。
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