
17日の香港市場は神経質な展開か。中国国家統計局は日本時間の午前11時に2024年10-12月期国内総生産(GDP)など主要経済指標を発表する。市場コンセンサス予想は24年10-12月期実質GDPが前年同期比5.0%増(7-9月期は4.6%増)、12月の鉱工業総生産が5.4%増(11月は5.4%増)、12月の小売売上高が3.5%増(同3.0%増)、24年1-12月の固定資産投資は3.3%増(1-11月は3.3%増)。結果によっては相場の波乱要因にもなり得る。
ハンセン指数は前日まで3日続伸した後とあって、週末を前に利益確定売りが重荷になる可能性がある。一方、米利下げ期待の再燃や、米長期金利の低下に加え、中国当局への政策期待が相場を支えるだろう。本土メディアが関係者の話として、自動車などの分野を対象とする新たな購入補助制度の実施細則が17日に公表されると報じた。
16日のNY市場でダウ平均は4日ぶりに反落。前日に大幅高となった反動や、アップルやテスラなどのハイテク・ジャイアントの一角が大きく下落したことが重しとなった。中国でのiPhone販売が大きく減少したアップルが4.04%安となったほか、テスラが3.36%下落し、エヌビディアも約2%下落した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は、国際金融株のHSBC(00005)が香港終値を上回った半面、大型ネット株の美団(03690)、テンセント(00700)、アリババ集団(09988)が下回って引けた。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 17日香港株神経質な展開か 中国のGDPなどに注目
習近平政権が『共同富裕』を掲げているのは、投資主導型から消費主導型への経済の構造転換を意図したものだろう。しかし、そのためには、国有企業や共産党、軍関連の企業を大胆に整理する必要がありそうだ。これは、政治体制に関わるため、民主主義国に比べて難しいと考えられる。財政政策、金融政策で一時的な需要を創出できても、生産性の改善なくして持続力は望めない。中国株はリバウンドしたものの、供給サイドの改革が十分でない場合、短命に終わる可能性が強いのではないか。
中国において供給サイドの改革が難しい理由は、政治体制にある。2023年における中国の売上高トップ20社のうち、鴻海精密工業、京東商城、中国平安保険の3社を除く17社が国営企業だった。国有企業の他、共産党、人民解放軍と密接に結び付いた企業は、不採算資産を抱えても表面化し難い。結果として、銀行が不良債権を抱え、実体経済は過剰供給でデフレに陥りつつあるのではないか。
日系証券の系列投信会社でファンドマネージャーなどを経て、1994年以降、フランス系、スイス系2つの証券にてストラテジスト。この間、内閣官房構造改革特区評価委員、規制・制度改革推進委員会委員、行政刷新会議事業仕分け評価者など公職を多数歴任。著書に『政策論争のデタラメ』、『中国のジレンマ 日米のリスク』(いずれも新潮社)、『あなたはアベノミクスで幸せになれるか?』(日本経済新聞出版社)など。
17日の香港市場は神経質な展開か。中国国家統計局は日本時間の午前11時に2024年10-12月期国内総生産(GDP)など主要経済指標を発表する。市場コンセンサス予想は24年10-12月期実質GDPが前年同期比5.0%増(7-9月期は4.6%増)、12月の鉱工業総生産が5.4%増(11月は5.4%増)、12月の小売売上高が3.5%増(同3.0%増)、24年1-12月の固定資産投資は3.3%増(1-11月は3.3%増)。結果によっては相場の波乱要因にもなり得る。 ハンセン指数は前日まで3日続伸した後とあって、週末を前に利益確定売りが重荷になる可能性がある。一方、米利下げ期待の再燃や、米長期金利の低下に加え、中国当局への政策期待が相場を支えるだろう。本土メディアが関係者の話として、自動車などの分野を対象とする新たな購入補助制度の実施細則が17日に公表されると報じた。 16日のNY市場でダウ平均は4日ぶりに反落。前日に大幅高となった反動や、アップルやテスラなどのハイテク・ジャイアントの一角が大きく下落したことが重しとなった。中国でのiPhone販売が大きく減少したアップルが4.04%安となったほか、テスラが3.36%下落し、エヌビディアも約2%下落した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は、国際金融株のHSBC(00005)が香港終値を上回った半面、大型ネット株の美団(03690)、テンセント(00700)、アリババ集団(09988)が下回って引けた。
米国、EUは中国に対し過剰供給力の整理を迫るようになった。ダンピングによるデフレの輸出を恐れていることが理由だろう。また、米国の輸入に占める中国のウェートが低下しているのは、両国関係を象徴するだけでなく、中途半端な投資により中国製品の付加価値が低下、価格以外の訴求力が落ちているからではないか。世界の工場は、中国からASEAN諸国、インド、メキシコなどへシフトしつつある。
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