本日のロンドン為替市場でユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーの発言を確認しながら直近レンジを広げられるかに注目。経済指標は、12月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)の発表があるものの、改定値のため相場インパクトは弱そうだ。
昨日は12月ECB理事会の議事要旨を受けたユーロ売りで、一時1.0260ドル台まで下落した。金利低下余地を示唆する内容が着目されたもよう。もっとも、前日15日安値には届かずに切り返すと1.03ドル台を回復。13日に2022年11月以来の1.01ドル後半まで下落した後は、下値を切り上げる展開となっている。
0.25%の利下げが決定された前回ECB理事会では、「データはディスインフレの順調なプロセスを示す」「中期的なインフレは下方リスクが高い」など、このところ複数のECBメンバーが述べているような意見が出たもよう。また、0.50%利下げの協議を要請した委員もいたようだ。
ただ、ハト派的見解は既に織り込まれており、ユーロ売り圧力はそれほど強まらず。そうなると今度は、タカ派がどの程度までタカ派的かを確認することになる。そういった意味で、本日のナーゲル独連銀総裁の講演内容には注目したい。ナーゲル氏と同じくタカ派として知られるホルツマン・オーストリア中銀総裁は今週前半、ECBは過度な利下げは出来ないと述べていた。
独連銀総裁の態度次第では、ユーロドルは直近レンジ(1.02ドル半ばから1.03ドル半ば)を突破するかもしれない。下値をトライした後なだけに、1.0350ドル台に位置する日足一目均衡表・基準線や8日高値を超えてくるとショートの巻き戻しが進みそうだ。
ほか、序盤には12月英小売売上高が発表される。昨日の11月英GDP(前月比)でプラス圏を回復したものの、市場予想には届かず。同月鉱工業生産はさえない結果だった。15日の12月英インフレも鈍化しており、本日の小売売上高が弱いようだと再びポンドの下値警戒感が高まるかもしれない。
想定レンジ上限
・ユーロドル、8日高値1.0358ドルを超えると6日高値1.0437ドル
・ポンドドル、10日高値1.2322ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、14日安値1.0239ドル
・ポンドドル、14日安値1.2140ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し ロンドン為替見通しユーロドル 独連銀総裁のタカ派度合い次第でレンジ広げるか
注目は、タカ派で知られるウォラーFRB理事の言動である。同氏は21日(日本時間21日22時)に米国の経済と金融政策の見通しについて講演を行う。4月の雇用統計は労働市場の軟化を示し、同月の消費者物価指数(CPI)は、インフレが鈍化の傾向にあることを示唆した。しかしウィリアムズ総裁、メスター総裁そしてバーキン総裁らは先週、インフレ率が目標の2%に到達するとの確信を得るには、まだ時間が必要との見解を示した。
今週20日にアトランタ連銀主催の会議でFRBのバー副議長が金融政策と銀行規制について基調講演を行う。アトランタ地区連銀のボスティック総裁とクリーブランド地区連銀のメスター総裁は、ブルームバーグのインタビューに応える。また、ジェファーソン副議長が米経済見通しと住宅価格動向について講演を行う。
5月は非製造業が持ち直す一方、製造業は景気判断の分かれ目となる「50」を下回る見通しである。
8時50分に公表される日銀・企業短期経済観測調査(短観、9月調査)では、企業の景況感が全体的に悪化すると見込まれている。大企業製造業の業況判断指数(DI)の予想は13で、6月調査13と変わらず、大企業非製造業の業況判断指数(DI)の予想は32で、6月調査の33からの悪化が見込まれている。しかし、堅調な設備投資計画や販売価格引き上げの継続意向が窺える内容になれば、日銀にとっては、追加利上げの根拠となる「経済・物価が見通しに沿った経路を辿っている」との判断を裏付ける材料になる。
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