動画配信期間:公開日から2週間
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
動画の内容 抜粋・まとめ
1. 日銀の金融政策と為替動向
– 日銀の1月利上げ観測が急速に高まる
– 日銀の氷見野副総裁と植田総裁の発言を受けて市場が反応
– ブルームバーグによる記事も影響
– ドル円は156円を明確に下抜け、新たな展開へ
– これまでの156-158円のレンジから下方ブレイク
– レンジ幅(2円~2円50銭)から計算すると、次のターゲットは153円50銭が視野に
2. テクニカル分析の詳細な状況
– 典型的なダイバージェンスが形成
– 価格は上昇トレンドを示す一方
– モメンタムインジケーターは下落傾向
– 2つの売りサインが出現
– 当面はドル円の下値模索が予想される
– ただし、ドル強気筋もまだ残存しており、簡単には下落しない可能性も
– 長期保有のロングポジションは振り落としリスクに注意
3. トランプ政権2.0に向けた市場の展望
– 1月20日のトランプ氏大統領就任演説が重要な転換点
– 「トランプ政策=ドル高政策」という単純な図式は危険
– 発言内容が予測不能なため、事前のポジション構築には慎重さが必要
– 客観的な判断と柔軟な対応が求められる
4. 米国の政策当局者の動向と影響
– ベッセント次期財務長官の公聴会での発言
– 基軸通貨としてのドルの地位維持を強調
– デジタル通貨には否定的な姿勢
– 原子力発電支持など、特徴的な発言も
– ウォーラーFRB理事の予想外のハト派発言
– 3月利下げの可能性に言及
– 年間3-4回の利下げの可能性も示唆
– 現市場予想(年1-2回)を上回る緩和的な姿勢
– 政治的な背景
– ウォーラー氏は共和党支持者
– トランプ政権下での政策転換を意識か
– バイデン政権下でのタカ派からハト派へのシフト
5. クロス円相場の分析
– ユーロ円
– 頭の重い展開が続く
– ヘッドアンドショルダーのチャートパターン形成の可能性
– ネックラインブレイク後の下落に要注意
– ポンド円
– 新たなポンド危機の懸念
– トラス前首相時ほどの深刻さはないのでは
– 財政拡張策とインフレ抑制の難しさが影響
– トランプ氏の政治的影響も考慮する必要性
結論:
現在の市場環境は、来週日銀会合の利上げとトランプ政権2.0への開始が重なり、複雑な様相を呈している。ドル円には下落圧力が強まっているものの、1月20日のトランプ氏大統領就任演説までは大きなポジション構築は避け、リスクを抑制した柔軟な対応が推奨される。また、クロス円にも独自の下落圧力が見られ、総じて円高方向への展開に注意が必要。市場参加者は、政治的な要因も含めた多角的な分析と、予断を持たない客観的な判断が求められる状況といえる。
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外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
志摩力男 氏
慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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ドル円に下落のサイン 153円方向へトランプ20相場本格スタート 日銀は利上げ濃厚に
ドル円の2024年の変動幅(1月2日から12月20日まで)は22.37円と、前年の24.69円から縮小した。このままいけば、終値ベースで4年続伸となる。2024年は、日銀のマイナス金利解除期待から141.04円でスタートしたが、以降は買いが優勢となった。日銀が3月18-19日に開いた金融政策決定会合でマイナス金利解除を決定したものの、植田総裁が会見で「緩和環境を維持することが大事」と述べ、追加利上げに慎重姿勢を示したため、150円を突破した。4月25-26日の日銀金融政策決定会合では、ドル円が155円台へ切り上げる過程で、円安に対し今のところ基調的な物価上昇率に大きな影響を受けていないかとの質問に植田総裁が「はい」と回答したため、一気に3円50銭近くも急伸し158円を超えていく展開。日本がゴールデン・ウィーク中の4月29日には1990年4月以来の160円を突破した。同日と5月2日に政府・日銀による介入で151.80円台へ下げるも、ドル円の上昇基調は変わらず。7月3日には一時161.95円と、1986年以来の高値をつけた。
日本株市場は先週も相変わらず抑圧的で冴えない動きをしたが、華々しくドラスチックに動いているのがドル円市場である。
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金融市場ではメキシコとカナダの通貨が対米ドルで急落、アジアの株式市場でも貿易戦争の標的になりやすい自動車や半導体関連銘柄の下落が目立った。もっともトランプ氏の次期大統領就任を控えて、世界の企業は先回りで貿易戦争に備えている。関税引き上げ前に在庫を積み増す動きを強めており、アジア発米国向けの海上輸送量は2024年が過去最高になりそうだとの観測が出ている。第一次トランプ政権下では米中関税合戦によって2019年の世界経済が減速したが、その二の舞にならないように早め早めの動きが出ている。
アメリカのFRBは0.25%の利下げを決めたが、トランプ氏の勝利は、今後の段階的利下げシナリオを狂わせかねない。日銀は円安圧力に再び直面する可能性がある。日本企業の間では「トランプ関税」に警戒感が強まっている。
中国への追加関税の理由は中国からメキシコなどを経由して合成麻薬「フェンタニル」が米国に流入していることへの対抗措置、カナダやメキシコへの関税についても違法薬物や不法移民の流入が終わるまでの措置としている。米商務省によると米国の今年1~9月の輸入額はメキシコから3788億ドル、中国から3221億ドル、カナダからが3093億ドルで1~3位を占め、3カ国合計で全ての輸入額の4割に上る。トランプ氏は選挙戦で不法移民対策を争点の1つにしていたが、問題を解決するために関税を最大限活用する姿勢を明確にしたわけだ。
植田総裁は、10月の会合後の会見で、追加利上げをめぐり「時間的余裕がある」との表現を用いなかったが、円安が加速すれば、輸入価格の上昇を通じて物価の上振れリスクが強まり、日銀が利上げを判断する材料になる。
FRBの利下げ決定後、外国為替市場の円相場は、日米の金利差縮小が意識され、円がドルに対して強含みでの推移が続いていたが、週明け11日午前の東京市場は1ドル=153円前半で取引されている。アメリカ金利の高止まりを見通して、円安傾向は変わっていないとする市場参加者が目立つ。
「米国の利下げ&日本の利上げが今後進めば、日米金利差は縮小してドル売り&円買いで円高になる」とのコンセンサス通りの展開で7月3日の161.94円から9月16日には139.57円と22円もの円高が進んだ。ところが、それが再び巻き戻されて11月15日には156.74円と2カ月前から15円もの円安となった。「米国利下げ&日本利上げ」のシナリオ自体は崩れていないのに、なぜここまで再び円安となったのか? 過去のコラムで解説したが、為替市場の方向性を決めるのは単一の理由ではないということだ。メインシナリオが実現すれば円高であっても、サブシナリオが働いて円安になるという事例である。そのサブシナリオとは「景気減速が起こらないほど米国経済は強い」=「ドルを買う」という動きが起こった事、そしてトランプ氏が大統領選で勝利するという「トランプトレード」でドル高と米金利上昇が起こった。
トランプ氏の掲げる政策は「インフレ的」だとして、投機筋による円売りが再び本格化すれば、円相場の下落が長期化する可能性があり、日本国内への輸入物価を高止まりさせるおそれがある。日銀は、円相場の動向を注視しつつ、今後の利上げの時期を見極める。
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