FX/為替「日銀利上げ織り込み8割超に 円買い余地は縮小」 外為どっとコム トゥデイ 2025年1月17日号

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FX/為替「日銀利上げ織り込み8割超に 円買い余地は縮小」 外為どっとコム トゥデイ 2025年1月17日号

外為どっとコム トゥデイ

主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。

作成日時 :2025年1月17日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼16日(木)の為替相場
(1):堅調な豪雇用統計も豪ドル上昇続かず
(2):日銀観測報道
(3):冴えない英経済指標
(4):ECB議事要旨公表
(5):弱い米経済指標
(6):FRB理事ハト派発言

▼16日(木)の株・債券・商品市場

▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:円を売りにくい地合いが続く公算/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント

16日(木)の為替相場

期間:16日(木)午前7時10分~17日(金)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム

(1):堅調な豪雇用統計も豪ドル上昇続かず

豪12月雇用統計は新規雇用者数が5.63万人増と市場予想(1.50万人増)を大幅に上回った。失業率は予想通りに4.0%へ上昇した(前回3.9%)が労働参加率は67.1%と過去最高の水準に上昇した(前回67.0%)。豪州の労働市場が堅調であることが示されたが、豪ドルの上昇は続かなかった。

(2):日銀観測報道

「日本銀行は、来週予定されるトランプ米次期大統領の就任時の発言を受けて金融市場などで大きな混乱が起きなければ、23、24日の金融政策決定会合で追加利上げを決める公算が大きい」とブルームバーグが複数の関係者への取材を基に報じた。

(3):冴えない英経済指標

英11月国内総生産(GDP)は前月比+0.1%と市場予想(+0.2%)を下回った。同鉱工業生産は前月比-0.4%と市場予想(+0.1%)に反して落ち込んだ。同貿易収支は193.11億ポンドの赤字だった(予想180.00億ポンドの赤字)。

(4):ECB議事要旨公表

欧州中銀(ECB)は3会合連続で利下げを決めた2024年12月の理事会の議事要旨を公表。インフレ鈍化が想定通りに進めば「金融引き締めの段階的な巻き戻しが適切になる」として、利下げの継続を示唆した。12月理事会では一部の理事会メンバーからは50bp(0.50%ポイント)の大幅利下げの検討を求める声も出たが「景気減速のかなりの部分は金融政策では対処できない構造的な要因による可能性が高く、政府が対処すべきだ」として25bpの利下げにとどめたことがわかった。

(5):弱い米経済指標

米12月小売売上高は前月比+0.4%と市場予想(+0.6%)を下回った。自動車を除いた売上高も前月比+0.4%と市場予想(+0.5%)に届かなかった。ただ、GDPの算出に用いられる、自動車・ガソリン・建材・外食を除いたコア売上高は前月比+0.7%と市場予想(+0.4%)を上回った。クリスマス商戦における個人消費が旺盛だったことが示された。同時に発表された米新規失業保険申請件数は21.7万件と予想(21.0万件)以上に前週(20.3万件)から増加した。

(6):FRB理事ハト派発言

米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は「昨日発表されたインフレデータは非常に良好な内容だった」とした上で「こうした数字が続けば、今年前半に利下げが実施され得ると考えるのが妥当だろう」と発言。3月利下げの可能性も排除しないと付け加えた。これを受けて米長期金利が低下に転じるとドル売り・円買いが再開した。

16日(木)の株・債券・商品市場

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ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)

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人気通貨ペア 本日の予想レンジ

ドル/円の見通し:円を売りにくい地合いが続く公算

昨日のドル/円は155円台前半へと続落。日銀の利上げ観測が高まる中、東京市場で156円台を割り込んだ。その後持ち直す場面もあったが、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事が早期の追加利下げの可能性に言及したことを受けてNY市場で155.10円前後まで下落した。日銀の利上げについては、「日銀は来週会合で利上げの公算大」とするブルームバーグの観測報道で金利スワップ(OIS)が織り込む利上げ確率は80%を超えて上昇。来週24日の25bp(0.25%ポイント)利上げは、ほぼ確実視されるに至った。報道の通り、来週20日に予定されるトランプ次期米大統領の就任式前後の発言を受けて金融市場などで大きな混乱が起きなければ、日銀は追加利上げに踏み切ることになりそうだ。こうした中、本日も円を売りにくい地合いが続く公算が大きい。ただし、日銀の利上げ織り込みが進んだ分だけ、円買いの余地が小さくなっているとも言える。ドル/円は心理的節目の155.00円を巡る攻防戦となる見込みだが、仮に下抜けても大きく下値を拡大する展開にはならないと見る。

注目の経済指標:中国GDP

注目のイベント:BOE総裁発言

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※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

 
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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

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[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル FX/為替「日銀利上げ織り込み8割超に 円買い余地は縮小」 外為どっとコム トゥデイ 2025年1月17日号

FX 為替 日銀利上げ織り込み8割超に

■長期のドル円相場を振り返ると、1985年2月のプラザ合意を契機に始まった円高ドル安トレンドは、2011年10月に75円35銭をつけて終了し、その後のもみ合いを経て現在は反転途上にあります。こうした長期の視点から改めてドル円の現在位置を確認すると、ゴールデンウイークに政府・日銀が介入に踏み切った「160円」という水準は、チャート上とても重要な水準であったことに気づかされます。というのも、プラザ合意後の円高が短期間に猛烈なスピードで進んだことから、1990年4月につけた戻り高値の160円20銭を抜けると、プラザ合意前の262円80銭まで目ぼしいチャート上の節目がほとんど見当たらないのです(図表1)。

2カ月半ぶり円安149円台 日銀幹部「どんどん利上げ考えにくい」

日銀会合後にドル円が156円台へしっかりと上昇する場合は、21日線を視野に上昇幅の拡大を予想する。この移動平均線は今日現在、158.17レベルで推移している(上の日足チャート、青ラインを参照)。

今週の日銀イベントの焦点は、7月の円高がすでに日銀会合での「同時決定」を織り込んだ動きなのかどうか?この点を見極めることにある、と述べた。同時決定を織り込んだ円高ならば、日銀会合後は円安へ振れる展開が予想される。相場格言でいうところの「思惑買い、事実売り」である。

そうした事情もあってか、政府・日銀は計2回、総額約9兆8千億円の大規模為替介入に踏み切りました。しかし、介入を決断した背景には、こうした事態を招いた責任感以外にも理由がありそうです。というのも、今回介入に踏み切った水準を抜けると、ドル円には当面目ぼしいチャート上の節目が見当たらないのです。

■このため、ドル円が160円20銭のチャート上の節目を抜けて、明確な「円安ドル高トレンド」が確認されると、プラザ合意前のドル高値である262円80銭を目指す、「超円安相場」が始まっても決して不思議ではない状況でした。まさに、奈落の底へと突き落とされる直前に踏みとどまり、「地獄の窯」の中を覗きかけた格好です。そう考えると、当局の担当者が連休返上で為替介入にいそしんだのも、やむを得なかったと言えそうです。

■弊社では、米連邦準備制度理事会(FRB)は年内2回、9月と12月にそれぞれ0.25%の利下げを、一方の日銀は、10月に無担保コール翌日物金利の誘導目標を現状の0.0~0.1%から0.25%へ引き上げるものと想定しています。仮に、この見立て通りに日米で政策金利の変更が行われると、今年の10月には日米の短期金利差は5%を割り込むことになりそうです。

目先の焦点は、サポート水準として意識されている152.00レベルの攻防となろう。日銀会合が円高イベントとなる場合は、152.00レベルだけでなく200日線の下方ブレイクを想定しておきたい(下のチャート、緑ラインを参照)。この移動平均線は今日現在、151.54レベルで推移している。

■また、より広範なモノやサービスの価格をカバーする購買力平価(Purchasing Power Parity、PPP:2国間のインフレ格差から為替レートの適正水準を探る分析手法)で見ても、円の割安感は際立っています。具体的な数字で見てみましょう。足元のドル円レートは約156円(2024年6月5日時点)ですが、日米の消費者物価指数(CPI)の格差で計算したPPPは1ドル106円97銭、生産者物価指数(PPI)で計算したPPPは1ドル89円83銭となっています(図表3、4、いずれも4月末時点)。もし、CPI基準のPPPまでドル円が調整すると約49円(約31%)の大幅な円高に、PPI基準のPPPまで調整すると約66円(約42%)の「円急騰」が生じる計算になります。

■ちなみに、日米の3カ月物の短期金利差が5%の場合、金利差から得られるリターン(取引コスト等控除前)は1.25%になります(5%×90日÷360日)。一方、日米金利差が4.5%以上5%未満の時期における3カ月間の為替騰落率は、ボラティリティが8%を超えると平均1.35%のドル安となります。このため、低金利の円で資金を調達して高金利のドルで運用する、いわゆる「キャリートレード」の損益はマイナスに転じる可能性が高まります。

155.93レベルは、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準にあたる。日銀が追加の利上げを見送り、植田総裁の会見でタカ派的な要素も見当たらなければ、156.00レベルまで急速に反発する展開を想定しておきたい。

ニューヨーク外国為替市場で13日(日本時間14日未明)、円安ドル高が急速に進み、約3カ月ぶりに1ドル=150円台をつけた。円は年初から10円ほど急落している。心理的な節目である150円を突破したことで、市場では為替介入の可能性が意識され始めた。

日足のMACDとRSIはともに、ドル円の地合いの弱さを示唆している(下のチャート、赤矢印を参照)。ゆえに、日銀イベントの前にドル円が152.00レベルをトライそして下方ブレイクする可能性もあろう。このケースでは、200日線までの下落を想定しておきたい。

日銀イベントが円高の要因となり、下で述べる米連邦公開市場委員会(FOMC)が米ドル安の要因となる場合は、ドル円の下落幅が拡大することで、早くも上2つのテクニカルラインをトライする可能性が高まるだろう。

■為替レートは株式や債券などと異なり適正価格の試算が難しいため、市場参加者の多くは「トレンドに乗る(Trend is friend)」ことで利益を得ようとします。こうした為替市場の性格から、重要なチャートポイントを抜けると明確なトレンドが形成されることで、相場に大きな推進力が生まれることが少なくありません。

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