豪ドル/円 今日の見通し「トランプ大統領の関税政策(発言)に一喜一憂 対中政策への警戒続く」2025/1/22

豪ドル/円 今日の見通し「トランプ大統領の関税政策(発言)に一喜一憂 対中政策への警戒続く」2025/1/22

【最新号】

オーストラリアの通貨「豪ドル」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。

執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉

豪ドル(AUD)トレードに関わる現在までの相場トピック

・NY原油先物市場は続落。終値は前営業日比-1.99ドルの1バレル=75.89ドル(1月21日)。

<WTI原油・商品CFDチャートはこちら>

・1月16日発表の豪12月雇用統計は、雇用者数が5.63万人の増加と市場予想(1.50万人増)を上回った。失業率は4.0%で予想通り前月(3.9%)から上昇。労働参加率は市場予想や前月(67.0%)を上回る67.1%だった。

・1月9日に発表された豪11月小売売上高は前月比+0.8%と市場予想(+1.0%)を下回った。

・1月8日に発表された豪11月消費物価指数(CPI)は前年比+2.3%(予想:+2.2%、前月:+2.1%)だった。また、CPIトリム平均は+3.2%で前月(+3.5%)から伸びが鈍化した。10月30日に発表された豪7-9月期CPIは前年比+2.8%(予想:+2.9%、前四半期:+3.8%)で予想以上の鈍化だった。

・12月10日に豪準備銀行(RBA)は金融政策決定会合を開催。政策金利は4.35%で据え置きとなった。声明からは「政策は十分に抑制的である必要がある」などの文言が削除されていた。

今日の豪ドル(AUD)トレード メインシナリオ

トランプ大統領の関税政策(発言)に一喜一憂 対中政策への警戒続く

昨日の豪ドル/円は往って来い。トランプ米大統領が「メキシコやカナダに対して関税賦課を検討」と語ったことで、米ドル全面高となるなか豪ドル/米ドルの下落につれたが、その後は欧米株価指数の上昇を支えに下げ幅を取り戻した。トランプ大統領はこれまで中国に対する追加関税についても述べていたが、就任以降は中国への関税については触れていない。市場はトランプ大統領の関税政策に関する発言に敏感になっている。豪州は中国と交易関係が強いため、対中関税に関するトランプ大統領の発言には引き続き注意が必要だろう。

豪ドル/円 最新チャート分析

今後の注目材料

世界的な株価動向

「ぴたんこテクニカル」内「お天気シグナル」の分析結果

外為どっとコムのテクニカル分析ツール「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」では豪ドル/円、豪ドル/米ドルともに晴れ。

【情報提供:外為どっとコム】

<「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」 詳細はこちら>

  • ※ 「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」とは、選択した通貨ペア・足種に対して、複数のテクニカル分析を行った結果をパネル形式で一覧表示することにより、直感的に相場状況を把握することができるツールのことを指します。
  • ※また、高機能チャート(パソコン版)/(スマホ版)では「取引分析」 を選択することで、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況をチャート上に表示が可能です(「外為注文情報」)。
  • ※ なお「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」や、「外為注文情報」は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家ご自身でなさるようお願い致します。

お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信

外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。

12時からのFXライブ解説 配信チャンネルはコチラ

 

 

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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。

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よって 豪ドルは 特に成長重視の投資家には魅力的と考える

1/13の96円39銭を安値に1/14発表の米12月PPIが市場予想を下回ったことを受けた対ドルでの上昇とともに97円96銭へ上昇し、1/15には98円01銭へ上伸。ただ、1/14の氷見野日銀副総裁に続き、1/15-16と連日で植田日銀総裁が「1/23-24の会合で利上げを行うか議論」と述べ、追加利上げ確率が80%超へ上昇したことからドル円が下落。また、1/16発表の豪12月雇用統計は、失業率が市場予想通りの4.0%、就業者数も市場予想を大幅に上回ったものの、常勤は2.37万人減少する緩和気味の労働環境とともに賃金の伸び鈍化を通して、個人消費の減速や需要主導型のインフレ圧力の低下の思惑とともに下落。また、米12月小売売上高が市場予想を下回ったことやウォラーFRB理事のハト派寄りの発言を受けたドル円の下落も重なり96円33銭へ下落。さらに1/17発表の米12月鉱工業生産などの指標が市場予想を上回ったことを受けた対ドルでの下落とともに96円07銭へ下落。一方、ドル円が156円台前半へ反発したことから97円16銭へ反発し96円77銭で取引を終えました。1/9から続く日足・基準線/転換線(97円48銭/97円61銭)が上値抵抗線とする上値の重い動きを続けており、こうした動きが今週も続けば12/19の95円81銭や12/6の95円52銭を目指して一段安となる可能性があります。こうした中、1/22発表のニュージーランド10-12月期CPIを受けた対NZドルに対する豪ドルの反応に加え、1/23-24の日銀金融政策決定会合の結果や植田総裁の会見を受けたドル円の反応とともに基準線や転換線を回復するか上値メドとして注目されます。加えて翌週1/29発表の豪10‐12月期CPIを受けてインフレ圧力の低下が確認されれば、2/18の豪中銀政策理事会で10会合ぶりの利下げ観測が高まることへの思惑が焦点となります。

2022年後半以降、主要通貨に対する米ドル安が進行する裏側で、豪ドル相場が見直され始めています(図1)。

一方、このところのFX市場では日本銀行が12月18、19日の金融政策決定会合で利上げを決めるとの見通しが円高要因として働いている側面がある。ただ、物価上昇の根強さに手を焼くRBAの利上げをも排除しない姿勢は日銀と方向性が似ている部分もあり、中国経済への懸念を材料にした今後の豪ドル円相場の下落見通しを和らげる要因として意識される可能性もありそうだ。

欧州通貨と同じく、豪ドルと円は米ドルに対して上昇余地が大きいと考える。豪ドル/米ドルは2024年6月末までに1豪ドル0.76米ドルまで上昇すると予想する。我々の予想は、アジアの良好な経済環境、国内政策、コモディティ価格の回復がプラス材料となり、オーストラリア経済は持ちこたえることができるという見方に基づいている。このためオーストラリア準備銀行(中央銀行)はタカ派姿勢を維持すると考える。ターミナルレート(利上げの最終到達点)は4%を若干上回る水準を予想しており、今年または来年初頭に利下げが行われる可能性は低いと考える。経常収支が黒字のため、財政状態は健全性が高まっている。米国のオーストラリアに対する金利の優位性が低下したことは、投資家が豪ドルの買いポジションを積み増すきっかけとなるものであり、よって豪ドルが上昇するとみている。こうした見方は、リスク資産を選好する市場のセンチメントにも影響される。

過去の豪州の利下げ局面の経験では、世界的な金融緩和によって投資家がリスク選好を強める環境(リスクオン相場)は豪ドル・円相場の追い風となる傾向がみられました(図11)。当面のところは米国の金融・財政リスクの行方を引き続き注視する必要があるものの、2024年に向けては主要国の金融緩和への転換などをきっかけに投資家のリスク選好度が改善に向かうかに注目が集まりそうです。

特に豪ドルへの通貨分散を進める上では、次に挙げる4つの点が豪ドル相場のファンダメンタルズの安定を支える要因として注目されます。

豪ドルについては、オーストラリアの国際収支の黒字と中銀のタカ派姿勢維持の見通しを勘案すると、売られ過ぎと我々は見ている。よって、豪ドルは、特に成長重視の投資家には魅力的と考える。また、リスクオフの市場環境では、豪ドルが上昇する可能性は低いだろう。

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