植田総裁「利上げを議論」は「利上げをする」に聞こえるが、果たして【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2025/1/23
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
動画要約・まとめ
1. トランプ米大統領の関税政策とその影響:
– カナダ・メキシコへの25%関税措置は既に決定済み
– 中国に対する10%の追加関税も表明
– EUへの関税導入も示唆、日本への言及は現時点でなし
– 通常の経済理論では関税導入により:
* 輸入品価格上昇→輸入インフレ圧力
* 国内物価上昇→金利上昇→通貨高
– しかし現状はその理論通りの展開見られず
– 背景には政治的・外交的な交渉カードとしての性格が強い可能性
2. 日銀金融政策決定会合の見通し:
– 0.25%の利上げはほぼ確実視される状況
– 市場は既に織り込み済みで、実施時の円高反応は限定的の見込み
– 注目点は植田総裁の今後の金融政策に関する発言:
* 慎重または消極的な発言の場合、円安方向への展開
* 金融引き締めの継続性に関する言及が重要
3. グローバル金融市場の展望:
– 来週のFOMC(米連邦公開市場委員会)でも:
* 政策金利は据え置きの見通し
* 今後の利下げに関して慎重な姿勢が予想される
– 結果としてドル高基調が継続する可能性
– ドル円相場は158円台がメドに
4. メキシコペソの興味深い動向:
– トランプ大統領の厳しい姿勢にもかかわらず:
* メキシコペソ円は一時7.5円まで下落も速やかに反発上昇
* 予想以上に底堅い値動き
– 今後の見通し:
* 金利差による上昇余地大
* ペソ円は8円台を目指す可能性
* 関税の実際の影響は限定的との見方
総合的な結論:
現在の市場は、金曜日に日銀の利上げを既に織り込み済みの状態。植田総裁の発言次第では円安方向への展開が予想される。FOMCも慎重な金融政策スタンスを維持する見通しで、これらを総合するとドル高基調が継続する可能性が高い。特筆すべきは、トランプ大統領の強硬な関税政策にもかかわらず、メキシコペソが予想以上の強さを見せている点。これは市場が関税政策を純粋な経済政策というよりも、政治的な交渉カードとして捉えている可能性を示唆している。金利差に注目が集まる展開となれば、ペソ円の上昇余地も十分にあり得る状況。当面は日銀会合、FOMC、トランプ政権の政策動向という3つの主要イベントを注視する必要がある。
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株式会社マットキャピタルマネージメント 代表取締役
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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