煮干しラーメン危機 イワシ不漁
“もう限界”。そう話す背景にあるのは原材料費や光熱費の上昇。特に「煮干し」の価格高騰です。月岡二幸さん「うち店名が『あごすけ』なもので、ずっと焼きあごを出汁のメインでやってきましたけど、いま一番煮干しが高騰どころか倍。昔に比べると倍になりまして。佐渡産の(煮干し)に関してはキロ9,000円です」
つまり、餌プランクトンの減少を発端にカタクチイワシの雌は痩せ、質の悪い卵を産み、発育初期の仔魚の生き残りが著しく悪くなっていることが推測される。近年の燧灘のシラスやカエリの不漁は、これら複合的な要因が招いた結果であると考えられた。
店主は、ラーメン王・石神秀幸氏が主宰する「食の道場」でラーメン作りを学んだ。あっさりな「中華ソバ」(680円)とこってりの「鶏白湯」(730円)の二本柱だが、見逃せないのが「ドクロ煮干しソバ」。鶏ガラと豚骨を砕き、髄から旨味を抽出したスープに、同量のウルメ煮干しを加えてさらに炊き上げる。ドロドロで見るからに濃厚!「痛風の方はご遠慮を」という濃厚煮干しだ。
濃厚なつけ麺専用のスープに必要不可欠な煮干しが、価格高騰のあおりを受けている。 行列ができる東京・大...
まず、近年、カタクチイワシの産卵盛期を含む春~初夏に、主要な餌となる動物プランクトン(カイアシ類)が顕著に減少していた。次に、動物プランクトン減少の影響か、近年のカタクチイワシ雌は痩せていることがわかった。痩せた雌が産んだ卵は、太った雌が産んだ卵に比べて小さく、生まれた仔魚も成長率が低いことが、飼育実験から示されている。実際に、1994~2019年におけるカタクチイワシの総産卵数と仔稚魚の漁獲尾数を比較すると、総産卵数は近年増えているにもかかわらず、仔稚魚の漁獲尾数は2000年代以降から急激な減少を認めた。
最後にここまで読んでくださった皆様に添えておきます。これからの煮干しラーメン屋さんの販売価格は急激に上昇する可能性があります。ですがこれは私は敢えて『一時的な凌ぎ』がゆえの価格上昇だと信じております。ある業者さんは言いました……「日本の飲食店は今まで安くて美味しいものを提供してきた罰が下った」そのとき私は思いました──馬鹿か、そういう先人たちの苦労と努力と並々たる知恵があったからここまでラーメンという文化が一般認知されるまでに昇華したんだろ! と。文化というのは継承していくことでどんどんと深みを増していきます。これは値段なんてとてもじゃないですが簡単につけることのできないものです。これらの『文化』を守るために、私たちは活動を続けているわけです。ですが活動を続けるためには現在の社会的システムでは、どうしても『お金』というのは切っても切り離せないものでありまして、がゆえにサービスという概念が産まれているわけです。これらを無視してラーメンの価格が高くなったことを『単純に嘆く』心ない消費者には敢えて喝を入れますし、更には『適当な理由をつけて無駄に価格を値上げする同業者』にも私は咤します。
マイワシの大量発生です。なんだか30年に生じるイベントみたいです。マイワシは出世魚で、シラス、ヒラゴ。チュウバ、オオバと成長してきます。このマイワシの大量発生がカタクチイワシの不漁に繋がる可能性が高いと示唆されているそうです。ということはこれからの煮干しは下手したらヒラゴへと変わっていく可能性が多いにあります。それらも含めて、料理人の皆様はこれからの時代を見据えたアイデアを構築すべきではないのか、と思う次第です。
瀬戸内海中央の燧灘(ひうちなだ)では、2000年代初頭から、ちりめんじゃこや煮干し(いりこ)として利用されるカタクチイワシのシラス(仔魚)やカエリ(稚魚)の漁獲量が急激に減少している。
煮干し好きが待ちに待ったブームが到来!こってり・あっさりを気分によって選べる店も多いので、まだ食べたことがないという人は、まずは「ラーメンWalker新潟」お墨付きの店でチャレンジしてみよう。
瀬戸内海では近年、栄養塩濃度の低下(貧栄養化)や高水温化が指摘されており、これらはカタクチイワシの餌のプランクトン減少にも関与しているとみられる。本研究成果は、瀬戸内海において複雑化する「貧栄養化-餌プランクトン発生の変化-漁業生産低迷」の因果関係に関する理解を飛躍的に進める足掛かりとなると期待される。
おすすめは「濃厚煮干らーめん」(790円)。動物系スープに大量の煮干しを加えて旨味を抽出。セメントのような見た目でドロリと濃厚だが、えぐ味はなく、麺はパツパツと歯切れがよい。このほか、あっさりで奥深い味わいの「煮干らーめん」(690円)も人気。こちらには伊吹産イリコなど5種の煮干しを使用している。
水産研究・教育機構、香川県、愛媛大学、広島大学の共同研究チームは、燧灘におけるカタクチイワシ漁獲低迷の原因を究明すべく、野外調査や飼育実験などに取り組んだ結果、次のことを明らかにした。
おすすめは、やはり「ドクロ煮干しソバ」(880円/1日10杯限定)。煮干し全開のセメント系。ドロリと濃厚だが雑味はなく、レモンとトマトが清涼剤に。麺はパッツリ系だが、低加水でスープを吸うとモッチリに。このほか、豚骨ベースに煮干しやサバ節などを合わせたあっさり清湯(チンタン)、「肉煮干しソバ」(800円)も人気だ。
東京のラーメン店で腕を磨いた店主が故郷へ凱旋。こってりとあっさりの2種の煮干しラーメンと、かき氷の二毛作で営業する。煮干しは種類や産地を全国から厳選。上品な旨味の伊吹産イリコ、力強い八戸産背黒イワシ、香り豊かな長崎産アゴを中心に、なんと7種を使用。煮干しの状態を見極め、量を調整している。なお、かき氷にはブルーベリーなど胎内産の季節の果物を積極的に使っている。
ラーメンは民衆の文化だからこそ、誰でも手軽に美味しく食べれる状態を作ることが、私の信念です。それにはブランド的な『高級志向』なんて入りません。ですが文化を継続させるためには、これらの長文のなかで説明した状況をご理解いただきたいのも現状──私たちも近々、値が上がるかもしれません。ですが私は二代目として皆様に約束します──煮干しの価格上昇が落ち着いたときには必ず値段は下げるということを。そしてそのような心意気のラーメン屋が増えることを私は信じたい。
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