【見通し】ロンドン為替見通し=1月の独仏英ユーロ圏の製造業・サービス業PMIに要注目か

【見通し】ロンドン為替見通し=1月の独仏英ユーロ圏の製造業・サービス業PMIに要注目か

本日のロンドン為替市場のユーロドルとポンドドルは、1月の独仏英ユーロ圏の製造業・サービス業PMI速報値を見極めつつ、ラガルドECB総裁やチポローネECB専務理事の講演に注目することになる。

 ドル円に関しては、15時30分からの植田日銀総裁の会見に注目することになるが、リスクシナリオは、ハト派的な見解の場合のドル高・円安、そして、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性などとなる。

 神田前財務官によるドル売り・円買い介入第一弾は、2022年9月22日に、黒田前日銀総裁によるハト派発言を受けたドル高・円安の局面だった。

 1月の独仏英ユーロ圏の製造業・サービス業PMI速報値では、今年の英国や欧州は、米国との貿易戦争による物価上昇圧力、景況感悪化が警戒されているため、予想を上回る良好な数字に対する反応は限定的だと思われ、リスクシナリオは予想を下回るネガティブサプライズの場合となる。

 ラガルドECB総裁やチポローネECB専務理事は、来週の欧州中央銀行(ECB)理事会での追加利下げを示唆してきていることで、ハト派的な見解が予想される中、ターミナルレート(利下げの最終到達点)への言及にも注目しておきたい。

 トランプ米大統領が、米連邦準備理事会(FRB)に対して金利引き下げを要求する、と述べ、同様に、世界中で金利が引き下げられるべきだ、と述べたことに対する見解にも注目しておきたい。

 また、スワップ金利が織り込んでいる今年のECBの金利見通しは、0.25%の利下げ4回となっていることへの見解にも注目しておきたい。

 本日は、トランプ米大統領が、中国への関税を避けたい、と述べており、欧州や英国への関税に関するヘッドラインにも注目しておきたい。

想定レンジ上限

・ユーロドル:1.0469ドル(日足一目均衡表・雲の下限)

・ユーロ円:163.81円(1/8高値)

・ポンドドル:1.2494ドル(1/8高値)

・ポンド円:193.95円(日足一目均衡表・雲の下限)

想定レンジ下限

・ユーロドル:1.0348ドル(日足一目均衡表・転換線)

・ユーロ円:161.48円(日足一目均衡表・転換線)

・ポンドドル:1.2258ドル(日足一目均衡表・転換線)

・ポンド円:191.19円(日足一目均衡表・転換線)

(山下)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ

[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル 【見通し】ロンドン為替見通し=1月の独仏英ユーロ圏の製造業・サービス業PMIに要注目か

秋季見通しの変更はこうした動きを反映している

ただし、この財政赤字削減は、主として現政権が公約に目玉政策として掲げていたベーシックインカムの導入及び11年に実施された年金改革の撤回先送りによるものである。仮に20年以降にこれらの政策を実施する場合には、財源として20年、21年の付加価値税率引上げを行うことが前提となるが、そうした措置が着実に実施されるかにつき、EUは引き続きイタリアの状況を監視する必要があると強調している。既に19年1月時点においてイタリア中央銀行が19年の成長率見通しを0.6%へ下方改定するなど景気が急速に悪化しており、EUとの合意内容の遵守については予断を許さない状況となっている。

EU加盟国は、「欧州セメスター」25において、財政の健全性確保やマクロ経済不均衡の是正等に向けた取組について3年間の財政計画である「安定化プログラム26」と雇用と成長を促進するための構造改革計画である「国家改革プログラム」を欧州委員会に提出することとされており、これらに対するEU首脳会議の勧告27に基づいて予算案を作成することとされている。しかし、18年末の19年度予算案の各国議会における採択に向けたプロセスを進める中で、幾つかの国28で6月のEU首脳会議において承認された予算の枠組みを超えて財政拡張的な予算編成を行う動きが生じている。秋季見通しの変更はこうした動きを反映している。特にイタリアでは、6月に新たに樹立された連立政権の下、拡張的な19年度予算案を欧州委員会に提出したため、欧州委員会との間で対立が生じている29。

11月13日に欧州委員会へイタリア政府が再提出した19年度予算案は、経済成長見通しや財政収支赤字をはじめ、鍵となる数字は一切変更されておらず、19年までにGDPの1%相当の国有資産を民営化することによる一時的な収入により公的債務を削減するとの見通しが示されたのみだった。

コンテ伊首相は、イタリア議会における19年度予算案採決に先立ち、12月13~14日に開催されたEU首脳会議において、19年の財政収支赤字対GDP比を2.04%、19年の実質経済成長率見通しを1.0%120に引き下げる案を提案し、19日になってEU加盟国及び欧州委員会と合意し(表5)、過剰財政赤字是正手続の開始は回避された。

コア消費者物価上昇率は2%前後で安定的に推移している(第2-4-48図)。これは、輸入物価や生産者投入価格といった川上の物価上昇率が、15年末以降の大幅なポンド減価の影響のはく落や18年10月以降の原油価格の下落を受け、低下していることに加え、サービス業を中心とした企業間の価格競争の激化により、川下への価格転嫁が困難となっていることが寄与している(第2-4-49図)。消費者物価上昇率(総合)は、17年11月に前年同期比3.1%とピークを打った後、徐々に低下し、19年1月にはBOEのインフレ目標(2%)を下回った(第2-4-48図)。こうした状況を踏まえ、19年2月、BOEは19年の消費者物価上昇率(総合)はおおむね2%をやや下回る水準で推移すると見通しを下方改定した。

国際機関による経済見通しは、公表元は異なるものの、各種指標の弱い動きを受けて時間を経るに従い大幅に下方改定されている(第2-4-58表)。このような改定の背景として、ユーロ圏、英国いずれについても、(1)英国のEU離脱問題等政治的不確実性の高まりや(2)通商問題をめぐる緊張の高まりや中国経済の減速等による外需の伸びの鈍化66、(3)景気減速に伴う企業及び消費者マインドの一層の悪化が挙げられており、これらの動向によっては景気が更に下振れするリスクがある。特に、英国のEU離脱がEUとの合意がないまま行われた場合には、英国のみならずユーロ圏も景気が大幅に悪化するおそれがある。

欧州セメスターに加え、欧州委員会はユーロ加盟国に対し、14年度予算より毎年10月15日までに予算案を提出することを求めている110。イタリアの場合はイタリア議会予算局111の意見を聴くこととされており、同予算局は10月9日、19年度の経済見通しが過度に楽観的であるとして、政府の19年予算案の承認を拒否した。しかし、イタリア議会予算局の意見には法的拘束力がないため、予算局の承認を得ることなくイタリア議会は同月11日に同計画を承認し、15日にはこれに基づいた予算案を承認した。同日、イタリア政府は欧州委員会に19年度予算案を提出した。

ユーロ圏の一般政府財政収支対GDP比は、09~13年平均の-4.7%から17年には-1.0%にまで縮小した。先行きについて、欧州委員会の春季見通し(18年5月)の段階では、景気の緩やかな回復や低金利等を背景に財政赤字は19年に向けて今後も徐々に縮小していくとされていた。しかしながら、同秋季見通し(18年11月)では、19年の財政赤字は一旦拡大し、20年に縮小に転ずると変更された24(第2-4-25表)。

EU加盟国は安定成長協定により、一般政府財政赤字と債務残高のGDP比を規定の範囲内に抑えることが求められており32、現時点では、スペインが過剰財政赤字是正手続の適用国として欧州委員会の監視対象となっている(第2-4-26図、第2-4-27図)33。イタリアについては、過剰財政赤字是正手続の適用を回避するために、イタリア政府と欧州委員会との間で調整が続けられた。最終的に12月下旬に財政赤字対GDP比を当初の2.4%から2.04%にまで削減することで合意され、瀬戸際で制裁の適用は回避された。しかしながら、18年7~9月期、10~12月期の実質経済成長率が2期連続マイナス成長となったことに加え、19年1月にはイタリア中央銀行が19年の実質経済成長率見通しを1%から0.6%に下方改定するなど、EUと合意した時点に比べ、景気の減速傾向がより鮮明となっている。このため、実際に19年の財政赤字がGDP比2.04%内という目標の達成に関し不確実性が高まっている。フランスも、反政権デモが19年2月19日時点で連続14週にわたり実施され、19年1~3月期も前期に続き消費や投資が下押しされるものと見込まれるため、財政赤字も18年12月時点の見込み以上に拡大するおそれがある。

こうした19年度予算案をめぐる政治的・政策的不確実性の高まりを機に拡大したイタリアの財政リスクプレミアムは19年2月時点でも縮小に至っていない(前掲第2-4-53図)。イタリア国債金利の上昇はまた、銀行の自己資本比率低下を通じて企業の資金調達環境の悪化を招き、18年7~9月期に実質経済成長率がマイナスに転じる主因ともなった。10~12月期も前期に続きマイナス成長となり、イタリアは景気後退入りしたとみられている。また、19年1月にはイタリア中央銀行が19年の実質経済成長率見通しを12月時点の1.0%から0.6%へと大幅に引き下げており、今後の景気動向と、イタリア政府のEUとの合意内容の遵守については予断を許さない状況となっている。

9月の金融政策委員会では、新興市場国通貨の下落や米中貿易摩擦の高まりによる景気の下押しリスクについて初めて具体的な言及がなされた。続く11月公表のインフレーションレポートでは、世界経済成長率の鈍化やユーロ圏経済の減速、景気の下方リスクの高まり等に言及する一方で、円滑なEU離脱となった場合には、不確実性が解消されることに伴う設備投資をはじめとした需要の回復により、インフレ圧力が高まることが見込まれるため、3年後の政策金利を従来見通しの1.25%から1.50%49に引き上げる必要があるとした。さらに、EU離脱の方向性によっては引締め・緩和のいずれもあり得ることに言及した。

イタリア政府から提出された予算案について、10月18日に欧州委員会のドムブロフスキス副委員長とモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)は連名で、EU首脳会議において7月13日に採択された勧告における目標から明らかに著しく逸脱し、かつ、その逸脱の規模が前例のない大きさであることから、加盟国の財政規律を定めた安定成長協定に基づく義務に「特に深刻な財政規律違反」であることを指摘する書簡をトリア経済財政相に対して手交した。書簡においては、勧告では財政支出の伸び率が0.1%を超えないようにすべき112、とされたのに対し、予算案では2.7%の上昇と勧告内容を大幅に超過していることに加え、構造的財政赤字を対GDP比で前年から0.6%削減すべきとされたのに対し、逆に0.8%増加させるなど、対GDP比130%を超える債務残高を安定成長協定で義務付けられた基準である60%に向けて削減する内容となっていないこと、を指摘している。さらに、経済見通しがイタリア議会予算局の承認を得られていないことも問題点の一つとして挙げた。その上でイタリア政府に対し、このような計画を策定した理由につき、10月22日正午までに説明を求めた。

EU諸国からの移民は、EU離脱交渉に係る不透明感の高まりに加え、ポンドの減価に伴い自国通貨建て受取賃金が従前に比べ割安となったことなどにより英国で働くメリットが低下し、減少傾向にある。EU諸国からの移民(注1)の純増数(流入数-流出数)は、15年7月からEU離脱を問う国民投票が行われた16年6月までの1年間の18.9万人をピークに減少が続き、17年7月から18年6月までの1年間では7万人程度となっている(図1)。仕事関連の目的を持ったEUから英国への移民の純増数動向をみると、求職を目的に来英したEU市民は16年6月を境として、また英国内で職を有しているEU市民についても18年初以降急減した(図2)。その結果、就業者の純増数に占めるEU域内からの移民は、15年7~9月期からEU離脱を問う国民投票があった16年4~6月期までの1年間では+29.2万人であったが、17年10~12月期から18年7~9月期までの1年間では-10.7万人となった。英財務省が18年11月に公表した、複数のEU離脱パターンを想定した経済見通しでは、いずれのパターンにおいても、EEA(欧州経済領域:EU、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン)からの移民の流入に制限をかけた場合には、移民政策が現行通りの場合と比較して、15年後のGDPが2%弱程度低下すると試算されている(注2)。

本節では、ヨーロッパ経済の最近の動向を振り返るとともに、英国のEU離脱が英国経済に与える影響やイタリアの19年度予算案をめぐる動き等、ヨーロッパ経済にとって重大な政策不確実性をもたらしている事象を取り上げて概観1した上で、今後の見通しとリスク要因を整理する。

18年12月の政策理事会以降発表された経済指標はECBの想定を超えて弱く、19年1月の政策理事会では初めて成長見通しに関するリスクが下方に向かっているとされた。具体的な下方リスクとして、地政学的要素のほか、保護主義の脅威、新興国市場のぜい弱性、金融市場の不安定性を挙げ、これらに係る不透明性が根強いことが理由とされた。他方、ユーロ圏が景気後退局面に入る可能性は低いとするとともに、物価の見通しも変更せず、購入した資産の償還元本の再投資や政策金利のフォワードガイダンスについても維持した。その上で、3月に新たに経済見通しを公表する際に、各種リスクが景況感に与える影響について時間をかけて分析し、3月の政策理事会において、新たな経済見通しの公表と併せて議論する方針を示した。

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