家電量販店業界はヤマダ電機が単独トップ
では今後はどうなるかというと、当方はこの傾向が継続すると見ている。そごう西武のように経営母体が脆弱な百貨店や経営母体がしっかりしていても不採算な店舗はどんどん閉店となり、それらが都心店の場合は家電量販店かファッションビルに変わるだろう。
そこでふと思い出したのが、今回世間を賑わせたヨドバシカメラによる西武池袋問題である。メディアは大々的に報道し、有象無象の識者からも様々な指摘があったが、現実的には百貨店が家電量販店に変わるということ自体はさして珍しい話ではない。20年前から頻発していた事柄である。
1970年代に入るとGMS が大店法の規制を受ける。売場面積1,500m2以上(政令指定都市は3,000m2)の店舗を出店できない中で、半径500 〜 600mを小商圏とするヨークセブン(現セブン-イレブン・ジャパン)が開店する。家電量販店などのカテゴリーキラーも現れるなど、量販店業界は「開花期」を迎える。
逆に言えば、この2点さえ除けば、大型家電量販店が百貨店跡地に出店するのは20年前から続いているありふれた事象でしかない。
このように歴史を振り返ってみると、都心百貨店が家電量販店へ変わってしまうということは決して珍しい事例でもなく、直近に限った傾向でもなく、20年前から続いているということが認識できるはずである。
今回過剰に注目されたのは、全国百貨店店舗売上高第3位の西武池袋店だったことがまず挙げられる。そして、これまでは閉店後の百貨店を家電量販店化したものばかりだったが、現在営業中の西武池袋店だったという点が異なるからだろう。他の家電量販店化した百貨店店舗とはこの2点が異なる。
国内の家電量販店市場は、既に成長が止まっている。家電出荷額は横ばいに推移しており、業界トップのヤマダホールディングス(HD)も、2010年度の2兆1532億円をピークに売上高が減少に転じ、2024年3月期の売上高は1兆5920億円となった。
家電量販店の国内の推定市場規模は約8兆円で、同社が中長期的な目標に掲 げる3兆円を達成するためには、一段の店舗増と収益性の向上に加え、事業の国 際化と多角化の戦略が不可欠。既に、海外事業では、中国でマーケティングを開 始し出店を模索しているほか、国内では新たに中古自動車の買い取り事業への進 出を表明している。
序では各量販小売業態の各論に入る前に、量販小売業を取り巻く環境変化や課題について確認しておく。 本稿ではコンビニ、GMS、ドラッグストア、ホームセンター、家電量販店の5 業態毎に、最近の需要変化への対応や次ステップへの「解」を探っていく。 各業態で再活性化や変革へのチャレンジが始まっているが、「規模」や「数」で乗り切れるほど、消費の変化は表層的ではない。 「製」と「配」のサポート、あるいは「製配販」の新たな機能分担も問われてきそうだ。 尚、本稿は(株)チャネルマネジメントによるものである。
家電量販店業界に詳しいコンサルティング会社フィックの得平司代表(東京 都北区)は新橋生活館について「売場の広さや品揃えは地域では一番だろう。1 階はサラリーマンを取り込むようなフロア構成にしている印象で、時計やブラン ド商品フロアも充実している。家電量販店との競争に加え、デパートとの競争に も発展しそうだ」との見方を示す。さらに得平氏は「地域の顧客をどこまで取り 込めるかに注目。ただ、初年度300億円の達成は固いと考える」と付け加えた。
家電量販店業界はヤマダ電機が単独トップ。シェアは推定で20%弱。上位5社までで50%を、上位10社までを含めると70%を超える。生き残るには年商5,000 億円以上が必要といわれる業界だが、クリアしているのは5社に過ぎない。ヤマダ電機の売上高は2位エディオンのほぼ倍。寡占と言うより、独占に近い状況になっている。
今回の西武池袋店にヨドバシカメラが出店することへの反対意見の中に「もうすでに池袋にはビックカメラ、ヤマダ電機があるからこれ以上家電量販店は要らない」というものがあったが、ここで出てくるヤマダ電機池袋店は元々は三越池袋店で、閉店後にヤマダ電機が出店しただけのことである。
ちなみに、本稿で触れたヤマダのLABI1 LIFE SELECT 池袋は、旧三越池袋店の跡地に位置する。ヨドバシ、ビックも旧百貨店跡地への出店を進めてきたことを考えると、都市部でいえば、まさに家電量販店のデパート化が進んでいる。この流れは地方まで波及するか、注視したい。
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