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28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は一時155.05円付近まで下押しする場面もあったが、アジア時間に付けた日通し安値154.49円がサポートとして意識されると155.76円付近まで持ち直した。前日に急落した米ナスダック指数が反発すると、投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ円売り・ドル買いを誘った面もあった。もっとも、明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を前に様子見ムードも強く、155円台半ばで値動きが鈍った。ユーロドルはNY市場に限れば1.04ドル台前半の狭いレンジでのもみ合いに終始。欧米の金融イベントを控える中、様子見ムードが強く大きな方向感は出なかった。
本日は、NY時間の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を前に、今週から神経質な動きとなっている株や米長期金利をながめながらの展開となるか。
昨日の欧米市場では株価が上昇しており、週初からの中国の新興企業ディープシーク(DeepSeek)の競争力に対する懸念を背景とする株安によるリスク回避の動きが一服している。本日も引き続き株式市場の動きに注目したい。株式市場が徐々に落ち着きを取り戻すようならば、市場の関心はFOMCに移ることが予想され、ドル円相場に様子見ムードが漂う展開も想定される。
また、昨日はレビット米ホワイトハウス報道官が「カナダとメキシコへの関税発動の2月1日の期限は変更しない」と発言している。昨日の米長期金利はFOMC前ということで様子見ムードが漂い小動きとなったが、米大統領の政策内容次第で神経質な展開は続くことが予想される。それを受けて米長期金利が動きを見せるようならば、ドル円相場にも影響を及ぼしそうだ。
ただ、本日は通貨の受け渡しが月末日となるスポット末日ということもあり、仲値公示などのタイミングでは通常以上に神経質な動きとなる恐れがある点には注意したい。そのほか、日銀・金融政策決定会合議事要旨(昨年12月18・19日分)も公表予定となっている。
他方、オーストラリアでは10-12月期と12月の消費者物価指数(CPI)が発表予定。豪中銀は四半期CPIのコアインフレ率(トリム平均値)に注目しており、市場予想は前年比+3.3%と前回の+3.5%より小幅低下の見通し。RBAのインフレ目標(2-3%)に一段と近づく場合は来月18日のRBA理事会での利下げも意識されるだけに注意が必要だろう。
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
市場概況 東京為替見通しドル円 FOMC前に株
市場関係者の間では政策金利の据え置きが確実視されている。
日銀が追加の利上げを決定し政策金利が17年ぶりに0.5%へ引き上げられても、24日の外為市場は円安優勢の展開となった。パウエルFRB議長が追加の利下げについて慎重な姿勢を示す可能性があることも考えるならば、今週はドル円の上振れを警戒したい。特にパウエル会見時ではその可能性を意識したい。
1月13日の米債券市場で長期金利は一時、4.80%と23年11月以来の高水準を付けた。24年12月の米雇用統計が総じて市場予想を上回る内容となり、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ停止の観測が広がった。
米連邦準備理事会(FRB)は1月8日、2024年12月17~18日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。同会合で0.25%の追加利下げを決めたものの、議事要旨では参加者が金融緩和のペースを「鈍化するのが適切な水準またはそれに近い」とみていた。次期米政権の関税や移民政策などの影響を考慮して「ほぼすべての参加者がインフレ見通しの上振れリスクは増した」と判断していた。
前回24年12月のFOMCで、FRBは0.25%の利下げを決めた。25年の政策金利見通しで見込む利下げ回数は、それまでの4回から2回に半減した。
アメリカのFRB=連邦準備制度理事会は金融政策を決める会合を開き、18日、0.5%の利下げを決定したと発表しました。利下げ幅は通常の2倍で労働市場が一段と減速するリスクを踏まえ、大幅な利下げに踏み切りました。利下げは4年半ぶりで、FRBの金融政策は大きな転換点を迎えました。
FRBは18日までの2日間、金融政策を決める会合を開き政策金利を0.5%引き下げることを決めました。これによって、政策金利は、4.75%から5%の幅になります。利下げは2020年3月、新型コロナの感染拡大で株価の急落などに対応するため臨時の会合で利下げを決めたとき以来、4年半ぶりです。記録的なインフレを抑えこむため異例の利上げを続け、その後も高金利を維持してきたFRBの金融政策は大きな転換点を迎えました。会合後の記者会見でFRBのパウエル議長は「私たちの過去1年間の忍耐強いアプローチが実を結び、インフレ率が持続的に2%に向かっているという自信を強めている」と述べました。また今回、大幅な利下げに踏み切った理由についてパウエル議長は、雇用の伸びが鈍化するなど労働市場の減速を踏まえたものだという考えを示したうえで「おくれをとらないというわれわれの決意の表れだと思う。これは大きな行動だ」と述べました。今回の会合では、会合の参加者19人による政策金利の見通しも示されました。それによりますと、ことし・2024年末時点の金利水準の中央値は4.4%で前回6月の想定より0.7ポイント引き下げられました。年内残り2回の会合であわせて0.5%の利下げが行われる想定となっています。1回の利下げ幅を通常の0.25%とすると、年内にあと2回の利下げが行われる予測です。経済を悪化させずに今後、2%の物価目標を実現できるかが課題となります。
筆者が米FOMCに注目する理由は、日米利回り格差の動向にある。昨年12月中旬以降、日米利回り格差の拡大傾向は一服している。しかし、縮小トレンドへ転じることもなく膠着状態にある。
ただ、こうした動きが落ち着きを見せるようならば、本日から明日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に積極的な売買が手控えられる展開もあり得る。
FOMCはアメリカ東部時間の1月28~29日に開催される。結果発表は29日午後2時(日本時間30日午前4時)で、その後、パウエル議長の会見が予定されている。
インフレを抑え込むため、FRBが利上げを開始したのはおととし3月。それまでのゼロ金利政策を解除して金融引き締めへと転換します。しかし、その後もインフレに収束の兆しは見えず、おととし6月の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べ9.1%の上昇と、およそ40年ぶりの記録的な水準となりました。このためFRBは、おととし6月から11月の会合まで4会合連続で0.75%という大幅利上げに踏み切りました。通常、1回の会合で決める利上げ幅は0.25%。その3倍の利上げ幅を4会合連続で決定したことは極めて異例のことでした。こうした急速な利上げの影響を受けて去年3月から5月にかけては3つの銀行が経営破綻しました。それでもFRBはインフレ抑制を優先にする姿勢を示し、去年3月と5月にそれぞれ0.25%の利上げを決定しました。続く6月の会合ではそれまでの金融政策の影響を評価するためなどとしておととし3月以降、初めて利上げを見送りましたが、去年7月の会合では、インフレの要因である人手不足が続いていることなどから0.25%の利上げを決定。利上げの回数はおととし3月以降、あわせて11回に及びました。政策金利は5.25%から5.5%の幅と、2001年以来の高い水準となりました。去年9月以降の会合では、物価の上昇が落ち着き、インフレの要因となっていた人手不足に改善の兆しが見られたことなどからFRBがいつ利下げに踏み切るかが焦点となりました。ことし1月から3月にかけてインフレの根強さや経済の堅調さを裏付ける経済指標が相次いだだため高い金利水準を維持してきました。その後はインフレ率の低下傾向が続きます。4月以降、消費者物価指数の上昇率は5か月連続で前の月を下回り、先月は2021年2月以来、3年半ぶりの低い水準となりました。パウエル議長は7月の会合後の記者会見で「利下げは早ければ9月の会合で決定される可能性がある」と述べたほか、先月23日に西部ジャクソンホールで開かれたシンポジウムでの講演では「金融政策を調整する時が来た」と発言しました。このため市場ではFRBが今回、9月の会合で利下げに踏み切ることがほぼ確実視されていました。
ニューヨーク外国為替市場では、FRBの金融政策が発表される前、円相場は1ドル=142円前後でしたが、発表後は大幅な利下げによって日米の金利差が縮小するという見方からドルを売って円を買う動きが進み、一時、1ドル=140円台半ばまで値上がりしました。ただ、パウエル議長の記者会見での発言が今後の大幅な利下げに慎重な姿勢を示したと受け止められ、一転してドル買いが進み、一時、1ドル=142円台後半をつけるなど、荒い値動きとなっています。市場関係者は「パウエル議長が景気について強気な姿勢を見せたことに加え、今回の利下げが今後の標準になるとは考えていないという認識を示したことでFRBが大幅な利下げを続けるという観測が後退した」と話しています。また、ニューヨーク株式市場では、金融政策の発表後、大幅な利下げによって景気が下支えされるという期待感からダウ平均株価は一時、370ドルを超える値上がりとなり、取り引き時間中の最高値を更新しました。しかしその後は売り注文が出る展開となり、ダウ平均株価の終値は前日と比べて103ドル8セント安い4万1503ドル10セントでした。
ベージュブックとは、米国の連邦準備銀行がまとめた地域の経済状況を報告する文章のこと。FOMC開催の2週間前の水曜日に公表され、FOMCの討議資料となる。
【世界各国の金融政策・市場動向(2020年6月)-欧州で追加緩和、株はFOMC前後で乱高下】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
Federal Open Market Committeeの略称で和訳は米国連邦公開市場委員会。米国の中央銀行ともいうべき米連邦準備理事会(FRB)が開く会合で、米国の金融政策やフェデラルファンド(FF)レートの誘導目標を決定する最高意思決定機関だ。 メンバーはFRBの理事や地区ごとの連邦準備銀行総裁で構成される。声明文はFOMCの最終日に、議事要旨は政策決定日(FOMC開催最終日)の3週間後に公表される。米国の金融政策は日本を含む世界の金融市場や経済動向にも影響するため、市場関係者の関心が非常に高い。
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