2月の電気料金 大手8社が値上がり

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2月の電気料金 大手8社が値上がり
[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – 経済 2月の電気料金 大手8社が値上がり

2月の電気料金 大手8社が値上がり

上述した通り、2016年にわが国は電力小売りの全面自由化に踏み切った。それにもかかわらず、なぜ今も大手電力会社は電気料金の値上げを政府に申請し、政府は査定を行って規制料金を認可するという作業が行われているのだろうか。自由化された市場では、自社の製品・サービスをいくらで売るかは企業の経営判断であるはずだ。 実はわが国では、電力自由化後の「経過措置」として規制料金での供給義務を大手電力会社に残置している。これは、圧倒的な市場支配力を持つ大手電力会社による「規制無き独占」となることを防ぐための一時的な措置である。自由化した上で規制料金を維持することは競争を歪めるとして、わが国よりも先に電力自由化を進めた米国テキサス州や欧州諸国では、規制料金の撤廃が進められている5)。 わが国でも当初の予定では、規制料金の残置は2020年3月までとされており、2018年秋から19年春にかけて行われた「電気の経過措置に関する専門会合」に委員として参加した筆者は、経過措置は解除が原則であることなどを主張したが、解除は時期尚早であるとの結論に至った。 こうした経緯によって、大手電力会社は、自由料金メニューも提供することができるが、規制料金メニューを提供する義務を今も負っている。図1において、本年6月、即ち規制料金の値上げが認可されるまで、自由料金が規制料金を上回る状況が続いていたことが示されているが、このような状況になれば、自由料金のみを提供する新電力と呼ばれる新規参入事業者に乗り換える消費者はほとんどいなくなる。多くの新電力が、規制料金の値上げ幅を大きくするよう求めていたのはこうした理由による。今の制度の下では、消費者が新電力を選択して一時的に安価な電力価格を享受したとしても、燃料・市場価格が上昇したらリスクなしで規制料金に戻ることができる。無償のコールオプションが与えられているわけだが、これは制度としてはあまりにいびつだと言わざるを得ない。しかし自由料金メニューで契約していた消費者が、電気料金の高騰にあえぐ事態も報道され、経過措置として残された規制料金メニューを廃止することはもはや当面困難であろう。 日本は市場に任せるのか規制するのか、極めて中途半端な状態に陥っている。国民生活・経済に死活的な影響を与える電気料金が上昇すれば何らかの対策を打たねばならないと政治が考えるのは、当然と言えば当然だが、なにを競争原理に委ね、どこからは政府が関与するのか、制度設計の根本から考える必要がある。

大手電力10社は27日、2024年2月請求分(同1月使用分)の電気代を発表した。液化天然ガス(LNG)や原油など発電燃料の価格上昇を反映し、関西電力以外の9社で値上がりとなる。平均的な使用量に基づくと、24年1月請求分より5〜49円高くなる。

大手ガス4社も27日、原料価格に基づく24年2月請求分のガス代を発表した。液化石油ガス(LPG)やLNG価格の上昇に伴い、38〜51円値上げする。

では値上げが認められた2023年6月より前に電気料金が上がっていたのはなぜなのか。それは燃料費調整単価の値上がりに拠るところが大きい。燃料費調整単価とは、いわば飛行機のサーチャージのようなものだ。原油やLNGなどの平均燃料価格を元に毎月算出される。 規制される料金単価の変更は前述した通り、国の認可が必要とされ、手続きに時間がかかる。料金単価の認可を受ける際には、電源構成(電源構成によって必要とする化石燃料の「量」が想定される)、燃料単価や為替について、その時点での見通しに基づいて原価を算定し料金申請を行うが、燃料価格や為替の変動は激しく、また予想が難しい。 日本の電源構成は、石炭・LNG・石油・その他火力で7割以上を占める。日本の電気料金を最も大きく左右するのは燃料費であり、そうした化石燃料のほとんどを輸入に頼るわが国では、国際市場での化石燃料価格や為替の変動の影響を大きく受ける。輸入燃料コストが下がったときにはそのメリットを迅速に消費者に還元し、上がったときには発電事業者が赤字になって経営が不安定化しないように、1996年に導入されたのが「燃料費調整制度」である。 その化石燃料価格が、コロナ後の経済復興によるエネルギー需要の増加、ロシアのウクライナ侵攻などの国際情勢、急激な円安などにより急騰したのである。 しかし燃料価格の変動を全てこの調整制度で転嫁できるわけではない。実は経過措置規制料金では燃料費調整単価には上限が設定されている。図1で2022年9月から年内いっぱいまで規制料金はずっと横ばいであるが、それは燃料費調整単価が上限に達してしまい、それ以上の値上げができなかったことによる。この間、化石燃料価格の高騰と円安により、大手電力会社にとっては燃料費を十分回収できず、『売れば売るほど赤字』という不健全な状態が続いていた。これは、自由化後に新規参入した新電力からみれば、大手電力会社が不当廉売を行っているような状況であり、歪んだ競争環境になっていた。原価回収は健全な企業経営の最初の一歩だが、大手電力と新電力の双方にとって、それができない状態に陥っていたのだ。大手電力会社の経営に対するインパクトは後で整理するが、電力会社の財務体質が悪化すれば、彼らの資金調達コストが上昇し、結果として電気料金を引き上げることになる。 さて、もう一つの電気料金の要素が、再生可能エネルギー賦課金である。これは2012年に導入された「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(通称FIT法)によって定められているもので、太陽光や風力、地熱、小水力などの再生可能エネルギー発電に取り組む事業者を支援するコストだ。電気料金と併せて徴収されるので、大手電力会社に支払っていると思われがちだが、大手電力会社の料金徴収のシステムを政府が利用しているに過ぎない。この賦課金が年々上昇を続けていることはこれまでにも本誌の連載で複数回指摘している通りであり、その総額は年間2.7兆円程度にもなる。

大手電力10社は30日、3月請求分(2月使用分)の家庭向け電気代を発表した。政府による補助が続いているものの、発電に使う液化天然ガス(LNG)や石炭の価格上昇で、東京電力ホールディングス(HD)や中部電力など8社が値上げとなる。九州電力は離島の電気代を維持するための制度が影響して前月からわずかに下がる。関西電力は同額となる。

さて、料金は大きく3つの要素で構成されている。基本料金は契約容量、すなわちどれだけの電気を一度に使うことができるかによって異なり(図4)、この金額は毎月変動することは無い。 続いて、電気料金の本体である電力量料金について説明する。しかし本体と言っても大きく2つに分かれる。電力量料金単価と燃料費調整単価だ。電力量料金単価は国が認可するもので、値下げであれば届出だけで良いが、値上げとなると電力・ガス取引監視等委員会による審査や公聴会等での説明を求められ、当初申請した値上げ幅よりも圧縮される。2023年6月1日以降の使用分から、大手電力会社7社の値上げが認められたが、実は北陸電力などは昭和55年4月以来、43年ぶりの値上げであった。

そして、そもそもわが国の電力価格を大きく左右するのが燃料費なのであれば、電力価格を低下させるには、発電事業者の燃料調達の交渉力を向上させることが必要である。わが国は電力自由化により、発電分野に多数のプレーヤーの参入を促し、大手電力会社の市場支配力を払拭することを目指してきたが、資源国との交渉力を確保するには、大規模化と長期的な調達量の見通しを確保することが重要である。わが国の電力供給の安定性確保に向けても、燃料調達力の向上は極めて重要であり、そうした配慮がこれまでの電力自由化の議論において十分配慮されてこなかったことが、筆者が電力自由化の大幅な見直しが必要であると主張する一因である4)。

申請の理由に、円安や燃料費の高騰などによる経営悪化、赤字があげられていますが、それは政府と大手電力会社が原発に固執し、燃料費の動向に左右されず安全な再生可能エネルギー資源の活用を怠ってきた結果といえます。しかも今回の申請にあたって各社が原発再稼働を前提としていることは大問題です。岸田政権が選挙公約を投げ捨てて原発回帰したことと一体の動きです。コストや可能性をみても、岸田首相の「再エネ適地が少ない」との驚くべき「丁寧な説明」に反し、政府自身、「再エネは原発よりコストが安い」(経済産業省)「日本の再エネ潜在量は電力需要の7倍」(環境省)としています。

しかし一旦始めた補助を打ち切る政治的ハードルは高い。令和4年度の補正予算として3兆1,074億円が措置され、本年9月使用分(10月請求分)までこの激変緩和措置による補助が行われることとなっていたが、12月まで延長されることとなった。

2024年5月は、大手電力会社10社すべてで電気代が値上がりする予定です。これは、政府がおこなっている激変緩和措置が終了する見込みであるためです。

政府は暖房の使用が増える2月請求分から3カ月間電気・ガス代を支援しており、2〜3月分は1キロワット時あたり2.5円安くなる。4月分は支援額が同1.3円に減り、300円ほどの値上げ要因となる。

電気代の高騰が始まった2022年2月から2023年1月にかけて「従量電灯」「低圧電力」「高圧電力」「特別高圧電力」で実際にどのくらい電気代が値上げしているのかをまとめてみました。

大手ガス4社も同日、原料価格に基づく3月検針分のガス代を発表した。LNG価格の上昇で全社が値上げとなり、平均的な使用量で33~43円高くなる。

燃料費調整単価や再エネ発電賦課金などによる電気料金負担の増加は、本来であれば「値上がり」と表現すべきものだが、電気料金については「値上げ」と表記され消費者の誤解を生むことが多い。 特に、2023年9月をもって政府の激変緩和措置が縮小されることを受けて、大手電力会社が「値上げする」と報じられたことには、違和感を禁じ得ない。例えば共同通信は、8月17日配信のニュースで「大手電力10社全てが(中略)値上げする見通し」と、電力については「値上げ」という表現を使いながら、同じ記事中でガスについては「大手都市ガス4社のガス料金も全て値上がりする」と書き分けている2)。同日の産経新聞は「関電、10月電気料金値上げ17%高く」との見出しで同じニュースを報じている3)。 政府の補助により抑制されていた電気料金が、補助の縮小によって上昇することを「値上げ」と表現するのは日本語として不適切であり、メディアがこうしたささやかな不正確さによって、消費者が正確に問題を把握することを阻害しているのは極めて憂慮すべきことである。 値上げすれば当然ではあるが、大手電力会社への風当たりは強くなる。2023年6月1日使用分からの電気料金値上げが認可された直後、電力大手8社の2024年3月期の連結最終損益見通しは、計9,405億円の黒字となる見通しであるとして、多くのメディアがこれを報じ、SNS上には、極めて強い言葉で大手電力会社を非難する書き込みが溢れた。値上げによって消費者の生活が苦しくなるなかで、大手電力会社が大儲けしているとなれば批判されるのも当然だ。しかし、これには大きな見落としがある。 2022年の燃料価格高騰が、燃料費調整制度で認められている金額の上限を突破していたため、大手電力会社は規制料金では原価回収ができない状態に陥っていたことはすでに述べた。2022年は中部電力を除くすべての大手電力会社が赤字に陥っており、東北・北陸・中国・四国の4社は21年、22年と2年連続の赤字であった。 2022年度通期(連結)の大手電力会社の赤字は合計で8,785億円にも上る。 燃料費調整制度による収入と支出は、それぞれ発生のタイミングが異なり、3カ月間のタイムラグがある。そのため、長い目で見れば、収入と支出は一致する。しかし、規制料金に設定された上限によって、支出が収入を上回った分は電力会社がその損失を被っている。 自己資本比率が10%程度に落ち込んでいる大手電力会社も4社ほどあり、再び燃料価格が高騰し、燃料費調整制度の上限を上回る事態になれば、持ちこたえられない会社も出るだろう。世間では、給食会社の倒産による影響に関心が集まっているが、適切な原価回収ができなければ倒産するのは、どのような業態であっても同じだ。その時に社会にどのようなインパクトがあるかを考えなければならない。なお、中部電力が2022年に1社だけ赤字に陥っていないのは、同社が前回規制料金を値上げしたタイミングが他社より遅く、その時にはだいぶ燃料費が上昇していたため、今回の高騰でも燃料費調整単価の上限に達した時期が極めて少なかったことが大きな一因である。 こうした構図はほとんど報道されることは無いし、大手電力各社も政府も消費者にわかりやすく説明できているとも言い難い。さらに、電力会社の不祥事もあって不信感が高まっている。関係者、メディアには消費者に正確な理解を促すよう、努力を求めたい。電力政策に関する国民的議論は正確な現状把握があって初めて成り立つものだと筆者は考えている。本稿がその一助となれば幸いである。

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