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30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は153.79円と日通し安値を付けたが、米10年債利回りが4.53%台まで低下幅を縮めると154.50円付近まで下げ渋った。その後154.00円まで下押ししたものの、トランプ米大統領が「2月1日にカナダとメキシコに25%の関税賦課」と改めて表明したことで154.46円付近まで強含んだ。ユーロドルはラガルド欧州中銀(ECB)総裁が理事会後の会見で「インフレ目標への持続的な回帰に向けた指標が進展」などと述べたことなどから1.0467ドルまで上昇して日通し高値を更新するも、同総裁が利下げ継続を示唆するとユーロ買いの勢いは弱まった。トランプ米大統領の関税に関する発言を受けて米インフレ再加速への懸念が高まりドル買いが活発化すると、1.0386ドルと日通し安値を更新した。
本日は本邦で多数の経済指標の発表を控えているが、その中で最も注目が集まりそうなのが、全国消費者物価指数(CPI)の先行指標とされる、1月東京都区部CPIだろう。市場予想はコアが前年比+2.5%と12月の+2.4%よりわずかに伸びが加速する見通し。予想よりも伸びが加速する結果となれば、日銀の早期利上げ期待が浮上して円が買われる展開もあり得る。結果と共に、本邦株式市場や長期金利の反応にも注目したい。
午後には植田日銀総裁が衆院予算委員会に出席し、立憲民主党の階猛委員の質問に答える予定となっている。自身のX(旧ツイッター)によると、円安物価高対策などについて質疑をするとのことである。昨日の氷見野副総裁の講演内容は想定されたほどタカ派的ではなかったことからドル円を押し上げる場面も見られた。答弁次第では相場に影響を与えることも考えられる。
また、本日は月末日につき、仲値公示やロンドンフィキシング(日本時間25時)などのタイミングでの実需主導の動きには注意が必要だろう。
そのほか、米大統領が発言している「2月1日にカナダとメキシコに25%の関税賦課」の期限が迫る中、引き続き関連報道には目を配らせておきたい。
他方、オーストラリアでは10-12月期四半期卸売物価指数(PPI)も発表予定。前回7-9月期は前期比+1.0%、前年比+3.9%であった。29日に発表された10-12月期消費者物価指数(CPI)の前年比が予想や前回を下回る伸びに留まっただけに、こちらの結果も気になるところである。
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
市場概況 東京為替見通し東京都区部CPIに注目 月末要因には注意
FRBが前回の保有資産の削減を行っていた19年9月には、実効フェデラル・ファンド金利(EFFR)が一時的にFOMCの目標レンジの上限を超え、担保付翌日物調達金利(SOFR)76は5%超まで急上昇するなど、短期金融市場に緊張が走った(第2-1-53図)。この背景については、法人税納税期限や入札国債の受渡日が重なったことによる銀行システム内の資金の減少といった一時的要因に加え、17年10月以降FRBが進めてきた保有資産の削減に伴う準備預金残高の減少も背景となったと指摘されている77。この事態を受け、FRBは保有資産の縮小を予定よりも前倒しで終了した。
アメリカ経済の高成長が続く理由としては、(1)物価上昇を上回る名目賃金上昇の継続、(2)超過貯蓄の取崩し、(3)半導体法等の財政政策による設備投資の押上げ、(4)移民流入の上振れによる潜在成長率の上昇が要因として考えられるところ、本項においてはこれらの要因について確認する。また、中長期的には需給はひっ迫しているものの、このところ弱い動きがみられる住宅市場の動向や、米中貿易摩擦の影響がみられる財貿易の動向についても確認する。
失業率は、23年後半以降は1970年代のオイルショック以降の最低水準である3%台後半で推移していたが、24年5月には22年1月以来の4.0%台となり、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)の四半期経済見通し(Summary of Economic Projection)における失業率の長期見通し64である4.2%に近付いている65。求人倍率(失業者1人当たりの求人数)は、24年5月時点で1.24となり、感染症拡大前の20年2月の1.22とおおむね同水準まで低下しているが、15~19年平均である0.93は依然として上回っている(第2-1-34図)。
本節では、主に2024年前半のアメリカ経済を概観するとともに、景気拡大が継続している背景や住宅市場が抱える構造的な問題を中心に分析する。
15日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。終値は156.47円と前営業日NY終値(157.96円)と比べて1円49銭程度のドル安水準だった。米労働省が発表した12月米消費者物価指数(CPI)は前年比2.9%上昇と市場予想通りの結果となったものの、エネルギーと食品を除くコア指数は前年比3.2%上昇と予想の3.3%上昇を下回った。市場では「米インフレ再加速への懸念がいったん後退した」との受け止めから、米長期金利が大幅に低下。全般ドル売りが優勢となり、一時155.95円と昨年12月19日以来の安値を付けた。米10年債利回りは指標発表前の4.76%台から4.63%台まで急低下した。ただ、売りが一巡すると下げ渋った。対欧州通貨中心にドルの買い戻しが進んだ流れに沿って、1時30分過ぎには156.74円付近まで下値を切り上げた。
16日01:26 バーキン米リッチモンド連銀総裁 「インフレ率は目標の2%に向かって低下している」 「物価上昇圧力は引き続き緩和」 「雇用市場は安定しているようだ」
生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は前年同月比2.5%上昇と市場予想と一致する結果となりました。ヘッドラインと比較して、足元のインフレは生鮮食品による押し上げが顕著であることがわかります。生鮮食品とエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は前月から変わらず横ばいで、変動の大きい品目を除けば、ある程度インフレは落ち着いた様子もうかがえます。
2025年1月の東京都区部消費者物価指数は、ヘッドラインの総合指数が前年同月比3.4%上昇し、市場予想の同3.0%を上回る伸びとなりました。前月からも伸びが加速し、グラフからは再びインフレ圧力が高まっている様子がうかがえます。
一方で、住宅市場における中長期的な課題として、住宅不足に近年注目が集まっており、Khater et al. (2021)では21年時点で380万軒、Zandi (2022)では22年時点で約150万軒の住宅が不足していると指摘されている。これらの推計はいずれも空室率の実績と、住宅市場が機能するための理想的な空室率を比較して推計されたものだが、実際の空室率をみると、賃貸物件では2022年以降は小幅に反発こそしているものの、持ち家物件とともに、過去20年間で最低水準にあることが分かる(第2-1-20図)。すなわち、住宅需給はひっ迫している状況にあると言える。
円買い意欲が強いのは、来週に予定されている日銀金融政策決定会合での利上げ観測が高まっていることが主要因。12月の日銀会合後に発表された本邦の経済指標は、会合翌日の20日に発表された11月全国CPIコアが前年比で予想を僅かに上回り2.7%(予想2.6%)となったが、27日発表の12月東京都区部CPIは前年比で予想より下回り2.4%(予想2.5%)だった。今月9日発表の11月賃金指数は4カ月連続でマイナスになるなど、インフレの高進が確認されたわけではない。
ここ数ヶ月の物価動向は、食品類による押し上げが顕著な中で、日銀は先の金融政策決定会合にて物価見通しを引き上げました。市場予想の平均値も日銀ほどではないですが、見通しの後半(2025年、2026年)にかけて上方修正されています。
以上みてきたように、FRBによる今回の保有資産削減においては、前回の例などを参考にしつつ、短期金融市場の動向を注視しながら、削減ペースを管理していくことになると考えられる。
2023年3月のアメリカ地方中小銀行の経営破綻以降、商業用不動産83の動向が一段と注目されるようになった84。商業用不動産のうちオフィスローンを含む非農業・非住宅向け貸出残高をみると、大手行はおおむね横ばいで推移している一方、中小銀行は積み増しが進んでいる(図1)。融資総額に占める割合をみても、2024年5月末時点で3割程度と大きい85(図2)。このように、中小銀行が商業用不動産市場の動向に対して相対的に脆弱な環境の下で、2024年1月末にはニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)の決算発表86を受けて中小銀行をめぐる懸念が高まり、6月初旬には大手格付け会社による中小銀行6行の格下げに関する報道が伝わるなど、アメリカの中小銀行の経営をめぐる懸念は依然として払拭されていない。こうした問題意識に基づき、本コラムでは、商業用不動産市場の最近の動向を整理する。
市場では次の利上げ時期を考える局面にあり、現在のOIS市場からは次回の利上げは10月での実施が織り込まれています。物価動向について言えば、現状のようにある程度高位で推移していく場合も、後半にかけて落ち着くといった見方が優勢であり、その意味では「オントラック」と評価されるでしょう。オントラックである場合の利上げ実施時期は予想し難い部分があるものの、市場とのコミュニケーションに注意を払う様子がうかがえ、その中でヒントを探っていく期間が続くと考えられます。
こうした背景の下、地方銀行株指数は2023年3月に急落して以降、総じて横ばい圏内となっており、商業用不動産等に対する市場の懸念は引き続き根強く残っている状況にあると考えられる(図6)。
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