執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
週末にトランプ米大統領がコロンビア製品に対して緊急の関税賦課を指示したことでリスクオフの円買いとなり、今週の豪ドル/円は98.08円前後で、ニュージーランド（NZ）ドル/円は88.68円前後とともに前週末終値からギャップダウンして週初を迎えました。その後、中国の新興企業DeepSeekが開発した低コストの人工知能（AI）が米ハイテク企業の優位性を揺るがす可能性が意識され、米株価指数が大幅に下落。リスクセンチメントに敏感な豪ドルやNZドルは株価の下落につれて下値を拡大しました。また、29日に発表された豪10-12月期消費者物価指数（CPI）は市場予想を下回る結果となり豪ドルを押し下げる一因となりました。関税への懸念や月末要因と思われる円買いなどにより、豪ドル/円は一時95.61円前後、NZドル/円は86.65円前後まで下落し、ともに年初来安値を更新する場面も見られました（執筆時）。
RBAの2月利下げ織り込みが上昇！
1月29日に発表された豪消費者物価指数の結果は以下の通りです。
【豪州 10-12月期、12月CPIの結果】
RBAが重視する四半期CPIは、総合、トリム平均ともに前回や予想を下回る結果となりました。特にトリム平均は2021年10-12月期以来の水準まで低下しています。昨年11月にRBAが公表した金融政策報告内での2024年末時点のインフレ予想は総合が前年比+2.6%、トリム平均が+3.4%でしたので、RBAの予想を下回っています。この結果を受けて金利先物市場は2月18日のRBA理事会での利下げを90%超まで織り込みが進んでいます。
来週は3日（月）に豪12月小売売上高が発表されます。市場予想は前月比-0.8%。前月（11月）にブラックフライデーのセールイベントがあり消費が増加していた影響から、弱い結果が予想されています。過去10年の結果を見ても、12月は11月よりも売上高が減少するといったことが9回もあったことから、季節性もあるようです。仮に前月比プラスとなった場合は大きなサプライズになるかと思います。ただし、豪ドル相場への影響は一時的なものになるでしょう。
トランプ関税は発動するのか？
トランプ米大統領は31日に「カナダとメキシコに対して25%の関税を2月1日から賦課する方針」と語っています。また、中国に対しても「関税導入を進めている」と話しています。カナダとメキシコに対する関税が実際に課されるのか、そして関税の率はどうなるのか、見極める必要があります。場合によっては、週明けから為替相場が荒れていることも考えられますので、十分注意しましょう。また、豪ドルは中国と交易関係が強いことから、中国への関税に関する新たな情報にも引き続き注意が必要です。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は昨年11月末から、95円台半ば～99円前後でのレンジ相場になっています。目先の下値目途は昨年12月5日安値の95.52円前後となりそうです。この水準を下抜けた場合は、心理的節目となる95.00円や昨年9月11日安値の93.60円前後が次の目途となりそうです。一方上値は、日足一目均衡表の転換線や基準線、雲下限が意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ：AUD/JPY：93.50-99.00、NZD/JPY：85.00-89.00
2/3週のイベント:
02/03 (月) 09:30 豪 12月住宅建設許可件数
02/03 (月) 09:30 豪 12月小売売上高
02/03 (月) 10:45 中国 1月財新製造業購買担当者景気指数（PMI）
02/04 (火) 06:45 NZ 12月住宅建設許可件数
02/05 (水) 06:45 NZ 10-12月期四半期失業率
02/05 (水) 06:45 NZ 10-12月期四半期就業者数増減
02/05 (水) 10:45 中国 1月財新サービス部門購買担当者景気指数（PMI）
02/06 (木) 09:30 豪 12月貿易収支
中国 春節（1/28～2/4）
一言コメント：
2025年に入り、Jリーグやプロ野球の開幕が徐々に近付いてきました。今年は何試合観に行けるでしょうか。テレビ（ネット放送）で観るのも良いですが、スタジアム観戦は周りの雰囲気も味わえるので大好きです。
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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来週の為替予想 豪ドル 円
2027年11月の豪ドル円見通し。当月始値 111.00、最低 110.04、当月最高 113.40。平均 111.54。月末 111.72。変更 0.6%。
2026年10月の豪ドル円予想。当月始値 100.80、最低 100.80、当月最高 105.38。平均 102.70。月末 103.82。変更 3.0%。
2028年11月の豪ドル円見通し。当月始値 113.28、最低 111.96、当月最高 115.36。平均 113.57。月末 113.66。変更 0.3%。
2029年2月の豪ドル円予想。当月始値 119.55、最低 118.52、当月最高 122.12。平均 120.13。月末 120.32。変更 0.6%。
2027年11月の豪ドル円見通し。当月始値 105.38、最低 102.98、当月最高 106.12。平均 104.76。月末 104.55。変更 -0.8%。
トランプ氏の景気刺激的な政策はドル高要因と考えられますが、過度にドル高・円安が進めば、本邦当局による為替介入の可能性が高まるため、160円を超えるドル高・円安の進行は見込み難いように思われます。なお、前回のトランプ政権ではドル安・円高が進み（図表2）、特に米中の関税引き上げ合戦は、FRBの利下げ（不確実性の高まりによる景気への配慮）と一段のドル安・円高進行の要因になったため、これらは留意すべき点です。
金利差は為替レート変動における最大のドライバーですが、経済の安定性も為替レート変動の一因と言えます。為替レート変動における最大のドライバーは金利差ですが、経済の安定性も一因になっていると言えます。一般的に、市場リスクとボラティリティは、安全通貨としての円の需要を高めます。
2027年7月の豪ドル円見通し。当月始値 103.47、最低 99.26、当月最高 103.47。平均 101.74。月末 100.77。変更 -2.6%。
2028年4月の豪ドル円予想。当月始値 118.41、最低 113.14、当月最高 118.41。平均 116.21。月末 114.86。変更 -3.0%。
AUDはハイリスクの通貨だと考えられています。しかし近年の動向としては、円安豪ドル高のため、投資家にとって最も安全な投資とされています。ターニングポイントとなったのは、COVID19へのオーストラリアの取り組みが「成功 」し、いち早くビジネスを再開させたことが要因となっているようです。
来週の豪ドル/円、ポンド/円、そしてトルコリラ/円の注目レベルは？
2028年2月の豪ドル円予想。当月始値 108.39、最低 108.39、当月最高 112.94。平均 110.25。月末 111.27。変更 2.7%。
2028年1月の豪ドル円見通し。当月始値 115.07、最低 115.07、当月最高 119.90。平均 117.04。月末 118.13。変更 2.7%。
2028年2月の豪ドル円予想。当月始値 118.13、最低 113.24、当月最高 118.13。平均 116.12。月末 114.96。変更 -2.7%。
2027年8月の豪ドル円予想。当月始値 109.39、最低 107.04、当月最高 110.30。平均 108.85。月末 108.67。変更 -0.7%。
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