外為どっとコムが提供するCFDサービス「CFDネクスト」の各銘柄(WTI原油、金スポット、銀スポット、天然ガス)と米ドルの「相性」(相関性)をランキング形式でまとめました。銘柄ごとの変動要因についても簡素にまとめています。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
「米ドルとの相性抜群ランキング」(過去1週間の対米ドルでの相関係数)
順位 | CFD銘柄 | 相関係数 |
---|---|---|
1 | 天然ガス | ‐0.69 |
2 | WTI原油 | ‐0.37 |
3 | 金スポット | 0.36 |
4 | 銀スポット | 0.46 |
集計期間中(1/24~1/30)に米ドルと負の相関が強かったのは天然ガスだった。トランプ大統領のエネルギー政策への懸念が上値を抑えたほか、例年よりも暖かくなるとの見通しが天然ガス価格の下落につながったようだ。
米ドルの他通貨に対する相対的な強弱を示すドルインデックスは期間中に0.33%上昇した。
※米ドル建てで取引される資源は一般的に米ドルの動向と負の相関(逆相関)が強いと言われている
※数値が-1.0に近いほど米ドルの動きが直近の価格動向に影響を与えていたと考えられる
※資源価格は需給など様々な材料の影響で変動するため、必ずしも米ドルと負の相関関係が続くわけではない
WTI原油の変動要因と過去3カ月の値動き
ポイント:WTI原油価格は、米国内の在庫増などを要因に下落
原油相場の変動要因は以下の通り
NEW!・期間中のWTI原油は1.96%下落した
NEW!・米エネルギー省の週報で米国内の原油在庫、ガソリン在庫はともに予想以上に積み増されていた
・トランプ米大統領が国家エネルギー非常事態を宣言。「掘って、掘って、掘りまくれ」と発言した
・米国などによる追加制裁でロシアの原油供給量が減少する見通しとなっている
・イスラエルと武装派組織ハマスはパレスチナ自治区のガザでの1月19日から6週間の停戦に合意した
・石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成されるOPECプラスは1月から予定されていた供給拡大を3カ月遅らせることを決定した
天然ガスの変動要因と過去3カ月の値動き
ポイント:天然ガス価格は、米エネルギー非常事態宣言が引き続き重石
天然ガス相場の変動要因は以下の通り
NEW!・期間中の天然ガスは11.07%下落した
NEW!・米エネルギー情報局(EIA)の週報では、米国内の天然ガス貯蔵量は321Bcfの減少。市場予想は314Bcfの減少だった。総貯蔵量は過去5年平均を約4.1%下回っている(1/24時点)
※Bcf=10億立方フィート
・米国内の気温はやや暖かくなるとの見通し
・トランプ大統領の国家エネルギー非常事態宣言も天然ガス価格下落の一因
金(ゴールド)スポットの変動要因と過去3カ月の値動き
ポイント:金(ゴールド)スポット価格は、史上最高値を更新
金(ゴールド)スポット相場の変動要因は以下の通り
NEW!・期間中の金スポット価格は1.44%上昇した
NEW!・トランプ大統領の政策への不透明感からリスクヘッジ目的で金(ゴールド)が引き続き買われた
NEW!・金価格は2025年1月30日に一時1トロイオンス=2829.50ドルまで上昇し史上最高値を更新した
・各国中銀による断続的な金の購入が金価格の支えとなっている
銀スポットの変動要因と過去3カ月の値動き
ポイント:銀スポット価格は、金価格につれて約1カ月半ぶりの水準へ上昇
銀スポット相場の変動要因は以下の通り
NEW!・期間中の銀スポット価格は3.99%上昇した
・金同様に装飾需要がある
・幅広い産業需要があり、需要の5割以上が工業用需要。そのため経済が上向くと銀の需要が増える
・太陽光パネルなど幅広く使われているため、ここ数年は供給不足気味
・価格が低い分変動率が大きくなってしまう
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『CFDネクスト』においてスプレッド実績は日本N225では42%縮小し2.9(提示率は最も高く99.95%)、WTI原油では13%縮小し0.026(提示率は99.88%)となりました🌟
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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トランプ関税への警戒感で安全資産の金 ゴールド は史上最高値更新週刊
1/30、トランプ米大統領が、2/1よりメキシコ・カナダへの25%関税を賦課すると発言すると、トランプ政権の高関税政策への不透明感から、安全資産としての金需要が高まり、昨年10月末の高値を上抜け、1トロイオンス=2,845ドルの史上最高値を付けた。トランプ政権が商品市況に与える影響を解説する。
トランプ大統領は、これまでの自国第一主義の枠を超えて、グリーンランド・カナダ・パナマ運河の領有権を主張しながら、BRICS諸国が基軸通貨としての米ドルの地位に挑戦するならば、100%の関税をかけると発言し、米国覇権拡大の野望を隠さなくなっている。また、関税を単なる交渉のカードとして利用するだけでなく、今回のメキシコ・カナダというUSMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)の加盟国に、25%関税を賦課する暴挙に出るトランプ政権に対し、貿易相手国のみならず、金融市場は大きな警戒感を持っている。こうした先行き不透明感が、安全資産である金への資金シフトを強めており、金上昇圧力は強まる一方となっている。
先週のコラムにて「中東情勢を中心に地政学リスクの動向が焦点」と解説した。週末の急騰はそのまま流動化した中東情勢の先行きに対する懸念が、相対的に安全資産とされるゴールドへの注目を高めたことによる。
一方で、この海外ゴールド高を映す形で国内金価格も大幅上昇となった。米ドル/円相場がほぼ149円台でこう着する中で、ドル建て金価格の上昇がそのまま反映された。
【解説】トランプ関税の二面性…日本企業は”脅しの関税”と”発動される関税”をどう見極めるべきか?
昨日はNY州クオモ知事が、第二波感染者急増中のフロリダ州などからの訪問者に14日間自己隔離待機を指示する動きとなった。そのフロリダ州はやっとマスク着用を指示するという段階。ロックダウン再発動はトランプ政権が強く否定するところだが「無い」と断定はできかねる。
トランプ大統領は、自国の原油増産に留まらず、相性の良いサウジアラビアのムハンマド皇太子に対し、OPECによる原油増産を要請している。サウジアラビアは、人権を主張するバイデン民主党政権とは折り合いが悪く、増産要請には応じず自主減産政策を継続してきた。しかし、その結果米国が欧州のロシアへのエネルギー依存を解消させる目的で、原油輸出を拡大したため、サウジアラビアの市場シェアは大きく減少することとなった。これに危機感を持つムハンマド皇太子が、トランプ氏の要請に応じる可能性は否定できない。シリアのアサド政権が崩壊し、ハマスとイスラエルの一時停戦が実現したことで、中東におけるロシアとイランの影響力が後退したタイミングを捉え、サウジアラビアが米国の仲介の元、イスラエルとの国交正常化に合意することは大いに考えられるシナリオである。サウジアラビアは、米国への6,000億ドルの投資を発表するなど、米国との関係強化が急速に進展しており、サウジアラビアが原油増産に転換すれば、原油価格は急激に下がる可能性があり、今後の展開には注目したい。
2024年12月24日から2025年1月21日に至る4週間で買い建て(ロング)は重量換算で155トン増え、728トンまで積み上がっていることが判明した。2024年10月末に2,800ドルを超える過去最高値を付けた際の水準でもあり、短期的な過熱感は否めない。その一方で興味深いのは、先週、金ETF(上場投信)の最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールドシェア」の残高が連日減少し、その減少量は約19トンに上っていることである。目先筋は2024年10月の高値を上抜くことで、テクニカル上のセンチメントの好転を狙っている可能性がありそうだ。仮に抜けない場合には、2番天井という形で反落という可能性もあるだろう。いずれにしてもNY金に関しては、ファンドの投機的な買い攻勢が強まり過熱感が指摘できる。
トランプ氏「米国人守る必要ある」
「トランプ氏が掲げる政策を実行した場合、ドル高・円安につながりやすい。1ドル=160円台は通過点でしょう。円安が進むと輸入品の価格上昇を招くため、物価高に拍車をかけます」
トランプ米大統領が就任初日のいわゆる「Day1」にでも、世界一律関税や中国などへの追加関税の即時発動などをするのではないかと市場は警戒していたが、具体策を打ち出すことはなかった。気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」と世界保健機関「WHO」からの離脱の決定など、まずは前政権の政策の否定からスタートした。
一方、トランプ大統領もコロナ対策で大失点。バイデン候補に支持率では大きく水をあけられ焦っている。そこで経済対策として欧州への追加関税を検討中と外電が報道している。満身創痍で、もはや形振り構わずという様子だ。中国叩きはそもそも民主党のお家芸なので標的を欧州にも向けた感がある。そうなると火の粉は日本に及ぶ可能性も。折から元側近ボルトン氏の暴露本で日本との防衛交渉の過程が生々しく描かれている。そもそも日米通商協議も第一段階合意後、これから第二段階という状況だ。一昨日トランプ政権ナバロ氏がFOXニュースに語ったことが日本人には響く。「中国がコロナの存在を知りつつ米中貿易協定第一段階に合意したことは、真珠湾攻撃数週間前に米国と平和条約締結に動いた日本政府の如し。」
加えて、円安の進行が追い打ちをかける。要因は、米トランプ大統領が指揮する第2次政権にある。
こうした環境の中でNY金は週初から徐々に水準を切り上げ、概ね2,760~2,770ドルを中心レンジに週末1月24日には一時2,794.80ドルと2024年10月31日以来の高値を付け2,778.90ドルで週末の取引を終了した。前日23日にスイスで開かれている世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)にオンラインで登壇したトランプ大統領が、サウジアラビアなどOPEC(石油輸出国機構)に原油価格の引き下げを要請する方針を示すとともに、FRB(米連邦準備制度理事会)に対し利下げを要求したことが、NY金を押し上げた。
今週(1月27日週)もトランプ新政権の政策方針に絡んだ不透明感は残ることで、不測の市場変動を想定しつつ臨むことになる。
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