【市場概況】東京為替見通し=ドル円、米インフレ率下げ止まりは買い要因、トランプ関税は波乱要因

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【市場概況】東京為替見通し=ドル円、米インフレ率下げ止まりは買い要因、トランプ関税は波乱要因

31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米国でのインフレ再燃や米関税政策への警戒感から155.22円まで上昇した。ユーロドルは1.0350ドルまで下落した。ユーロ円は161.50円まで上昇した。米ドルカナダドルはトランプ関税が2月1日に発動されることで1.4559カナダドルまで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している12月のPCEデフレーターが前年比+2.6%となり、11月の+2.4%、10月の+2.3%、9月の+2.1%から上昇基調にあることやトランプ関税の発動を受けて底堅い展開が予想される。

 しかし、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ確率は、6月FOMCが46%台(-0.25%=4.00-25%)、12月FOMCが33%前後(-0.25%=3.75-4.00%)とほぼ変わらずとなっており、上値は限定的だと思われる。

 トランプ関税がカナダとメキシコに対して発動されたが、トランプ米大統領は「欧州連合(EU)に対しても何らかの非常に重要な関税を賦課する意向」と述べている。

 EUも報復関税を示唆しており、米国を軸にした貿易戦争が勃発しつつある。

 米国のピーターソン国際経済研究所によれば、トランプ関税のコストは米国内総生産(GDP)の1.8%となり、第1次トランプ米政権での米中貿易戦争でのコスト0.4%を大幅に上回るとのことで、貿易戦争での勝者はいない。すなわち、貿易戦争はリスク回避要因となる可能性があることに警戒しておきたい。

 今週は、7日に日米首脳会談が予定されている。これまでトランプ米大統領は、日本に対する関税やドル高・円安に関する言及はなかった。しかし、昨年4月に、ドル円が34年ぶりの高値を更新して154円台に乗せた際に、「アメリカの製造業にとって大惨事」と述べており、同様の見解が示される可能性があることで、ドル円の上値は限定的だと思われる。

 8時50分に発表される日銀金融政策決定会合における主な意見(1月23-24日分)では、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が議論されたのか否かに注目したい。

 9時30分に発表される12月豪小売売上高の予想は前月比▲0.7%となっている。先週発表された10-12月期豪消費者物価指数(CPI)は前年比+2.4%と前期の+2.8%から鈍化し、価格変動の大きい品目を除いたトリム平均も同様に前期の前年比+3.6%から+3.2%へと低下し、豪州のインフレ鈍化傾向が改めて確認された。

 金利先物市場では17-18日に開催される豪準備銀行(RBA)理事会での利下げ確率が90%程度まで上昇しているが、小売売上高が予想通りに悪化していた場合、利下げ確率がさらに上昇すると思われる。

(山下)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ

[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル 【市場概況】東京為替見通し=ドル円、米インフレ率下げ止まりは買い要因、トランプ関税は波乱要因

市場概況 東京為替見通しドル円 米インフレ率下げ止まりは買い要因

内外金利差と円相場の関係を改めてみると、主要各国で政策金利の引上げが始まる直前の2003年12月以降、円は欧州通貨や豪ドル・カナダドルなどの資源国通貨など、対米ドル以外の主要通貨に対していずれも10%以上大きく下落している(第5-1-13図)。特に内外金利差が大幅に拡大した2005年以降、相対的な日本の低金利がいわゆる円キャリートレードの増加などによって円安基調を強めているとの見方もみられる(コラム5-1参照)。こうした市場取引の定量的な捕捉は容易ではないが、実物面での貿易取引などを中心とする経済活動とは異なる経路で為替市場における価格形成が急激に変化し、それが経済活動に悪影響を及ぼすリスクについては注意する必要がある。

我が国において現状の金融当局のメッセージに基づく市場の期待形成が適切かどうかについては、今後の実績を踏まえながら議論を深めていく必要がある。日本銀行による政策金利調整は、本年7月に再開されたばかりであり、いまだ時期が経っていないこともあり、現状での検証、評価は難しい。引き続き、今後の期待形成の在り方が注目される。

デフレが払拭された通常の世界では金融政策も正常化し正の水準の金利が復活することとなる。その意味で経済全体の正常化の動きに合わせて、金融政策も次第に正常な姿に向けて歩を進めてきた。金融政策をめぐる大きな環境変化がみられる中で、金融市場は緩やかに成長を続ける経済の動きを反映しつつ、総じて落ち着いた動きを辿っている。ゼロ金利解除後も依然として緩和的な金融環境の継続は、長期化している景気回復を下支えしている。企業金融をみると、企業の資金需要が高まりをみせる中で、リスクテイク能力を回復した金融機関が前向きな融資姿勢に転換しており、銀行貸出は増勢基調を辿っている。

比較的緩やかな上昇に止まっている市場金利の動きに対応して、家計が直面する預金金利や住宅ローン金利の上昇も抑制的なものとなっている。各銀行の預金金利設定方針をみると、普通預金金利や短期の預金金利の引上げが抑制されている(第5-1-6図(1))。一方で、住宅ローン金利については、短期プライムレートの引上げ51から変動金利型の住宅ローン金利が6年振りに上昇したが、固定金利型の住宅ローン金利は、10年物金利を中心に落ちついた動きとなっている52(第5-1-6図(2))。

本章第1節で見たとおり、日本銀行は、7月に金融市場調節方針を変更し、無担保コールレート(O/N)を0.25%前後で推移するよう促すことを決定した。第1節の第5-1-2図では、OISレートの1ヶ月物フォワードレートから、短期金利の期待を個別時点で見たが、ここでは、日本銀行の7月の利上げに向け、市場が過去どのような期待を形成したかをより平滑化した時系列で見てみる(第5-3-2図)。この図からは、4月11日の金融政策決定会合直前において、市場は、50%程度の確率で3ヵ月後の7月に0.25%の政策金利引上げを織り込んでいったことが伺える88。その後、徐々に利上げの期待が形成され、5月19日の会合直前には7月0.25%の期待形成が確率90%程度に上昇していることを示唆している。6月15日においても同程度であったが、7月14日の会合直前には、ほぼ100%に達していた。これらの事実は、7月の日銀による利上げに関して、市場は約3ヶ月前に約半分程度まで織り込んだ後、徐々に、時間をかけて、織り込みが進んでいったことが分かる。

金融政策を運営するに当たり、金融当局が市場に対して発するメッセージは、市場を混乱させることがないような明確なものであることが望まれる。ここでは、本年7月に行われた政策金利の引上げに関する市場の織り込み状況についてデータに基づいて検証する。

一方で、より長期の9年先のIFRをみると、デフレ下の2003年初には2%を割り込んでいたが、先行きの景気見通しが改善していく過程で2%を超える水準まで上昇してきた。今年に入ってからは、政策変更を挟んでおおむね2.5~3.0%に安定的に推移している。我が国の成長力や物価見通しに対して、市場がデフレ脱却を視野に入れつつも長期的にはおおむね2%程度の緩やかな成長を見込んでいることがうかがわれる。

しかしながら8月下旬になると、基準改定に伴うCPIの市場予想比下振れにより政策金利の利上げ期待が後退したことから、レンジを脱して量的緩和政策の解除前の水準である1.6%台前半まで一時急低下した。現在11月下旬時点では1.6%台後半で推移している。

しかし、上昇基調にあった株価は、海外投資家が5月に2年振りに日本株の売越しに転じる(第5-1-9図(3))など、投資家のリスク環境の変化をきっかけとする形で下落に転じた。こうした環境変化の背景としては、第一に、世界的に金融政策が引締め方向に推移してきたことから、これまで緩和的な金融環境を前提としたグローバル投資家のリスク許容度が低下したことがあげられる。米欧株価のみならずエマージング市場や商品市場へ向かっていた投資資金が安全性の高い債券市場へシフトするなど、マネーフローに変化がみられた。その際、昨年来株価が上昇しバリュエーション(予想PER)上の割高感(第5-1-9図(4))が強かった日本株は相対的に大きく下落した。第二に、一部IT関連企業の粉飾決算事件などをきっかけに国内新興企業に対する不透明感が強まり、新興市場の株価が大きく下落したことがあげられる(第5-1-9図(5))。このことが信用取引面での需給環境の悪化とともに個人投資家の投資姿勢を慎重化させ特に新興市場には深刻な影響を与えることとなったと考えられる。第三に、経済のファンダメンタルズや企業業績の底堅さにもかかわらず、5月中旬にみられた急激な円高や米国景気の減速懸念による実体経済や企業業績面からの先行き不透明感が意識されたことがあげられる。

2006年の金融市場は、過去5年程度の間に続いてきた量的金融緩和とゼロ金利という金融政策が転換される重要な節目となった。ゼロ金利政策の開始は1999年2月に低迷の続く日本経済に対する金融緩和措置が実施されたところまでさかのぼる。その後2000年8月に一時的にゼロ金利政策が解除されたものの景気が後退局面に入る中で、2001年3月には量的金融緩和が実施されるとともに再びゼロ金利が実施されることとなった。その後は金融システムの不安定性が解消し、長期にわたる景気回復の過程で構造調整が進展し、経済は正常化に向かった。こうした状況を背景に日本銀行は2006年3月に量的緩和政策を解除し、7月にはゼロ金利を解除した。

第一は、外国人投資家が円で調達した資金を高金利通貨で運用するケースである。通貨先物取引における円のショートポジションの積み上がり(コラム図5-1(1))、主要国銀行の円建て債権の増加(コラム図5-1(2))が、円キャリートレードの可能性を示唆するとの指摘がみられる。特にIMFでは、邦銀がオフショア市場でのデリバティブ取引やオルタナティブ投資を最近増加させてきている点、BISも同様に、英国やケイマン諸島といった金融センター向けの円建て貸出が近年増加傾向にある点にふれ、これらの資金の一部が円キャリートレードに回されていたのではないかと論じている。

金融政策による負の効果としての最適インフレ率を上回るインフレの発生などが指摘されることに伴い、そうしたインフレを防ぐための金融政策の手法に関し、特に中央銀行の役割に関する理論的なアプローチの議論が盛んに行われるようになった65。一つの例は、中央銀行が実際にインフレ抑制を達成することに対して市場からの高い評価を確立するためにはどのような手法が有効であるかを模索する試みである。すなわち、複数期間にわたるインフレ率を含む効用の最大化問題を考え、当初のインフレ率を低くすることで、将来のインフレ期待を低くとどまらせることができるとされた(Backus and Driffill, 1985)66。また、中央銀行の政策目標をインフレ抑制のみに設定する者にその運営を委任することにより、市場からインフレ抑制の信認を得、インフレへの期待を低くすることができることも示された(Rogoff , 1985)67。この他、中央銀行の独立性とインフレ率との負の相関関係を諸外国のパネルデータから導出した実証面での分析例もみられる(Alesina, 1988)68。

これまで見てきたとおり、本年3月の日本銀行の量的緩和政策の解除、7月のゼロ金利の解除を経て、我が国の金融市場は正常化への動きを進めている。こうした状況を踏まえて、今後、金融政策面での対応について考察を行うこととする。

新しい金融政策の枠組みについては、様々な考え方はあるものの、重要なことは、金融政策運営に際し、中央銀行の金融政策上の独立性が担保された上で、当該金融当局と市場との適切な対話により、政策の透明性、説明責任が向上することである。物価安定の定義の数値化、又はインフレ・ターゲットは、そうした目的を達成させるための手段の一つに過ぎない。どのような手法をとるにしても、市場との絶えざるコミュニケーションによって、中央銀行は市場からの信認を得られ続けるような努力が求められることになる。金融当局から発せられるメッセージが市場を混乱させることなく、明快で予見可能性が高いものとなることで、企業行動のリスクを低減させ、より活発な生産活動を促進させることにもなると考えられる。

国債金利の年限別動向(国債イールドカーブの形状変化)をみると、ゼロ金利解除への見方が高まる中で、7月にかけて短期ゾーンを中心に上昇がみられた(第5-1-4図(1))。市場参加者の有する金利見通しに基づき形成されるイールドカーブ(第5-1-4図(2))から将来の金利水準(インプライド・フォワードレート<IFR>)を予測することができる。1年物フォワードレート(将来の期待1年物金利)の動き(第5-1-4図(3))をみると、当面の政策金利の影響を受けやすい1年先のIFRが1%を超えたほか、5年先のIFRまでがゼロ金利解除への見方が強まる中、大きく上昇した。

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